ペルー経済情勢 2015年
ペルーの経済情勢(2015年6月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率4.25%(4月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.37%(5月までの一年間),対米ドル為替相場3.151(5月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.4%(5月),財政収支936百万ソルの赤字(5月),貿易収支647百万米ドルの赤字(4月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,4月の4.25%(前年同月比)であった(5月分は未公表)。



イ インフレ率
5月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.56%となり,最近12か月(昨年6月〜5月)の上昇率は,3.37%となった。


ウ 為替相場
5月の対米ドル為替相場の平均は3.151ソルであった。


エ 失業率
5月のリマ首都圏の完全失業率は7.4%であった。


オ 財政収支
5月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で6.4%減となった。歳出は,対前年同月比で14.6%増となった。全体では,プライマリーバランスは,353百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,936百万ソルの赤字となった(6月分は未公表)。



カ 貿易収支
4月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比27.7%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が17.1%減となり,全体では2,360百万米ドル(対前年同月比24.5%減)となった。主要輸出品目は銅,金,天然ガス派生品(統計分類上はDerivados de petroleo),亜鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が15.2%減,中間財は17.1%減,資本財が15.6%減となり,全体で3,007百万米ドル(対前年同月比16.2%減)となった。この結果,貿易収支は,647百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は携帯電話・無線機器類,原油,自動車,テレビであった(5月分は未公表)。

キ 外貨準備高
5月末の外貨準備高は,60,413百万米ドルとなった。



ク 対外累積債務
2015年第1四半期末の対外債務累計総額は,65,074百万米ドルであった。


(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり
(2)最近の主な出来事
・経済協力開発機構(OECD)がラテンアメリカ諸国でペルー経済は活況と報告
経済協力開発機構(OECD)は,2015年ペルー経済成長率は3.6%でラテンアメリカ諸国の中で最も活況のある国の一つと報告した。公共投資は国内総生産の6%にのぼり,うち40%が地方政府,地方自治体によるものであり,6%は同機構加盟国の中でも最高となる。投資率の高さが経済成長率に直結するわけではないとしながらも,投資の質的改善や連携策が重要な鍵になるとし情報収集や公共行政の管理改善強化が必要と分析している。(6月22日)。
・太平洋同盟第10回首脳会合の開催
太平洋同盟(チリ、コロンビア、メキシコ、ペルー)の第10回首脳会合がイカ州パラカスにおいて開催された。太平洋同盟枠組協定のまもなくの発効や追加議定書の改定及び協力基金を創設する協定のプロセスの進展を強調し,また今次会合から42か国となるオブザーバー国との協力関係の強化を継続する意思を表明したパラカス宣言が採択された。また,本首脳会合にて,議長国(1年間)がメキシコからペルーに引き継がれた。(7月3日)。
・公共事業インフラ整備事業の簡略化を法制化
国会の授権法付与に基づき政府はインフラ整備公共投資ファイナンスの簡略化を骨子とする新法を公布した。建設部門の投資促進で下半期の経済活性化を目指す。6月25日現在,公共投資は中央政府約49億ソル,地方政府約17億ソル,地方自治体約29億ソルとなっている。(7月7日)。
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