草の根・人間の安全保障無償資金協力
「エスケン小学校整備計画」に関する署名式
在ペルー日本国大使館は、草の根・人間の安全保障無償資金協力のスキームにより、「エスケン小学校整備計画」に対し、総額88,493米ドルの無償資金協力を行うことを決定し、12月19日(金曜日)、リマにおいて、目賀田周一郎大使と実施団体サン・ロマン郡役場との間で贈与契約が行われました。

署名式の様子

署名を終え、贈与契約が成立
■プロジェクトの概要
(1)プロジェクトの内容
アンデス山岳地帯の貧困地域において、児童の教育環境を改善するため、鉄筋コンクリート造2階建て校舎(3教室各52?、コンピュータ室52?、職員室26?、校長室26?)を整備します。
(2)プロジェクト実施の背景
プロジェクトを実施するプノ州サン・ロマン郡は、ペルー南東部、高度3,824mの山岳地帯にあり、アイマラ系の先住民族が多く生活しています。ここでは、寒冷乾燥気候を活かしたジャガイモ・キヌア・大豆等の農牧業(自らの消費用)が営まれていいます。
エスケン・プカラ小学校は、観光で有名なチチカカ湖の拠点となる地方空港があるフリアカ町に属し、アレキパとプノという大都市間を結ぶ主要幹線道路沿いに立地しているものの、この地域の教育施設の整備は非常に遅れており、児童は築40年以上の老朽化した校舎で学習を続けてきました。現存の日干しレンガ造校舎は、セメントで固められていた壁が剥がれ落ち、至る所に亀裂が走っているほか、錆びた亜鉛トタン製屋根には穴が開き、教育施設としては不適当で、倒壊間際の危険な状態に陥っています。この地域は高地のため日中の気温差も激しく、割れた窓ガラスから雨風や雹が入り込み、劣悪な学習環境となっています。また、学習中に児童が体調不良を訴えることも多く、この地域の深刻な問題となっています。

既存の校舎。雨季には、床・天井から雨水が教室に入りこむ。

2年生の教室

窓ガラスが割れ、雨風が入る教室
このような状況を解決するため、2008年の同サン・ロマン郡参加型開発計画にもこの小学校の建設が優先度の高いものとして取り上げられ、この計画が立てられました。しかし、中央政府や地方政府の財源には限りがあり、独自に資金を調達することは困難な状態にあったことから、申請団体は日本国大使館に対して資金援助を要請し、今回草の根・人間の安全保障無償資金協力での支援が決定しました。
(3)プロジェクトの効果
この協力により、極貧地域にある小学校に在籍する132名の児童及びその家族532名に対して、より良い教育サービスを提供できるようになり、学習環境の改善に資することができます。
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