ペルー経済情勢 2011

ペルーの経済情勢(2011年1月)

 

1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率8.93%(12月:前年同月比),インフレ率0.39%(1月:前月比),対米ドル為替相場2.787ソル(1月平均値),リマ首都圏の完全失業率6.6%(12月),財政収支−3,579百万ソル(12月),貿易収支1,027百万ドルの黒字(12月)となった。引き続き高い経済成長率を記録している。

 

2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。


ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)は,8.93%(12月:前年同月比)であった(2010年通年では,8.78%)。農畜産セクターの成長率は,7.85%,漁業セクターの成長率は,−21.62%,鉱業セクターの成長率は,−4.98%,製造業の成長率は,9.55%,建設業の成長率は,12.49%となった。(1月分は未公表)


イ インフレ率
 インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.39%となった。リマ首都圏では,みかん(33.1%),パパイヤ(27.0%),ガソリン(5.2%)等の価格が上昇した。一方,トウガラシ(−43.5%),鰹(−17.4%),ジャガイモ(−4.8%)等の価格が下落した。
 最近12ヶ月(10年2月〜11年1月)の上昇率は,2.17%。


ウ 為替相場
 1月の対米ドル為替相場の平均は2.787ソルとなり,前月に比べ0.028ソル高ドル安となった。


エ 失業率
 12月のリマ首都圏の完全失業率は6.6%前月比同であった。前月に比べ,0.3%低下した。(1月分は未公表)
失業率

オ 財政収支
 12月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で14.4%増となった。歳出は,対前年同月比で1.0%増となった。全体では,プライマリーバランスは,2ヶ月連続の赤字となった。債務の利払いを含めると,−3,579百万ソルの赤字となった。(1月分は未公表)
財政収支

カ 貿易収支
 12月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比25.8%,非伝統産品が対前年同月比27.3%増加し,全体では3,713百万米ドル(対前年同月比26.2%)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が31.7%,中間財が29.3%,資本財が37.9%に増加し,全体で2,686百万米ドル(対前年同月比33.9%)となった。この結果,貿易収支は,1,027百万米ドルの黒字となった。(1月分は未公表)
貿易収支

キ 外貨準備高
 1月の外貨準備高は,44,511百万米ドルで,順調に推移している。
外貨準備高
(注)表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・2010年新車販売台数
 ペルー自動車代理店協会によると,2010年のペルー国内新車販売台数は前年比57%増の12万8百台となった。メーカー別ではトヨタ22%,現代13%,日産9%,起亜8%,シボレー6%となった。また,車種別では,乗用車(普通車,ワゴン及び多機能車等)61%,商用車(マイクロバス及び小型バン等)25%,大型バス2%,大型車(トラック及び牽引車)12%となった。(1月15日)

・2011年の経済成長率
 ベナビデス経済財務大臣より,本年のペルー経済は,2010年の好調な成長の勢いを引き継ぐ成長が見込まれ,IMFも指摘しているように,向こう5年間に6%以上の成長が達成されれば,顕著な所得水準の向上と貧困の削減が得られるであろうとの見通しが示された。ただし,電力,水道,インフラの高まる需要には適切な対応がなされる必要があり,ペルーの弱点である人材の不足に関し,教育の充実化も重要であるとの認識が示された。(1月25日)

・2010年輸出額
 SUNAT(国税庁)によると,2010年のペルー輸出は、主要輸出産品の国際価格が持ち直したこと等から輸出総額は約350億ドル,前年比30%超の増加と好調な結果となった。国別では、首位は昨年に引き続き米国であり,続いて,中国,スイス,カナダ,日本の順番となる。(1月31日)

・政策金利引き上げ
 ペルー中央銀行は,金融政策決定会合で,食品やエネルギー分野の国際価格の上昇を抑制し,また,旺盛な内需と高い経済成長に支えられ過熱気味のインフレを抑制する目的で,政策金利を3.25%から0.25%引き上げて3.50%とすることを決定した。民間金融機関は,これを受けて貸出金利を引き上げる動きを見せている。(2月11日)

・アンデス通商促進麻薬撲滅法の失効
 コロンビア,エクアドル,ペルーからの対米輸出に係る免税を定めたアンデス通商促進麻薬撲滅法は,2010年12月31日に6週間の期限延長がなされたものの,それ以上の延長は米国議会で承認されなかった。ペルーの対米輸出業者は,衣料・繊維業界を中心に恩恵を受けてきたが,今後は,米国・ペルーFTAのルールの下での輸出が継続されると業界関係者は述べた。(2月13日)

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