2月の内政と外交
1.概要
(1)マドレ・デ・ディオス州では,環境破壊の原因となり,住民に健康被害を及ぼしている違法な金採取船を破壊する作戦を政府が実施し,大規模な抗議運動が行われ,死傷者が出た。
(2)インスルサOAS事務局長,潘基文国連事務総長,ボコバUNESCO事務局長等がペルーを訪問した。
(3)2月中旬に開催される予定であった第3回南米アラブ諸国首脳会議は,エジプト等アラブ諸国の国内情勢を理由に延期された。
2.内政
(1)違法金採取船
政府は,マドレ・デ・ディオス州で違法に金を採取している採取船を破壊する作戦を実施した。同州のプエルト・マルドナド市内では,右措置に対する5,000名規模の抗議運動が行われ,事態の鎮圧に向かった国家警察との衝突で2名が死亡した。1日,ブラック環境大臣は,35艘の金採取船を破壊したと発表し,採取船破壊で影響を受けたのは100名程度であり,5,000名の抗議運動の裏には政治的意図があるとして,治安を脅かす活動を批判した。
(2)国会議員選挙
9日,選挙管理委員会(JNE)に対して,4月10日に行われる国会議員選挙に出馬する議員候補者リストを提出する期限を迎え,12政党・連合が全国の候補者リストを提出した。120名の現役議員のうち,72名が国会議員またはアンデス議会議員へ立候補した。
(3)一般売上税(IGV)の引き下げ
9日,現在19%の一般売上税を1%引き下げ,18%とする法案を,行政府は議会に提出し,10日,議会常任委員会にて承認された。税金引き下げは,3月1日より適用される。
(4)世論調査を巡る論争
12日,選挙管理委員会(JNE)は,世論調査会社に対し,調査結果を発表する際,調査対象者の氏名,身分証明書番号,住所等の情報をJNEに提供する旨義務づける規則を設けた。右規則に対し,調査会社,候補者等からは,匿名性が欠如することによる調査結果への影響を懸念して批判が相次ぎ,16日,JNEは右規則を無効とすることを決定した。
(5)ウィキリークス
13日以降,エル・コメルシオ紙は独自に入手したとするウィキリークスによる2006~10年の在ペルー米国大使館発の電報について各種記事を掲載した。右電報には,トレド大統領(当時)が,2006年選挙にてウマラ・ペルー国民主義党(PNP)党首の当選を阻止するよう働きかけたとするものや,ケイコ・フジモリ議員,カスタニェダ前リマ市長,ウマラPNP党首と米大使館員の会合に関するものが含まれていた。
3.外交
(1)外相のコロンビア訪問
1日,ガルシア・ベラウンデ外相はコロンビアを非公式訪問し,オルギン・コロンビア外相と会談した。両外相は,第3回南米アラブ諸国首脳会合(ASPA)で扱う予定のエジプト及びチュニジアの問題の検討を含む議題を検討した他,メキシコ,チリ,コロンビア及びペルーからなる深化した統合(AIP)イニシアチブのような地域統合及びUNASURの事務局長選出選挙についても協議した。
(2)OAS事務局長のペルー訪問
4日,ペルーを訪問したインスルサOAS事務局長は,ガルシア大統領と会談し,ペルーは経済社会状況及び民主主義強化の優れたイメージを維持していると述べた他,国際司法裁判所で扱われているペルー・チリ間の領海境界線画定問題が二国間関係に影響を及ぼしていないことを評価した。同事務局長は,4月10日の選挙に参加するOAS選挙監視団について,選挙監視の協定に署名した。
(3)第3回南米アラブ諸国首脳会議の開催延期
6日,ペルー政府は,エジプト等の国内情勢の悪化を原因とするアラブ連盟の要請を受け,15~16日に当地で開催予定であった第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)を延期する旨決定した。
(4)フィンランド通商観光相のペルー訪問
7日,Vayrynenフィンランド通商観光相がペルーを訪問し,フェレイロス通商観光相と会談した。Vayrynenフィンランド通商観光相は,森林及び再生可能エネルギー計画のため最初の3年で2千万ドルの基金を設立する旨発表した。
(5)南米諸国連合(UNASUR)設立条約発効
9日,外務省は,UNASUR設立条約は,ウルグアイの批准書提出により発効のための最低9加盟国の批准という条件を満たし,30日後に発効する旨のプレスリリースを発表した。
(6)潘基文国連事務総長のペルー訪問
15日,潘基文国連事務総長がペルーを公式訪問し,ガルシア大統領と会談した他,リマ市より名誉市民,国立サン・マルコス大学より名誉博士号の称号を授与された。潘基文国連事務総長は,ミレニアム開発目標を達成しているペルーを評価した他,地域の安全保障におけるペルーの重要な貢献を認めた。
(7)リビアとの国交断絶
21日,ペルー政府は,リビアにおける文民に対する弾圧行為を非難し,国民に対する暴力行為が終了するまで,リビアとの国交を断絶する旨決定した。
(8)UNESCO事務局長のペルー訪問
21~25日,ボコバUNESCO事務局長がペルーを訪問し,ガルシア大統領と会談し,クスコ市及びマチュピチュ遺跡を訪問した他,カトリカ大学より名誉博士号を授与された。同事務局長は,マチュピチュ遺跡から運び出した出土品をペルーに返還するエール大学の決定に祝意を表明した。
(9)電力網接続のための外相・エネルギー担当相会合
25日,コロンビア,チリ,エクアドル及びペルーの外相及びエネルギー担当相が会合し,4ヶ国の電力網接続計画について協議した。