ペルー経済情勢 2015年
ペルーの経済情勢(2015年12月)
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率3.96%(11月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率4.40%(12月までの一年間),対米ドル為替相場3.384(12月平均値),リマ首都圏の完全失業率6.2%(11月),財政収支9,259百万ソルの赤字(12月),貿易収支282百万米ドルの赤字(11月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,11月の3.96%(前年同月比)であった(12月分は未公表)。



イ インフレ率
12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.45%となり,最近12か月(本年1月〜12月)の上昇率は,4.40%となった。


ウ 為替相場
12月の対米ドル為替相場の平均は3.384ソルであった。


エ 失業率
11月のリマ首都圏の完全失業率は6.2%であった。


オ 財政収支
11月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で4.0%増となった。歳出は,対前年同月比で4.8%増となった。全体では,プライマリーバランスは,9,108百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,9,259百万ソルの赤字となった。



カ 貿易収支
11月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比13.7%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が10.1%減となり,全体では2,760百万米ドル(対前年同月比12.5%減)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,魚粉であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が2.0%減,中間財は11.5%減,資本財が2.6%減となり,全体で3,042百万米ドル(対前年同月比6.5%減)となった。この結果,貿易収支は,282百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は自動車,テレビ,オートバイであった。

キ 外貨準備高
12月末の外貨準備高は,61,485百万米ドルとなった。



ク 対外累積債務
2015年第3四半期末の対外債務累計総額は,67,027百万米ドルであった。


(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり
(2)最近の主な出来事
・ペルー中央準備銀行インフレ見通しレポート公表(12月18日)
昨年12月18日にペルー中央準備銀行が公表したインフレ見通しレポートによれば,ペルーの2015年の経済成長が2.9%,2016年は4.0%,2017年は4.8%と予測されており,第一次産業のみならず,製造業や建設業といった第二次産業の伸びが期待されている。また,インフレ率に関しては,2014年12月時点で3.22%であったものが昨年11月時点で4.17%となった。2016年のインフレ予測についても増加傾向にあり,インフレ目標の限度(3%)を上回っている状況にある。
・ペルー中央準備銀行は政策金利を4.0%に引き上げ(1月14日)
ペルー中央準備銀行は,政策金利を4.0%に引き上げる(0.25%の引き上げ)ことを発表した。同銀行は,今回の引き上げの理由として,1)インフレ予測が目標範囲を超えていること,2)インフレは通貨安や公共サービスや食品価格の上昇といった供給の一時的な要因に影響するが,他の経済状況へは一般的に影響を及ぼさないこと,3)経済活動の回復,4)各国際指標が金融・為替市場の変動とともに世界経済回復の兆しを示していることを上げている。
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