ペルー経済情勢 2015年
ペルーの経済情勢(2015年11月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.95%(9月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率4.17%(11月までの一年間),対米ドル為替相場3.338(11月平均値),リマ首都圏の完全失業率4.7%(10月),財政収支1,984百万ソルの赤字(10月),貿易収支175百万米ドルの赤字(10月)となった。。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,9月の2.95%(前年同月比)であった(10月分は未公表)。



イ インフレ率
11月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.34%となり,最近12か月(昨年12月〜11月)の上昇率は,4.17%となった。


ウ 為替相場
11月の対米ドル為替相場の平均は3.338ソルであった。


エ 失業率
10月のリマ首都圏の完全失業率は4.7%であった。


オ 財政収支
10月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で6.6%減となった。歳出は,対前年同月比で13.6%増となった。全体では,プライマリーバランスは,1,889百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,1,984百万ソルの赤字となった。



カ 貿易収支
10月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比12.3%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が11.8%減となり,全体では2,954百万米ドル(対前年同月比12.2%減)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,魚粉であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が6.1%減,中間財は20.5%減,資本財が6.1%減となり,全体で3,129百万米ドル(対前年同月比12.1%減)となった。この結果,貿易収支は,175百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は自動車,テレビ,オートバイであった。



キ 外貨準備高
11月末の外貨準備高は,62,196百万米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2015年第3四半期末の対外債務累計総額は,67,027百万米ドルであった。


(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり
(2)最近の主な出来事
・企業幹部年次総会(CADE)がパラカスにて開催
ペルー経営問題研究所(IPAE)は,12月2日から4日にかけ,1000名以上の官民セクターの幹部が集う企業幹部年次総会(CADE)をパラカス(イカ州)で開催した。同総会は,マリソル・エスピノサ副大統領の参加を得て行われ,今後5年間のペルー経済の回復へ向け,選挙運動の透明性,民主主義の発展,官民セクターの発展へ向けた各議論が行われた。また,次期大統領選挙の候補者5名による次期政権へ向けた演説も行われた。(12月4日)
・2016年予算の承認
2016年予算が国会で承認され12月6日付官報に掲載された。予算総額は1384億9051万ソル(約412.2億米ドル(1米ドル≒3.36ソル))で,2015年予算に比して6.6%増加した。(12月6日)
・中央準備銀行、政策金利を3.5%から3.75%へ引き上げ
ペルー中央準備銀行(BCR)は,政策金利を3.75%へ引き上げることを決定した。BCRは,この金利引き上げの理由として,1)インフレ率(本年10月:4.17%)が予測を上回っていること,2)インフレは,食品価格の上昇,公共サービス,為替下落など一時的な要因によって影響を受けていること,3)経済活動が回復傾向にあること,4)国際指標が金融・為替市場の変動と同様に世界経済の回復を複合的に示していることを挙げている。(12月10日)
(了)
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