ペルー政治情勢 2011年
4月の内政と外交
1.概要
(1)10日,大統領・国会議員・アンデス議会議員選挙が行われ,大統領選挙に関しては,ウマラ勝利するペルー候補及びケイコ・フジモリ・フエルサ2011党候補が,6月5日に行われる決選投票に進出することとなった。
(2)18日,国会にて3月に組閣したフェルナンデス内閣の所信表明演説が行われ,信任された。
(3)外交面では,28日,メキシコ,コロンビア,チリの大統領がリマにてガルシア大統領と会合し,太平洋連合に関する首脳宣言に署名した。
2.内政
(1)大統領・国会議員・アンデス議員選挙
3日,NGOトランスパレンシー及び全国ラジオ・テレビ協会が主催し,主要大統領候補者5名(トレド・ペルー・ポシブレ連合候補,カスタニェダ国民連帯連合候補,ケイコ・フジモリ・フエルサ2011党候補,クチンスキー大変革のための連合候補,ウマラ勝利するペルー候補)による公開討論会が行われた。
10日,投票が行われ,大統領選挙に関しては,ウマラ候補及びケイコ候補が,6月5日の決選投票に進出することが濃厚となった。
(2)フェルナンデス内閣の信任
18日,3月19日に組閣したフェルナンデス内閣の所信表明演説及び信任投票が国会本会議で行われ,政権末期の内閣として,選挙における中立,次期政権への円滑な移行及び経済安定の確保を目指すとして,賛成47票,反対0票でフェルナンデス内閣が信任された。
(3)軍及び警察に対する給与引き上げ
25日,ガルシア大統領は,5月1日より,少佐クラス以下の警察及び軍人に対して20%の給与増額を,内戦等業務遂行時に障害者となった軍人に対しては25%引き上げる旨発表した。
(4)クスコ州政府・地方自治体へのマチュピチュ遺跡からの出土品引渡し
25日,ガルシア大統領は,3月末にイエール大学から返還され,24日まで大統領府で,無料で一般公開されていたマチュピチュ遺跡からの出土品を,アクリオ・クスコ州知事他に,引き渡した。引き渡された出土品は,クスコ市内の博物館に展示される。
年末及び2012年にかけて,イエール大学からさらに文化財が返還される予定。
3.外交
(1)国際再生可能エネルギー機関(IRENA)総会
3〜5日,アラブ首長国連邦で開催されたIRENA総会にて,ペルーは,風力,太陽光,水力,バイオエネルギー等再生可能エネルギーを導入し,エネルギー源を近代化することを目標とする旨明らかにし,現在,27%の再生可能エネルギー利用を2012年までに40%に引き上げることを目指すとした。
(2)メキシコとのFTA署名
6日,リマにおいて,フェレイロス通商観光相及びフェラーリ・メキシコ経済大臣により,メキシコとのFTAへの署名が行われた。
(3)カルデロン・メキシコ大統領のペルー国賓訪問
27日,カルデロン・メキシコ大統領がペルーを国賓訪問し,ガルシア大統領との会談の他,大統領選挙決選投票に進むウマラ候補及びフジモリ候補と会談し,国会及びリマ市庁舎を訪問した。カルデロン大統領は,ガルシア大統領と会談した後,民主主義,統合,貿易,投資等に係る共同宣言に署名した。また,ガルシア・ベラウンデ外相及びエスピノサ・メキシコ外相の間で,二重課税防止・脱税予防条約に署名した。
(4)深化した統合のための首脳会合の開催(太平洋連合に関する首脳宣言への署名)
28日,リマにおいて,ガルシア大統領は,ピニェラ・チリ大統領,サントス・コロンビア大統領,カルデロン・メキシコ大統領と共に,オブザーバーとしてのルクス・パナマ運河担当大臣の同席の下,深化した統合のための首脳会合を行い,各国首脳は,太平洋連合に関する首脳宣言(リマ宣言)に署名した。同宣言では,政策対話及びアジア太平洋地域への進出のメカニズムとしてラテンアメリカ太平洋の弧を強化する意思,及び経済社会開発のための統合を優先するコミットメントを確認し,太平洋連合設立への意思が明記された。
3ヶ国の大統領は,大統領選挙決選投票へ進むウマラ候補及びフジモリ候補とそれぞれ会談した。
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