ペルー政治情勢 2011年

5月の内政と外交

 

 

1.概要
(1)プノ州にて,鉱山開発に反対する抗議運動が開始され,暴動に発展した。
(2)閣僚の交代が行われ,ビリャサンテ農業大臣及びナバ生産大臣が就任した。
(3)ガルシア大統領が,エクアドルを国賓訪問した。同国との間で領海境界線を画定する文書が交換され,国会において同文書が承認された。

 

 

2.内政
(1)プノ州における鉱山開発に対する抗議運動
 9日,プノ州南部全域にて反鉱山開発の大規模デモが開始され,ボリビアへの国境を結ぶ道路を封鎖し,観光客等にも影響が及んだ。政府代表との話し合いが行われたが,抗議活動者は暴動や略奪を行い,暴力的側面が強まった。
 17日,ガルシア大統領は,抗議運動の背後には,6月5日の選挙に関する政治的意図があると批判した。31日,決選投票を前に,抗議活動は停止することとなった。

 

(2)検事総長の就任
 12日,ペラエス最高検検事が,2011-14年の検事総長に就任した。ペラエス最高検検事及びサンチェス最高検検事の2名の候補に対し,5名の最高検検事委員が投票した結果,ペラエス検事が当選した。ペラエス検事は,フジモリ元大統領に対する裁判の第一審を,サンチェス検事は第二審を担当した。

 

(3)閣僚の交代
 13日,ケベド農業大臣が辞任し,ビリャサンテ生産大臣が農業大臣となり,ナバ大統領府事務総長が生産大臣に就任し,宣誓式が行われた。

 

(4)大統領選挙第一次投票の結果確定及び公開討論会
 13日,4月10日に行われた大統領選挙第一次投票に関し,全国選挙管理委員会(JNE)は,結果を確定する宣言を行い,勝利するペルー(ウマラ候補)とフエルサ2011党(ケイコ候補)が,決選投票に進出することが確定した。
 22日,ケイコ・フジモリ候補及びウマラ候補の両陣営の政策チームによる公開討論会が行われ,各陣営から3名が参加し,経済政策,社会政策等について議論を行った。
 29日,大統領選挙決選投票に進出する両候補による公開討論会が,「貧困対策」,「治安及び麻薬密輸」,「民主的制度」,「経済及び社会包摂」の4つのテーマについて行われ,さらに各候補は「有権者からの質問」に回答し,最後のメッセージを伝えた。

 

 

3.外交
(1)在ドバイ・ペルー総領事の開設
 1日,アラブ首長国連邦に在ドバイ・ペルー総領事館が開設された。

 

(2)エクアドルとの領海境界線画定
 2日,外務省は,ペルーとエクアドルが両国間の領海境界線を画定する文書を交換した旨発表した。その結果,ペルーは国連に対し,島があるため,エクアドルが提出した海図が示す通り,緯線との平行線をペルー及びエクアドルの領海境界線とすることに合意する旨表明する文書を提出した。
ガルシア・ベラウンデ外相は,今般,エクアドルとの領海境界線を定めたことにより,(ペルーがチリと国際司法裁判所にて係争中の両国間の領海境界線画定問題において,チリ側が領海を定めたと主張している)1952年及び54年の協定は,漁業協定であることが明らかとなり,チリとの領海境界線画定問題において,ペルーの主張を強化するものであると述べた。
 19日,国会本会議にて,両国が交換した文書が承認された。

 

(3)ウサマ・ビン・ラーディン殺害に係る米大統領への祝意
 2日,ペルー政府は,ウサマ・ビン・ラーディンを殺害した米国の作戦成功を受けて,オバマ米大統領を祝福する旨のプレスリリースを発出した。

 

(4)東日本大震災への民間企業からの支援物資送付
 5日,東日本大震災の被災者となった在日ペルー人に対し,輸出業者協会(ADEX),デルタ航空及び運送会社のニュートランスポート社は,ペルー外務省と調整し,医薬品,缶詰食品等の1,500キロの支援物資を輸送した。

 

(5)次期南米諸国連合(UNASUR)事務局長のペルー訪問
 6日,メヒーア次期UNASUR事務局長(コロンビア元外相)がペルーを訪問し,ガルシア大統領と会談した。

 

(6)外相のフランス訪問
 11日,ガルシア・ベラウンデ外相は,第186回UNESCO執行理事会に出席し,文化遺産の保護及び回復へのペルーの継続的なコミットメントを再確認した他,ボコバUNESCO事務局長と会談した。
 同日,同外相は,ジュッペ仏外相と会談し,両外相は政治対話を深める重要性を強調し,経済分野を中心とする二国間関係の強化への意思を再確認した。 また,同外相は,7月4〜5日にリマで行われる第2回文化遺産保護・回復のための国際会議へのガルシア大統領からフランス政府への招待状をジュッペ仏外相に手交した。

 

(7)外相のオランダ訪問
 12日,ガルシア・ベラウンデ外相は,オランダを訪問し,ローゼンタール・オランダ外相と,ハーグにて,2008年7月から交渉されていた犯罪人引渡条約に署名した。また,両外相は,民主主義の強化,人権尊重,環境保護,麻薬密輸対策等について意見交換を行った。

 

(8)UNASUR南米防衛理事会
 12〜13日,第3回南米防衛理事会通常会議がリマで行われ,メヒーア南米諸国連合(UNASUR)事務局長他,南米防衛理事会理事を務めるトルネ国防相を含む12ヶ国の国防相及び代表が出席した。参加者は,地域における和平地域創設を加速することを勧告するリマ宣言に署名した。

 

(9)ガルシア大統領のエクアドル国賓訪問
 20日,ガルシア大統領は,エクアドルを国賓訪問し,コレア・エクアドル大統領との会談,議会表敬訪問,勲章受章,独立の英雄碑への献花,キト市長との会談等を行った。また,同大統領には,ガルシア・ベラウンデ外相,トルネ国防相,コルネホ運輸通信相,ガルシア・ベラウンデ議員(議員連盟),ムルデル議員(アプラ党)及びアギナガ議員(フジモリ派)が同行した。
 両大統領は,相互信頼,友情,協力及び統合を通じた平和を強化する過程を確認する共同宣言に署名した他,両国外相は,4つの協定(外交協力,気候変動等)に署名した。

 

(10)パナマ及びコスタリカとのFTA署名
 フェレイロス通商観光相はパナマ及びコスタリカを訪問し,25日,パナマ・シティにおいてエンリケス・パナマ商工相と,26日,サンホセにおいて,ゴンサレス・コスタリカ貿易相との間でそれぞれFTAに署名した。

 

(11)ベネズエラとの第4回外務副大臣レベル政策協議開催
 27日,ポポリシオ外務副大臣は,ベネズエラを訪問し,メンドサ外務副大臣と協議し,観光業,航空,文化・技術・科学協力,エネルギー,防災,麻薬密輸等における協力関係強化で一致した。

 

(12)ウクライナとの宇宙活動協力
 31日,ペルー政府は,ウクライナ政府と宇宙活動分野に係る協力合意枠組みに署名した。

 

(13)日本とのEPA署名
 31日,フェレイロス通商観光相が訪日し,松本外相とEPAに署名した。

 

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