ペルー経済情勢 2011

ペルーの経済情勢(2011年5月)

 

1.総論

 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率7.35%(4月:前年同月比),インフレ率-0.02%(5月:前月比),対米ドル為替相場2.774ソル(5月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.8%(4月),財政収支5,212百万ソル(4月),貿易収支285百万ドルの黒字(4月)となった。引き続き高い経済成長率を記録している。

 

2.各論

(1)主要経済指標

 ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。

ア 経済成長率

最新の経済成長率(GDP成長率),7.35%(4月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,2.63%,漁業セクターの成長率は,93.75%,鉱業セクターの成長率は,-10.69%,製造業の成長率は,9.20%,建設業の成長率は,0.10%となった。(5月分は未公表)

 

イ インフレ率

 インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,-0.02%となった。リマ首都圏では,とうがらし(43.0%),タマネギ(9.4%),パン(1.2%)等の価格が上昇した。一方,みかん(-15.1%),グリンピース(-11.5%),レモン(-8.3%)等の価格が下落した。

 最近12ヶ月(10年4月~11年5月)の上昇率は,3.07%。

 

ウ 為替相場

5月の対米ドル為替相場の平均は2.774ソルとなり,前月に比べ0.042ソル高ドル安となった。

 

エ 失業率

 4月のリマ首都圏の完全失業率は7.8%前月比同であった。前月に比べ,0.3%増加した。(5月分は未公表)

 

オ 財政収支

 4月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で18.1%増となった。歳出は,対前年同月比で-23.6%減となった。全体では,プライマリーバランスは,4ヶ月連続の黒字となった。債務の利払いを含めると,5,212百万ソルの黒字となった。(5月分は未公表)

 

 カ 貿易収支

 4月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比27.6%,非伝統産品が対前年同月比27.5%増加し,全体では3,380百万米ドル(対前年同月比27.3%)となった。

輸入額は,対前年同月比で消費財が19.2%,中間財が43.5%,資本財が43.8%に増加し,全体で3,095百万米ドル(対前年同月比38.9%)となった。この結果,貿易収支は,285百万米ドルの黒字となった。(5月分は未公表)

 

キ 外貨準備高

5月の外貨準備高は,46,307百万米ドルで,順調に推移している。

 

(注)表中の数値は今後修正される可能性あり。

 

(2)最近の主な出来事(発表記事等)

・日本・ペルー経済連携協定の署名

松本外務大臣とフェレイロス通商観光相との間でEPAが署名された。同署名により,両国間の古く充実した友好同盟関係が確認されただけでなく,貿易投資関係を拡大する新たな可能性が広がる。ペルーは伝統的市場との通商関係を維持・強化すると同時にアジアの大国との接近を図った。この意味において,一世紀以上前から通商,文化,移住の交流を維持してきた日本は,ペルーにとって戦略的なパートナーである。(5月31日)

・本年のGDP成長率目標,6.5%に下方修正

ベナビデス経済財政相は,本年のGDP成長率目標を6.5%に下方修正した。経済財政省は,昨年8月に5%と予測していたが,その後7.5%に上方修正していた。本年第一四半期のGDP成長率が8.8%を記録したにもかかわらず,今回の下方修正が行われた背景には,大統領選挙をめぐる不安定性による民間投資の減少がある。(5月24日)

・ペルー・パナマ,ペルー・コスタリカFTA署名

ペルーとパナマ,ペルーとコスタリカとの間でそれぞれFTAが署名された。なお,両協定の発効時期について,フェレイロス通商観光相は,本年7月または8月としている。他方,ペルーについては行政府限りの手続きで批准可能であるのに対し,パナマ,コスタリカでは各国国会の承認が必要として,2012年初頭の発効を見込んでいる。(5月26日)

・リマ証券取引所,チリ及びコロンビアの取引所との統合運用

リマ証券取引所,ボゴタ証券取引所(コロンビア)及びサンティアゴ証券取引所(チリ)を統合した南米統合証券市場(MILA)が,5月30日に取引を開始した。MILAへの株式上場企業は565社で,その資産合計は6500億ドルに達し,域内最大の規模となる。(5月31日)

・株価、歴史的下げ幅を記録

6月5日の大統領選決選投票でウマラ候補の当選が確実な情勢となったことから,6日のリマ証券取引所では,資源関連企業を中心に売り注文が殺到し,総合株価指数,12.41ポイント減と過去最大の下げ幅を記録し,取引を停止したが,翌日以降回復した。(6月7日~)

・クスコ農民,日本の被災者に義捐金を寄付

日本への円借款に対する感謝として,裨益したクスコの農民組織が日本の地震の被災者への義捐金を寄付した。その総額は,8,534.5ソルに上り,福川日本国大使に手渡された。賞賛すべきことは,多くの貧しい農民がクイや農畜産品を販売し,募金を行ったことである。(6月7日)

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