ペルー経済情勢 2015年

ペルーの経済情勢(2015年1月)

 

 

1 総論

 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率0.31%(11月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.22%(12月までの一年間),対米ドル為替相場2.963(12月平均値),リマ首都圏の完全失業率5.5%(12月),財政収支1,606百万ソルの黒字(11月),貿易収支253百万米ドルの赤字(11月)となった。


2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。


ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)は,11月の0.31%(前年同月比)であった(12月分は未公表)。また,昨年1月から11月までの経済成長率は2.52%(前年同期比)であった。

 


 

 

イ インフレ率
 12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.23%となり,最近12か月(昨年1月〜12月)の上昇率は,3.22%となった。

 

 

ウ 為替相場
 12月の対米ドル為替相場の平均は2.963ソルであった。

 

エ 失業率
 12月のリマ首都圏の完全失業率は5.5%であった。

 

オ 財政収支
 11月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で11.9%増となった。歳出は,対前年同月比で2.9%増となった。全体では,プライマリーバランスは,2,263百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,1,606百万ソルの黒字となった(12月分は未公表)。


カ 貿易収支
 11月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比14.8%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.6%減となり,全体では3,002百万米ドル(対前年同月比10.9%減)となった。主要輸出品目は銅,金,原油であった。

 輸入額は,対前年同月比で消費財が6.5%減,中間財は6.5%減,資本財が8.1%減となり,全体で3,255百万米ドル(対前年同月比4.0%減)となった。この結果,貿易収支は,253百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は携帯電話,自動車,テレビであった。(12月分は未公表)



キ 外貨準備高

 12月末の外貨準備高は,62,308百万米ドルとなった。


 

ク 対外累積債務
 2014年第3四半期末の対外債務累計総額は,63,465百万米ドルであった。


    (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり

 

(2)最近の主な出来事

・2015年経済展望 セグラ経財相:「ラテンアメリカとペルーは回復する。」
 セグラ経済財政相は,2014年を振り返り,ラテンアメリカ諸国の経済成長はおよそ1%にとどまったとし,主に中国等世界的な需要減を背景とする外的要因の影響を受けたと分析,ペルーは財政均衡策を維持しながら経済活性化の政策を講じ,2015年は経済活性化政策の効果と外的要因回復で経済成長を回復するとの期待感を表明した。ペルーの2014年のGDP成長率を2.8,2015年は5.0%と試算した。また,インフレ率も2014年が3.2%で,2015年は2.0〜3.0%の間になるとの予測を示した(1月5日)。


・現政権下で落札された27プロジェクトのうち17プロジェクトは未だ工事開始せず。
 ウマラ政権下で落札された27のプロジェクト(総額約150億米ドル)のうち,約3分の2にあたる17プロジェクト(総額約76.5億米ドル)が未だ工事開始に至っていない。2014年は低い経済成長率(2.6%〜2.7%)が見込まれている。しかしながら,昨年12月に大型プロジェクトの一つである地下鉄2号線(約51.7億米ドル)の工事が開始され,これらの未着手のプロジェクトのうち,南部ガスパイプライン敷設工事(約36.4億米ドル)が今年第1四半期にも開始される見込みである。この2つの巨大プロジェクトの始動がペルー経済に弾みをもたらすだろう(1月6日)。

 

・エクアドルの緊急輸入規制措置(セーフガード措置)発動
 5日にエクアドルが緊急輸入規制措置(セーフガード措置)を発動。ペルー産輸入品に7%の関税を課す旨発表。ペルー通商観光省は,同日,アンデス共同体(CAN)での議論を尊重し,対話の精神に反する同国の措置に強い拒絶と不満を表明した。シルバ同大臣は,CANの場において同国に対して適正な手続きを要求するとともに,ペルー国内輸出事業者の利益を守り,CANのルールを厳正に遂行するため必要な措置を講ずる旨明言した。なお,リマ商工会議所試算によれば,同措置適用によりペルー企業は1億8000万米ドルの損失を被ると試算した(1月7日及び8日)。

 

・経済財政相、経済成長率予測5%を4.8%へ下方修正

 セグラ経済財政相は,今年の経済成長予測5.0%を4.8%に下方修正することを発表した。この数字は,最近発表されたペルー中央準備銀行発表の予測値と同じである。下方修正の要因として,アメリカ連邦準備銀行(FRB)による貸付金利率増加がペルーを含めた新興国に与えるマイナス影響と銅などの第一次産品の国際価格下落による収益減などの外的要因を挙げている。今年は,地下鉄2号線建設や南部ガスパイプライン敷設工事による12%の公共投資増を通して成長率回復を予測する(1月30日)。

 

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