ペルー経済情勢 2011年
ペルーの経済情勢(2011年6月)
1.総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率7.10%(5月:前年同月比),インフレ率0.10%(6月:前月比),対米ドル為替相場2.764ソル(6月平均値),リマ首都圏の完全失業率6.8%(5月),財政収支760百万ソル(5月),貿易収支641百万ドルの黒字(5月)となった。引き続き高い経済成長率を記録している。
2.各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,7.10%(5月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,0.61%,漁業セクターの成長率は,-4.64%,鉱業セクターの成長率は,-3.10%,製造業の成長率は,5.06%,建設業の成長率は,3.70%となった。(6月分は未公表)

イ インフレ率
インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.10%となった。リマ首都圏では,鰹(22.0%),パパイヤ(14.9%),飲料水(2.9%)等の価格が上昇した。一方,タマネギ(-15.2%),ニンジン(-10.4%),オレンジジュース(-9.7%)等の価格が下落した。
最近12ヶ月(10年7月~11年6月)の上昇率は,2.91%。

ウ 為替相場
6月の対米ドル為替相場の平均は2.764ソルとなり,前月に比べ0.010ソル高ドル安となった。

エ 失業率
5月のリマ首都圏の完全失業率は6.8%であった。前月に比べ,1.0%減少した。(6月分は未公表)

オ 財政収支
5月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で26.0%増となった。歳出は,対前年同月比で13.0%増となった。全体では,プライマリーバランスは,5ヶ月連続の黒字となった。債務の利払いを含めると,760百万ソルの黒字となった。(6月分は未公表)

カ 貿易収支
5月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比67.1%,非伝統産品が対前年同月比48.7%増加し,全体では3,914百万米ドル(対前年同月比63.0%)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が40.9%,中間財が58.3%,資本財が59.7%に増加し,全体で3,273百万米ドル(対前年同月比56.8%)となった。この結果,貿易収支は,641百万米ドルの黒字となった。(6月分は未公表)

キ 外貨準備高
6月の外貨準備高は,47,152百万米ドルで,順調に推移している。
 (注)表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・リマ上下水道公社のワチパ浄水場完成
日本政府円借款等により建設されたリマ首都圏居住域衛生改善計画・ワチパ浄水場の完成式典がガルシア大統領,福川在ペルー日本国大使,サルミエント住宅建設上下水道大臣等の臨席の下開催された。ガルシア大統領からは,本件を,現政権のインフラ整備事業の中でも特に重要な成果と位置づけつつ,現政権が社会経済政策を全国で推進してきた旨述べるとともに,本事業関係者への,祝意,謝意を表明した。(7月8日)
・ウマラ次期大統領,ペルー・米国FTAについて言及
米国ホワイトハウスにおいて,ウマラ次期大統領とドニロン国家安全保障担当補佐官の会談の場に,オバマ大統領が登場し,会談に参加した。会談後,ウマラ次期大統領は,オバマ大統領から,11月にハワイで行われるAPEC首脳会議に招待された旨発言した他,ペルー・米国FTAを尊重するが,「合気道,または柔術のテクニック」を適用するとし,相手のエネルギーを自分に有利に利用するように,FTAを国内市場及び国内生産に有利に活用する旨述べた。(7月6日)
・天野IAEA事務局長のペルー訪問
天野国際原子力エネルギー機関(IAEA)事務局長がペルー政府の招聘によりペルーを訪問した。国連の特別機関である同機構の活動,福島第一原発事故が我々に与えている教訓及びペルーが推進している核技術を用いた農業,医療に係る事業に係る講演等を行った。(7月4日)
・鉱業カノン交付額,2011年に34%増
経済財政省(MEF)は,ペルー政府が,鉱山企業が支払った所得税の50%を地方政府,自治体,公立大学等に交付する鉱業カノン交付額(2011年)について発表した。本年の交付額は,世界的鉱物価格の高騰により,対前年比34%増の4,252百万ソルに達した。交付額が多い州は,順にアンカッシュ州,アレキパ州,ラ・リベルタ州,カハマルカ州,モケグア州,プノ州となった。(6月23日)
・1~4月の鉱業投資額,対前年同期比52%増
エネルギー鉱山省の月報によると,本年1~4月の鉱業投資は,前年同期の1,037百万ドルから52%増加し,1,574百万ドルに達した。(6月20日)
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