ペルー経済情勢 2015年

ペルーの経済情勢(2015年5月)

 

 

1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.68%(3月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.02%(4月までの一年間),対米ドル為替相場3.121(4月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.6%(4月),財政収支2,235百万ソルの黒字(4月),貿易収支522百万米ドルの赤字(3月)となった。


2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。


ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)は,3月の2.68%(前年同月比)であった(4月分は未公表)。

 





 

イ インフレ率
 4月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.39%となり,最近12か月(昨年5月〜4月)の上昇率は,3.02%となった。

 

 

 

ウ 為替相場
 4月の対米ドル為替相場の平均は3.121ソルであった。



 

エ 失業率
 4月のリマ首都圏の完全失業率は7.6%であった。

 

 

オ 財政収支
 4月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で10.1%減となった。歳出は,対前年同月比で8.2%増となった。全体では,プライマリーバランスは,2,358百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,2,235百万ソルの黒字となった(5月分は未公表)。





カ 貿易収支
 3月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比19.8%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が12.2%減となり,全体では2,692百万米ドル(対前年同月比17.9%減)となった。主要輸出品目は銅,金,石油類,マンゴーであった。

 輸入額は,対前年同月比で消費財が1.3%増,中間財は15.8%減,資本財が5.5%増となり,全体で3,214百万米ドル(対前年同月比4.7%減)となった。この結果,貿易収支は,522百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は携帯電話・無線機器類,自動車,原油であった(4月分は未公表)。






キ 外貨準備高

 4月末の外貨準備高は,61,627百万米ドルとなった。





 

ク 対外累積債務
 2015年第1四半期末の対外債務累計総額は,65,074百万米ドルであった。




    (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり

 

(2)最近の主な出来事

・中国製衣料品へのアンチダンピング措置撤回
 競争・知的財産保護庁(Indecopi)が,2013年12月に裁定し,翌年第1四半期から適用された中国産輸入衣料5品目(ポロシャツ,ワイシャツ,ズボン,下着及び靴下)に対するアンチダンピング措置(一着につき0.12〜3.73米ドルの課税)の撤回を表明。中国系繊維業者団体や輸入業者の不服申し立てを受けた検討の結果,自国産に損害を与えていないことを認め,撤回を決定したもの。本決定に対し,全国工業協会(SNI)は反対する一方,ペルー貿易協会(COMEX)は,国内消費者が安価な衣料品を購入することが可能になるとして評価している(6月4日)。


・発電能力の増加
 エネルギー鉱山省によれば,今後2年間に22の発電プロジェクトが稼動する予定であり,その結果,2016年までに総発電量は現在の1万1,284MWから27%(3,066MW)増の1万4350MWに達する見込み。合計で約42億ドルが投資される。内訳は水力発電が10プロジェクト,32.5億ドルを投資し,発電量は合計1,646MW,火力発電が3プロジェクト,同5.5億ドル及び1,185MW,再生可能エネルギーが9プロジェクト,同3.9億ドル及び235MWとなる(5月27日)。

 

・住宅取得等にかかる補助金予算の追加

 フォンヘッセ住宅建設上下水道相が,経済活性化のために,住宅取得等にかかる補助金予算を3億ドル追加すると発表。本補助金は,住宅取得等を希望する月収1,860ソル未満の家庭を対象に,取得の場合は15,400ソル又は19,250ソルを,新築の場合は13,475ソル又は18,095ソルを,改築の場合は8,855ソルの補助を行なうもので,2011年8月以降,62億5,000ソルが投じられ,14万7000戸以上の住宅に適用,66万人以上が恩恵を受けている。(5月26日)。

 

・経済成長及び持続可能な開発のための投資促進法の公布

 インフラ整備のための土地等の取得手続きの簡略化,国家環境影響評価システムの最適化及び強化,行政手続きの簡略化などを定めた,経済成長及び持続的な発展のための投資促進法が公布された。重要なインフラプロジェクトの実施に際し,各種手続きの円滑化が期待される。今後,行政手続き規則等の改正などを行い,本年8月から実施される予定(5月22日)。

 

 

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