ペルー経済情勢 2015年

ペルーの経済情勢(2015年3月)

 

 

1 総論

最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率1.68%(1月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.77%(2月までの一年間),対米ドル為替相場3.079(2月平均値),リマ首都圏の完全失業率6.8%(2月),財政収支1,310百万ソルの赤字(2月),貿易収支317百万米ドルの赤字(1月)となった。


2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。


ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)は,1月の1.68%(前年同月比)であった(2月分は未公表)。

 





 


 

イ インフレ率
 2月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.30%となり,最近12か月(昨年3月〜2月)の上昇率は,2.77%となった。

 

 

 

ウ 為替相場
 2月の対米ドル為替相場の平均は3.079ソルであった。



 

エ 失業率
 2月のリマ首都圏の完全失業率は6.8%であった。

 

 

オ 財政収支
 2月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で2.1%減となった。歳出は,対前年同月比で23.8%増となった。全体では,プライマリーバランスは,77百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,1,310百万ソルの赤字となった(3月分は未公表)。





カ 貿易収支
 1月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比12.6%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.5%減となり,全体では2,845百万米ドル(対前年同月比10.1%減)となった。主要輸出品目は銅,金,ぶどう,マンゴーであった。

 輸入額は,対前年同月比で消費財が3.1%増,中間財は17.0%減,資本財が15.1%減となり,全体で3,163百万米ドル(対前年同月比12.5%減)となった。この結果,貿易収支は,317百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は携帯電話,トウモロコシ,自動車,原油であった(2月分は未公表)。






キ 外貨準備高

 2月末の外貨準備高は,61,896百万米ドルとなった。





 

ク 対外累積債務
 2014年第4四半期末の対外債務累計総額は,64,355百万米ドルであった。




    (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり

 

(2)最近の主な出来事

・経済財政相が減税効果について年間40億ソルと報告
 セグラ経済財政相は,本年より実施されている減税の裨益規模は1か月当たり約4億ソルであり,個人,家計,民間企業などの裨益者がその分を再投資することなどにより,ペルー経済に年間40億ソル以上の資金流入効果があると報告した。今後も,中長期的に(5〜20年)6.5%の経済成長を目指し,地方政府の適切な公共投資実施への国の支援など,幅広い政策を打ち出していくとしている(4月10日)。


・経済財政相が本年の経済成長率予測を下方修正。
 セグラ経済財政相が,本年の経済成長予測を4.2%から4.0%以下に下方修正した。その理由として,消費と民間投資の鈍化及びエルニーニョの影響を指摘している。年初の予測は5.0%であったが,1月末に4.8%,3月初めに4.2%,そして今回と連続して下方修正している(4月8日)。

 

・ECLACの本年の経済成長予測 
 ECLAC(国連ラ米カリブ経済委員会)は,本年のペルーの経済成長率予測を4.2%と発表した。南米ではボリビア(5.0%)に次いで2番目に高く,パラグアイ4.2%,コロンビア3.6%,エクアドル3.5%,チリ3.0%,ウルグアイ3.0%,アルゼンチン0.0%,ブラジル−0.9%,ベネズエラ−3.5%と続く。ラテンアメリカ及びカリブ地域全体の平均では1.0%と予測している(4月6日)。

 

・地方政府の公共投資額の減少

 本年第1四半期の地方政府の公共投資額は,前年同期比20.6%減の36億8600万ソルであった。昨年10月の統一地方選挙により年初に首長が交代したことなどが理由。本年予算の執行率を州別に見ると,アヤクチョ州(29.8%),ラリベルタ州(25.9%),ワヌコ州(23.4%),ウカヤリ州(22.9%),リマ州(22.4%)で20%を超えている一方,アンカッシュ州(2.3%),パスコ州(3.9%),プーノ州(4.3%)、イカ州(5.1%)など,1桁台にとどまるところも多い(4月6日)。

 

・エルニーニョ現象の経済への影響

 リマック・セグロ社(当地保険会社)の試算によれば,現在発生が懸念されているエルニーニョ現象が本年中旬に発生した場合,同現象の弱・中・強の程度に応じて,国内総生産がそれぞれ0.5%,1.0%,3.0%減少し,特に漁業,農業,製造業の分野に大きな影響を与える見込み。また,インフラへの損害も懸念されるとしている(3月31日)。

 

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