|
ペルー経済情勢 2011
ペルーの経済情勢(2011年3月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率8.53%(2月:前年同月比),インフレ率0.70%(3月:前月比),対米ドル為替相場2.780ソル(3月平均値),リマ首都圏の完全失業率11.1%(2月),財政収支352百万ソル(2月),貿易収支766百万ドルの黒字(2月)となった。引き続き高い経済成長率を記録している。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,8.53%(2月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,5.07%,漁業セクターの成長率は,9.09%,鉱業セクターの成長率は,−9.09%,製造業の成長率は,11.04%,建設業の成長率は,4.90%となった。(3月分は未公表)

イ インフレ率
インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.70%となった。リマ首都圏では,タマネギ(31.1%),鶏肉(8.0%),食用油(5.2%)等の価格が上昇した。一方,パッションフルーツ(−31.0%),桃(−14.7%),みかん(−13.7%)等の価格が下落した。
最近12ヶ月(10年4月〜11年3月)の上昇率は,2.66%。

ウ 為替相場
対米ドル為替相場の平均は2.780ソルとなり,前月に比べ0.010ソル安ドル高となった。

エ 失業率
2月のリマ首都圏の完全失業率は11.1%前月比同であった。前月に比べ,1.7%増加した。(3月分は未公表)

オ 財政収支
2月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で19.2%増となった。歳出は,対前年同月比で0.3%減となった。全体では,プライマリーバランスは,2ヶ月連続の黒字となった。債務の利払いを含めると,352百万ソルの黒字となった。(3月分は未公表)

カ 貿易収支
2月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比22.6%,非伝統産品が対前年同月比34.9%増加し,全体では3,325百万米ドル(対前年同月比25.2%)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が23.5%,中間財が26.7%,資本財が55.3%に増加し,全体で2,558百万米ドル(対前年同月比36.5%)となった。この結果,貿易収支は,766百万米ドルの黒字となった。(3月分は未公表)

キ 外貨準備高
外貨準備高は,46,127百万米ドルで,順調に推移している。

(注)表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・2月の新車自動車販売台数
ペルー自動車代理店協会の発表によると,2011年2月におけるペルーの新車自動車販売台数は,堅調な販売傾向が維持され,10,832台(対前年同月比34%増)となった。3月の販売台数は対前年比約10%増の10,500〜11,000台,年間では24%以上増の約15万台を見込む。(3月24日)
・2001〜2010年の成長率,中南米2位
世界銀行が各国の専門家の見解をまとめたペルーの経済動向に関する調査報告書によると,2001〜2010年の10年間において,ペルーは年平均3.8%の経済成長を記録した。これはラテンアメリカ諸国中,パナマに次いで2位であり,この10年間に達成した成長はそれ以前の30年間の成長を上回る。マクロ経済の安定,生産性の向上,雇用の創出拡大,過去における政策上の誤りの是正等がその要因として挙げられる。世銀はかかる高成長を高く評価し,新政権も現行の路線を引き継ぐべきとしている。(3月30日)
・ペルー・メキシコFTA署名
フェレイロス通商観光大臣とフェラーリ・メキシコ経済大臣が大統領府においてペルー・メキシコFTAの署名を行った。フェレイロス大臣は,今後,両国は国内手続を継続し,7月上旬の発効が念頭にあると述べた。本協定は,ペルーの輸出拡大の扉を開くだけでなく,投資促進・保護に係る章を含み,両国間の資本取引を促すことから重要である旨述べた。(4月6日)
・ペルーの為替市場,中南米で最も安定
IMFは,ペルーの為替は中南米で最も安定しているものの一つであるとして,概要以下のとおり発表した。ペルー政府は金融市場の安定を確保するための効果的な措置を実施し,ペルーはGDPの7%に相当する資本の流入を受け入れた。ペルーは世界経済危機にあって2009年に成長した数少ない国の一つであり,健全なマクロ経済政策及び銅や金の輸出による2002年以来のペルー経済の堅実な発展は,外国投資や資本の流入を促した。(4月6日)
・799品目の関税を引き下げ
ペルー政府は,クスコジャイアントコーンを含むトウモロコシ7品目の関税を0%,食品,織物,履物,家電製品等の792品目の関税を11%に引き下げた。ベナビデス経済財政大臣は,今次政権にとってインフレは重点課題の1つであり,我が国のインフレは輸入に起因するところが大きく,関税引き下げは,価格高騰の回避に寄与する旨述べた。(4月11日)
・ペルー,コロンビア,EU間のFTA,署名
ポサダ通商副大臣,デ・グフトEU貿易担当委員,グラナドス・コロンビア商工観光大臣によりペルー,コロンビア,EU間のFTAに署名がなされた。今後,23の言語に訳され,EU各メンバー国の議会及び欧州議会による承認が行われる。ペルーにおいては外務省が議会承認の要否を判断する。デ・グフト委員は,2012年第2四半期に発効する可能性がある旨述べた。(4月14日)
|