ペルー経済情勢 2012年
ペルーの経済情勢(2012年5月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率4.37%(4月:前年同月比),インフレ率0.04%(5月:前月比),対米ドル為替相場2.669ソル(5月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.4%(4月),財政収支4,528百万ソル(4月),貿易収支144百万ドルの赤字(4月)となった。 対前年同月比GDP成長率は,2ヶ月連続鈍化した。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行報告及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,4.37%(4月:前年同月比)であった。農畜産セクターの成長率は,1.06%,漁業セクターの成長率は,−48.55%,鉱業セクターの成長率は,5.02%,製造業の成長率は,−4.25%,建設業の成長率は,15.18%となった。(5月分は未公表)

イ インフレ率
インフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.04%となり,最近12ヶ月(客年6月〜本年5月)の上昇率は,4.14%。

ウ 為替相場
5月の対米ドル為替相場の平均は2.669ソルとなり,8ヶ月振りにソル安ドル高となった。

エ 失業率
4月のリマ首都圏の完全失業率は7.4%であった。(5月分は未公表)

オ 財政収支
4月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で0.3%増となった。歳出は,対前年同月比で4.9%増となった。全体では,プライマリーバランスは,4,703百万ドルの黒字となった。債務の利払いを含めても,4,528百万ソルの黒字となった。(5月分は未公表)

カ 貿易収支
4月の輸出額は,伝統産品が鉱物価格の下落等が影響し対前年同月比15.3%減,非伝統産品が同1.4%増加し,全体では3,057百万米ドル(対前年同月比11.2%減少)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が14.2%,資本財が17.7%増加,中間財が7.2%減少し,全体で3,201百万米ドル(対前年同月比3.3%増)となった。この結果,貿易収支は,144百万米ドルの赤字となった。(5月分は未公表)

キ 外貨準備高
5月の外貨準備高は,56,882百万米ドルとなった。

ク 累積債務
2012年第一四半期の対外債務累計総額は,51,987百万米ドルで,増加傾向が続いている。債務内容は,大部分が中長期債務で,短期債務は3期ぶりに増加した。(第二四半期は未公表)

ケ 自動車販売台数
5月の新車自動車販売台数(自動車代理店協会発表)は,対前年同月比34.5%増の16,542台と好調を持続。なお,本年1月−5月の同販売台数は,対前年同期比35.6%増の75,976台となった。 また,4月の日本全メーカーの同販売台数は,対前年同期比55.3%増(5,667台)となり,昨年3月の東日本大震災の影響により大きく落としたシェアは,対前年同月比4.0%増となった。(5月は未発表)
 (注)表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・ペルーの貧困率
INEI(国家情報統計院)は,2011年末におけるペルー全体の貧困率は27.8%(一人当たりの月間支出約100ドル)となり,前年30.8%から3.0ポイント低下,約79万人が貧困状態から脱した。他方,未だ約830万人が貧困状態にある旨発表。(5月30日)
・2013年〜2015年のマクロ経済見通し
経済財政省(MEF)は,現行の経済状況が継続した場合,2013年〜2015年のペルーの経済成長率は,6%(2013年),6.5%(2014年,2015年)。さらに,1人当たりのGDPも拡大し,2020年には,2000年比約3倍となり,2015年にコロンビア,2020年にはブラジルを上回ると発表。(5月31日)
・太平洋同盟首脳会合(ウマラ大統領発言)
チリ・アントファガスタ市で開催された太平洋同盟首脳会談において,ペルー,チリ,コロンビア,メキシコの首脳は,経済貿易分野での連携強化を目指す太平洋同盟の結成で基本合意した。ウマラ大統領は,太平洋同盟は,不平等及び経済の多様化へ対処するメンバー諸国を支援する政策の設定を含めるべきである。2億人を越える人口と世界に向けたラテンアメリカの貿易総額の50%を越える市場であること,この潜在的能力を享受するために,貧困と不平等の効果的な方法での根絶を支援する政策の設立をアジェンダに含める必要性がある等のコメントを発表。(6月6日)
・政策金利据え置き
ペルー中央銀行金融政策決定会合は、欧州金融不安等による国際市況の下落等の要素から13ヶ月連続の政策金利の据え置き(4.25%)を発表。(6月7日)
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