ペルー経済情勢 2011

ペルーの経済情勢(2012年2月)

 

1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率5.38%(1月:前年同月比),インフレ率0.32%(2月:前月比),対米ドル為替相場2.683ソル(2月平均値),リマ首都圏の完全失業率9.2%(1月),財政収支4,147百万ソル(1月),貿易収支709百万ドルの黒字(1月)となった。

 

2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。


ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)は,5.38%(1月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,2.24%,漁業セクターの成長率は,−7.71%,鉱業セクターの成長率は,−0.86%,製造業の成長率は,1.70%,建設業の成長率は,4.43%となった。(2月分は未公表)

GDP成長率

イ インフレ率
 インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.32%となった。リマ首都圏では,タマネギ(12.1%),タマゴ(6.1%),ジャガイモ(5.2%)等の価格が上昇した。一方,鰹(−24.1%),トウモロコシ(−14.6%),レモン(−12.5%)等の価格が下落した。
 最近12ヶ月(客年3月〜本年2月)の上昇率は,4.17%。

インフレ率の推移

ウ 為替相場
 2月の対米ドル為替相場の平均は2.683ソルとなり,ソル高ドル安の傾向が続いている。

為替の推移

エ 失業率
 1月のリマ首都圏の完全失業率は9.2%であり,2ヶ月連続で悪化している。(2月分は未公表)

失業率推移

オ 財政収支
 1月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で19.3%増となった。歳出は,対前年同月比で7.2%減となった。全体では,プライマリーバランスは,2ヶ月ぶりの黒字となった。債務の利払いを含めて,4,147百万ソルの黒字となった。(2月分は未公表)

財政収支

カ 貿易収支
 1月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比38.9%,非伝統産品が対前年同月比21.8%増加し,全体では3,995百万米ドル(対前年同月比34.7%増)となった。
 輸入額は,対前年同月比で消費財が36.8%,中間財が17.6%,資本財が20.0%増加し,全体で3,285百万米ドル(対前年同月比21.0%増)となった。この結果,貿易収支は,709百万米ドルの黒字となった。(2月分は未公表)

貿易収支

キ 外貨準備高
 2月の外貨準備高は,53,315百万米ドルで,増加傾向が続いている。

外貨準備高
(注)表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・リマ首都圏の地下鉄整備に係る政府方針の発表
 ウマラ大統領は,リマ市東部のアテ地区から,リマ旧市街のグラウ通り付近で1号線と接続し,港湾のあるカヤオ地区及びホルヘ・チャベス国際空港を結ぶ計画のメトロ(電気鉄道)2号線を,ペルー初の地下鉄方式により建設する旨発表した。今後,投資促進庁にて建設のための調査が行われる。(2月16日)
・日本,ペルーの山岳・熱帯雨林地域に経済協力を実施
 福川駐ペルー日本国大使とカスティーヤ経済財政相は,ウマラ政権下では初めてとなる円借款2件の供与に係る交換公文への署名を行った。ペルーの地方部に裨益する計85百万ドルのプロジェクトは,山岳地域における小中規模灌漑整備計画及びアマゾン地域農村部における給水・衛生計画であり,前者は山岳地域9州において,灌漑施設の新設等により,農業生産を増大し,地域住民の生活水準の向上を図ることを目的とし,後者は北部熱帯雨林地域3州における上下水道施設の整備等を通じて地域住民の衛生生活環境の改善を図る。(2月21日)
・エネルギー鉱山省とJOGMEC協力合意書署名
 エネルギー鉱山省と独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)は,鉱山環境負荷対策調査,適切な対策及び管理手法構築に向けた支援の継続に係る協力合意書に署名した。(2月23日)
・日ペルー経済連携協定(EPA)発効
 3月1日,本協定に基づく第1回委員会が福川駐ペルー日本国大使とポサダ通商副大臣との間で開催され,本協定の実施に係る文書や情報の交換等が行われ日ペルーEPAが発効した。また,運用や問題解決につき両国間で協議するための小委員会が立ち上げられた。(3月1日)
・中国向け貿易黒字額の大幅増
 リマ商工会議所の発表によると,中ペルーFTA発効から2年が経過,2011年の中国向け輸出額は約124億ドル,輸入額が約107億ドルとなり,貿易黒字は約17億ドル(前年比で71.2%増)となった。同時に,ペルーの輸出相手国で中国は米国を抜き首位となった。(3月6日)
・政策金利,据え置き
 中央銀行は,金融政策理事会を開催し,政策金利を年4.25%で据え置くと発表。政策金利は,客年6月以降は10ヶ月連続据え置いている。(3月8日)
・外国直接投資額,過去最高を記録
 2011年外国直接投資額は,持続的な経済政策,バランスの取れた投資環境,社会対策により,マクロ経済が安定していたことを背景に堅調に推移し,06年−10年の年平均58億ドルを上回り,77億ドルに達し,過去最高を記録した。(3月9日)
・ペルー新車自動車販売台数
 ペルー自動車代理店協会(APAPER)の発表によると,2月のペルー新車自動車販売台数は,対前年比28%増の13,813台となり,好調な販売が続いている。(3月12日)
・鉱業投資額,過去最高を記録
 エネルギー鉱山省の発表によると,2011年の鉱業投資額は,対前年比77%増の72億2百万ドルに達した。分野別では,インフラ整備,プラント設備及び鉱山関連設備等,地域別では,カハマルカ州,フニン州,アプリマック州の順に投資額が多い。(3月13日)

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