ペルー海外安全対策情報(2013年1月〜3月:邦人被害例等)

 

 

                                     在ペルー日本国大使館

1 社会・治安情勢
 テロ組織は依然として一部山間部地域において活動を継続しており,軍や国家警察との散発的な交戦により死傷者や逮捕者が出ている。2005年12月23日以降,テロ組織センデロ・ルミノソ(SL)が活動しているとされる7郡9町を非常事態宣言地域(VRAEM地域:アヤクチョ州ワンタ郡ラ・マル郡,ワンカベリカ州タヤカハ郡,フニン州サティポ郡,クスコ州ラ・コンベンシオン郡キンバリ町,ピチャリ町,ビルカバンバ町及びエチャラテ町,フニン州コンセプシオン郡アンダマルカ町及びコマス町,フニン州ワンカヨ郡サント・ドミンゴ・デ・アコバンバ町及びパリアワンカ町,HUALLAGA地域:ワヌコ州レオンシオ・プラド郡,サン・マルティン州トカチェ郡,ウカヤリ州パドレ・アバット郡,ワヌコ州マラニョン郡チョロン町,ワヌコ州ワマリエス郡モンソン町)に指定し,軍・国家警察の治安部隊を派遣してSLの掃討作戦を展開している。また,2012年4月からクスコ州ラ・コンベンシオン郡エチャラ町に非常事態宣言が発令され,7郡10町が非常事態宣言地域に指定されている。2013年4月,同地域に対する非常事態宣言の再延長を行った。

 また,過激なデモや抗議行動が各地で突発的に行われ,死傷者及び逮捕者が発生している。鉱山等労働者による賃金引き上げ要求,教師の待遇改善問題,労働環境改善要求,土地所有権問題,環境汚染問題などその内容も様々である。

 

2 一般犯罪・凶悪犯罪の傾向
 国家警察犯罪捜査局誘拐捜査部の発表によれば,現在リマ市内で活動する外国人観光旅行者を狙った強盗グループの存在が把握されている。犯行手口としてはタクシー乗車中の旅行者等を狙った強盗が最も多く,外国人旅行者の玄関であるホルヘチャベス国際空港から市内へ通じる主要幹線道路において多発している。また,ペルー国内の一般犯罪は組織化,巧妙化が進んでおり注意を要する。
(1)殺人
 殺人事件については,銃による強盗殺人事件が首都リマ市内及び地方都市において断続的に発生している。
 ア 1月26日,リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区レカバレン通りにおいて,自転車で薬局に向かう途中の男性が自転車を盗られそうになったため抵抗したところ,腹部を刃物で刺されて死亡。

 

 イ 1月31日,リマ市サン・マルティン・デ・ポレス区の検問所において,同検問から逃れようとした運転手と警察官とで銃撃戦となり,男性2名を逮捕,また,銃撃戦で1名が死亡。

 

 ウ 2月11日,リマ市サン・ファン・デ・ルリガンチョ区ビセ通りのレストラン前において,建設業労働者組合の幹部2名が男性2名から発砲され死亡。

 

 エ 2月20日,リマ市スルキジョ区アランブル通りの公証人事務所において,土地の売買手続料を支払うため訪れた不動産業者2名がマルカ強盗(主に銀行等にて現金を引き出した者の後をつけ犯行に及ぶ手口)2名から銃撃を受け,1名死亡,1名重傷。なお,事件の直前にサン・イシドロ区の銀行から引き出した現金16万ソルを強奪される。

 

 オ 3月6日,リマ市マグダレナ・デル・マル区スクレ通りとグラウ通りの交差点付近において,自動車強盗の犯行グループを逮捕しようとした婦人警官と警備員(24時間交代制)の2名が犯行グループから発砲され死亡。

 

 カ 3月20日,リマ市リマ区において,自動車強盗犯と警察とで銃撃戦となり,犯人1名が死亡,2名が重傷。

 

 キ 3月24日,リマ市サン・マルティン・デ・ポレス区ペルー通りにおいて,乗り合いバスを襲おうとした犯人が,拳銃を所持した乗客より発砲を受け死亡。


 (2)強盗
 強盗事件については,首都リマ市内及び地方都市において,日常的に発生している。
 ア 1月24日,アレキパ州のハイウェイにおいてサン・マルティン・バス会社の長距離バスに乗車していたチリ人6名及びアルゼンチン人3名の外国人観光客が寝ていたところ,所持品を何者かに盗まれた。


 イ 2月11日午後,リマ市ラ・ビクトリア区ハビエル・プラド通りのキニョネス橋付近において,男性1名がマルカ強盗に襲われ,直前にサン・イシドロ区の銀行から引き出した現金1万2千米ドルを強奪された。


 ウ 2月21日,リマ市リンセ区アレキパ通りにおいて,男性2名が拳銃で武装したマルカ強盗(5名)に襲われ,直前に銀行から引き出した1万5千米ドルを強奪された。


 エ 2月28日,リマ市サン・ファン・デ・ミラフローレス区ミオタ通りとリリオス通りの交差点付近において,専門学校経営者がマルカ強盗に襲われ,直前にサン・イシドロ区の銀行から引き出した現金5万ソルを強奪された。


 オ 3月9日,リマ市ミラフローレス区エスプエランサ通りの宝石専門店に武装グループが侵入し,女性経営者に暴行を加えた後,10万ソル相当の宝石を強奪。


 カ 3月14日,リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区ベナビデス通りの郵便局に拳銃で武装した強盗犯2名が押し入り,現金3千ソルを強奪。


 キ 3月20日,リマ市チョリージョス区において,女性1名が拳銃で武装したマルカ強盗(4名)に襲われ,現金1万2千ソルを強奪された。


 (3)邦人被害事案
 ア 1月上旬午前6時頃,リマ市ラ・ビクトリア区にあるバスターミナル近くのガソリンスタンドに,邦人男性が両替の為に寄ったところ,店員と両替中,一人の男に,首から提げていた財布を引きちぎられ逃げられた。中には,旅券等,貴重品が入っていた。


 イ 2月上旬午前4時頃,邦人男性がクスコのアルマス広場から空港へ徒歩で向かう途中,二人組の男に襲われ,持ち物をすべて奪われた。襲われた時,鞄を離さなかったので,怪我を負った。鞄には旅券,貴重品,カメラが入っていた。


 ウ 2月下旬午後8時頃,邦人男性2人がリマ市ミラフローレス区にあるレストランにて食事し,車に戻ると後部の窓ガラスが割られ,座席下に隠してあったかばん(旅券等在中)を盗まれた。


 エ 2月下旬午後8時頃,邦人女性2人がピウラ州マンコラ海岸沿いを歩いてホテルに向かう途中,複数の男に声をかけられ,銃を向けられたため,持ち物を全て渡した。中には旅券を含む貴重品が入っていた。


 オ 3月上旬午後3時頃,リマ市の在留邦人宅の入口の扉を何者かが破壊し,侵入。部屋の引き出しに保管していた旅券などの書類を盗まれた。


 カ 3月上旬午後6時頃,リマ市ヘスス・マリア区の公園内で,邦人女性が会話中に20代位の男に足元にあったバックを盗まれた。バックの中には旅券等貴重品が入っていた。


 キ 3月下旬午後4時頃,リマ市バランコ地区街中を邦人男性が歩行中のところ,前方から来た黒人の男にカメラを奪われ,その後他の男性3人が近づき,現金,クレジットカード,旅券等が入ったカバンを奪われた。


 (4)その他
 ア 1月7日午後3時頃,ウカヤリ州カニャリア郡プカルパ町を出発した米系輸送会社のヘリコプターが墜落,爆発し,搭乗していたアメリカ人5名とペルー人2名が死亡。


 イ 内務省の発表によると,?@本年度から,拳銃の携帯ライセンスの更新期間を5年から1年に改正,?A最新の弾道鑑定システムを導入,?B一般市民の口径9ミリ以上の拳銃の所持を禁止した。


 ウ バソンブリオ元内務副大臣は,拳銃強盗の増加傾向(犯罪の凶悪化)について,強盗被害者の10人のうち8人は,拳銃強盗の被害者である旨述べた。

 

3 テロ・爆弾事件発生状況  

 一部の特定の山間部地域では,国軍や警察に対する襲撃が繰り返され,双方に死傷者が出ている。都市部においては武力による攻撃は発生していないが,プロパガンダ活動が継続的に行われており注意を要する。

(1)1月13日午後4時頃,アヤクチョ州ワンタ郡ジョチェグア町ボカ・パルワ地区において,センデロルミノソ(SL)に護衛された麻薬密輸グループを治安当局が捜索中のところ,銃撃戦が起こり,警察官1名及び海兵1名の計2名が負傷。

 

(2)2月2日,テロ対策局(DIRCOTE)は,ワヌコ州マラニョン郡チョロン町ブエノス・アイレス地の森林部において,黒いビニール袋に隠匿されていたセンデロルミノソ(SL)の所有物及び武器・弾薬を押収。

 

(3)2月26日,アヤクチョ州ビスカタン渓谷(VRAEM地域。上記1参照)において,治安当局とセンデロルミノソ(SL)メンバーとみられる武装グループとで銃撃戦が発生し,犯人側3名が死亡。

 

(4)3月5日,アヤクチョ州ワンタ郡ジョチェグア町の中央ハイウェイの48Km地点において,トラックでコカイン179Kgを隠匿していたセンデロルミノソ(SL)のメンバーと思われる男女2名を国家警察が逮捕。

 

4 誘拐・脅迫事件発生状況

 2月22日,リマ市サンティアゴ・デ・スルコ区のパンアメリカン・ハイウェイにおいて,男性2名が車両にて走行中,覆面を被り武装した犯行グループに襲われ,同車両を強奪された。同車両の運転手は,犯人に連れ去られ,その後,ミラフローレス区で解放された。

 

5 日本企業の安全に関する諸問題

 一般的に対日感情は良好である。 

(1)首都リマ市を中心に国内の治安に関する情報収集を行い,必要に応じて現地警察当局等に対し警備強化を依頼し,在留邦人及び邦人旅行者の安全確保の強化を図った。

 

(2)在留邦人に対して,スポット情報や危険情報等の渡航情報を適宜発信し,安全対策に関する注意喚起を行った。

 

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