ペルー経済情勢 2011年
ペルーの経済情勢(2011年10月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率5.77%(9月:前年同月比),インフレ率0.31%(10月:前月比),対米ドル為替相場2.726ソル(10月平均値),リマ首都圏の完全失業率8.2%(9月),財政収支1,034百万ソル(9月),貿易収支568百万ドルの黒字(9月)となった。引き続き好調なGDP成長率を記録している。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,5.77%(9月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,1.55%,漁業セクターの成長率は,32.52%,鉱業セクターの成長率は,-0.94%,製造業の成長率は,1.76%,建設業の成長率は,1.63%となった。(10月分は未公表)

イ インフレ率
インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.31%となった。リマ首都圏では,レモン(16.7%),トウモロコシ(14.5%),トマト(8.3%)等の価格が上昇した。一方,キュウリ(-13.9%),リンゴ(-10.3%),ブロッコリー(-8.7%)等の価格が下落した。
最近12ヶ月(10年11月~11年10月)の上昇率は,4.20%。

ウ 為替相場
10月の対米ドル為替相場の平均は2.726ソルとなり,前月に比べ0.018ソル高ドル安となった。

エ 失業率
9月のリマ首都圏の完全失業率は8.2%であった。前月に比べ,1.3%増加した。(10月分は未公表)

オ 財政収支
9月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で19.1%増となった。歳出は,対前年同月比で0.4%増となった。全体では,プライマリーバランスは,2ヶ月連続の黒字となった。債務の利払いを含めると,1,034百万ソルの黒字となった。(10月分は未公表)

カ 貿易収支
9月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比10.2%,非伝統産品が対前年同月比29.1%増加し,全体では3,757百万米ドル(対前年同月比13.8%)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が22.5%,中間財が17.4%,資本財が14.0%に増加し,全体で3,189百万米ドル(対前年同月比18.2%)となった。この結果,貿易収支は,568百万米ドルの黒字となった。(10月分は未公表)

キ 外貨準備高
10月の外貨準備高は,48,696百万米ドルで,順調に推移している。

(注)表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・ペルー,ビジネス環境ランキングで下落
世銀は,本年のビジネス環境国別ランキングを発表。ペルーは,世界183か国のうち,第41位(昨年は39位)となった。ペルーは,昨年度は域内南米ではNO.1にランキングされていたが,本年度はチリに次ぐ2位となった。(10月22日)
・第9回TPP交渉
TPPの最終交渉会合となる予定であった第9回TPP会合がペルーで行われたものの,種々のセンシティビティのため,大きな進展なく終了した。今次会合の結果は各交渉国の首脳に報告され,APEC首脳会議で今後の方向性に係る決定が行われる。(10月28日)
・フィッチ・レーティングス,ペルーの信頼格付け引き上げ
8月のスタンダード&プアーズ(S&P)の格付け引き上げきに続き,フィッチ社も,ペルーのドル建て公債長期格付けを「BBB-」から「BBB」へと引き上げた。これにより,当国のフィッチにおける格付けは,ブラジル,メキシコと同レベルとなり,中南米地域においてチリに次ぐ2番目に高い格付け国となった。(11月11日)
・日本・ペルー首脳会談
ウマラ大統領,野田総理との会談がAPEC開催中のハワイで行われ,ペルーの山岳地方9州における灌漑,及びアマゾン地域5州における上下水道の整備計画に係る借款について話し合われた他,ペルーの投資環境整備,日秘EPAの発効等に係る会談が行われた。(11月12日) |