ペルーの政治情勢 10月

ペルー政治情勢 2017年


【概要】

(内政)
●アラオス新内閣が国会で信任された。
●国家統計院総裁が国勢調査実施の際に生じた諸問題の責任をとって辞任した。
●復興庁長官が水害からの復興事業の遅れや,問題発言の責任をとって辞任した。

(外交)
●「リマ・グループ」がベネズエラ州知事・州議会議員選挙に関し声明を発出した。
●当地で第11回ペルー・エクアドル合同閣議が開催された。
●トロントでベネズエラ情勢に関する第3回「リマ・グループ」会合が行われた。
●ペルー政府がカタルーニャ情勢に関し,一方的な独立宣言を拒絶する旨表明した。


【本文】

1 内政

(1)国会におけるアラオス新内閣の信任
ア 13日,アラオス新首相が国会に提出した新内閣の信任決議案が国会本会議で賛成多数(反対は左派の2会派のみ)で可決され新内閣が正式に発足した。アラオス首相は9月17日に任命された直後からガラレタ国会議長(野党人民勢力党),国会各会派との会談を行い,信任へ向けた調整を行ってきており,信任は確実との見方が支配的であった。
イ アラオス首相の所信表明演説概要
行政府と立法府との間で建設的な対話を継続する。国会と協力しつつ,クチンスキー大統領が掲げる貧困撲滅,全国の上下水道整備等の政策を含む「社会革命」の具体化に取り組む。経済及び防衛分野での立法権限を行政府に移譲するよう国会に求める。OECD加盟に向け,OECD基準に国内法を適合させる。復興事業,2019年パンアメリカン競技大会開催が大きな投資の機会を提供しており,2018年の経済成長率は4%以上が見込まれる。また計100億ドル規模の5つの鉱山開発計画を推進する。汚職を決して許さない。犯罪対策に取り組む。

(2)国家統計院総裁の辞任
24日、サンチェス(Anibal Sanchez)国家統計院(INEI)総裁が辞任した。サンチェス総裁は記者会見において,22日にINEIが行った国勢調査において,数パーセント水準に達するとされる調査漏れ,調査員に対する強姦事案,調査員に対する謝礼未払い,私立大学との協定による個人情報漏洩の可能性等の問題が生じたことにつき説明し,引責辞任を表明した。アラオス首相は辞任を受け入れるとともに,後任の任命を急ぐ旨述べた。また調査結果につき,データは信頼できるものであり,今後数か月以内に速報値を公表できる見込みであると述べた。

(3)復興庁長官の辞任
27日、デ・ラ・フロール(Pablo De La Flor)「変化を伴う復興」庁長官が辞任した。昨年末から本年第1四半期にかけての水害からの復興が遅れていることに被災地からの不満の声があり,またデ・ラ・フロール長官が「州政府の無能さ(incapacidad)が復興を困難にしている。」旨発言した経緯により,中央政府と地方自治体との関係が悪化していた。後任にはキスペ(Edgar Quispe)元労働雇用促進副大臣が内定した。

(4)クチンスキー大統領支持率(特記ない限り括弧内は前月数値)
ア ダトゥム社:9月29日~3日実施,全国(対象1207名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:31%(22%) 不支持:64%(75%)
イ イプソス社:12~13日実施,全国(対象1288名),誤差±2.7%,信頼度95%
支持:30%(22%) 不支持:62%(72%)
ウ CPI社:12~16日実施,全国(対象1450名),誤差±2.6%,信頼度95.5%
支持:29.1%(26.3%) 不支持:66.7%(69.5%)
※前回実施月は8月。
エ GfK社:21~24日実施,全国(対象1202名)誤差±2.8%,信頼度95%
支持:25%(22%) 不支持:71%(75%)
 
2 外交

(1)ベネズエラ州知事・州議会議員選挙に関する「リマ・グループ」声明
5日,ペルー外務省は,ベネズエラ州知事・州議会議員選挙(15日実施)に関し,同国憲法及び選挙法の完全なる遵守,透明性,公平性及び客観性に基づく全ての候補者の選挙への自由な参加の保障,国際的な監視のもとでの投票の自由,秘密性,効率性及び普遍性の尊重、有権者が妨害に遭うことなく平和裏に投票所に赴く権利の保障等をベネズエラ政府に勧告する「リマ・グループ」声明を発出した。

(2)第11回ペルー・エクアドル合同閣議
20日,当国トルヒーヨにおいてクチンスキー大統領,モレノ大統領及び両国の閣僚が第11回ペルー・エクアドル合同閣議を共同開催し,国境地域の発展,アマゾン地域の環境保全と持続可能な発展,汚職及び国際組織犯罪との闘い,電力の相互供給等を内容とする「トルヒーヨ宣言」が採択された。また今回の合同閣議において,9つの国境水域における水資源管理に関する二国間委員会を設立する協定に署名が行われた。

(3)ベネズエラ州知事・州議会議員選挙に関する第3回「リマ・グループ」会合
26日,カナダのトロントにおいてベネズエラ情勢に関する第3回「リマ・グループ」会合が開催され,アルゼンチン,ブラジル,カナダ,チリ,コロンビア,コスタリカ,グアテマラ,ホンジュラス,メキシコ,パナマ,パラグアイ,ペルーの12か国による共同宣言が発出された。同宣言は,15日に実施されたベネズエラ州知事・州議会議員選挙において妨害,威嚇,操作,社会的強制,投票制限等の不正行為が認められたことに対する拒絶の意を表しつつ,政治囚の解放勧告,ベネズエラ国民議会への支持,国連への支援要請,政府と野党の交渉への支援表明等を内容とするもの。次回「リマ・グループ」会合は2018年1月にチリで開催予定。

(4)カタルーニャ情勢に関するペルー政府の反応
27日,ペルー外務省は,カタルーニャ州議会における一方的独立宣言の採択に関し,以下のとおり声明を発出した。
「ペルー政府は,27日スペイン・カタルーニャ州で生じた事態を前に,いかなる一方的な独立行為又は独立宣言もスペインの憲法及び法に反するため,これを拒絶する旨改めて表明する。ペルー政府はスペイン政府への完全な支持を再度表明すると共に,スペイン当局が法の支配を回復し,民主主義及びスペインの統一を保てるよう,憲法及び立法秩序を擁護するものと信ずる旨改めて確認する。」