ペルー経済情勢 2014年
ペルーの経済情勢(2014年7月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率1.84%(5月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.45%(6月までの一年間),対米ドル為替相場2.795(6月平均値),リマ首都圏の完全失業率5.6%(5月),財政収支880万ソルの黒字(5月),貿易収支746百万米ドルの赤字(5月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,5月の1.84%(前年同月比)であった(6月分は未公表)。鉱業・炭化水素,製造分野の落ち込みの影響で成長率が下落した。また,本年1月から5月までの経済成長率は3.57%(前年同期比)であった。


イ インフレ率
6月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.16%となり,最近12ヶ月(客年7月〜本年6月)の上昇率は,3.45%となった。

ウ 為替相場
6月の対米ドル為替相場の平均は2.795ソルであった。

エ 失業率
5月のリマ首都圏の完全失業率は5.6%であった。(6月分は未公表)

オ 財政収支
5月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で2.1%増となった。歳出は,対前年同月比で7.0%増となった。全体では,プライマリーバランスは,1,438百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,880百万ソルの黒字となった。(6月分は未公表)

カ 貿易収支
5月の輸出額は,伝統産品が対前年同月比28.7%減,非伝統産品が1.7%減となり,全体では2,751百万米ドル(対前年同月比21.9%減)となった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が0.4%増,中間財が8.4%減,資本財が12.8%減となり,全体で3,497百万米ドル(対前年同月比7.8%減)となった。この結果,貿易収支は,746百万米ドルの赤字となった。(6月分は未公表)
キ 外貨準備高
6月末の外貨準備高は,64,581百万米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2014年第1四半期末の対外債務累計総額は,60,825百万米ドルであった。

(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり
(2)最近の主な出来事(発表記事等)
・南部ガス・パイプライン建設計画の入札実施
クスコ州のカミセア・ガス田から南東部海岸地帯まで,1,000km超に亘り32インチ口径のパイプラインを建設する南部ガス・パイプライン建設計画の入札が行われ,オデブレヒト社(伯)及びエナガス社(西)による「ペルー南部ガス・パイプライン」コンソーシアムが事業者に決定。本パイプラインはクスコ,アレキパといった南部の主要都市付近を通過し沿線へ現在よりも廉価にガスを供給する他,終点となるモイェンド(アレキパ州)及びイロ(モケグア州)には火力発電所が建設される予定。完成は2019年の見込みで,建設経費は36〜40億ドル程度と見られる。(6月30日)
・ムーディーズの信用評価引き上げ
ムーディーズ社はペルーの外貨建て長期債務の信用評価を「Baa2」から「A3」に2段階引き上げ。これは,メキシコと並び,中南米諸国ではチリ(Aa3)に次いで第2位の評価。同社は今次引き上げに関し,ペルー政府の財政状況の健全さ(2013年における財政黒字,債務の減少傾向等)や右を強化するための諸施策(税制改革や鉱業への依存減少に係る取り組み),構造改革や経済活性化に向けた努力などを評価したと説明。(7月2日)
・経済再活性パッケージ
国会が経済財政省による「経済再活性パッケージ」を承認。同パッケージには,法人税を滞納している企業に対する一定条件の下での追徴金軽減,税務監督庁(SUNAT)の企業査察等に係る権限の制限,資源開発等に際しての環境関連手続き・許認可の簡素化と作業迅速化,インフラ整備事業における不動産の法的整理に係る手続きの軽減,投資・ビジネス活動監督当局の業務に対する経済財政省の指導権限の強化,中小企業ファンドの立ち上げなど,規制緩和による企業活動の活性化及び投資の促進に資する数々の施策が含まれている。(7月3日) |