ペルー政治情勢 2011年
6月の内政と外交
1.概要
(1)5日,ウマラ・勝利するペルー候補及びケイコ・フジモリ・フエルサ2011党候補の両名の間で大統領選挙決選投票が行われた。同日夜に発表された集計結果を受け,ウマラ候補が勝利宣言を行った。
(2)ウマラ次期大統領は,メルコスール諸国を皮切りに南米諸国を訪問し,各国の大統領等と会談した。
2.内政
(1)国会議員・アンデス議会議員選挙の結果確定
1日,全国選挙管理委員会(JNE)は,4月10日に行われた国会議員及びアンデス議会議員選挙の結果を確定する旨発表し,当選議員に対して当選証書を引渡した。また,4日付官報に,任期2011-16年の両議員を宣言する決議が公告された。130名の国会議員のうち,日系議員は4名。
ア 国会議員:各政党・連合議席配分(全130議席)
勝利するペルー:47議席
フエルサ2011党:37議席
ペルー・ポシブレ連合:21議席
大変革のための連合:12議席
国民連帯連合:9議席
アプラ党:4議席
イ アンデス議員:議席配分(全5議席)
勝利するペルー:2議席
フエルサ2011党:1議席
ペルー・ポシブレ連合:1議席
大変革のための連合:1議席
(2)大統領選挙決選投票
5日,大統領選挙決選投票が行われ,ウマラ・勝利するペルー候補及びケイコ・フジモリ・フエルサ2011党候補が競った。同日,午後10時過ぎに,全国選挙過程事務所(ONPE)が21時45分時点の集計結果を発表したところ,集計率75%超で,ウマラ候補がリードする結果となった。23時過ぎ,ウマラ候補は,リマ市内のホテルにおいて,勝利宣言を行った。また,6日,ケイコ・フジモリ候補は,敗北宣言を行った。
15日,ONPEが,開票・集計率100%の大統領選挙決選投票の結果を発表した。有効投票における両候補の得票率の差は約2.9ポイントで,ウマラ候補が51.4%,ケイコ・フジモリ候補が48.6%となり,得票数の差は44万票以上となった。
23日,全国選挙管理委員会(JNE)は,リマ市プエブロ・リブレ区の人類学・考古学・歴史博物館にて,ウマラ次期大統領,エスピノサ次期第一副大統領及びチェハデ次期第二副大統領に当選証書を授与した。
(3)新政権発足に向けての動き 6日,ウマラ大統領候補の当選が確実となったことを受けて,エスピノサ第一副大統領は,自身を含む20名からなる勝利するペルーの政権移行チームを発表した。
(4)新旧大統領の会合 17日、ガルシア大統領及びウマラ次期大統領が会談した。ガルシア大統領は、経済成長、民主主義、投資の促進及び貧困対策においてウマラ政権と協力する旨述べた。
(5)国内における抗議運動等 21日、フニン州にある国立中央大学にて、学長の大学運営方針に抗議する学生と警官が対立し,3名が死亡した。
プノ州では,大統領選挙前に一時休戦となっていた鉱山コンセッションに反対する住民の抗議活動が引き続き行われ,主要道路の封鎖,フリアカ空港への侵入等が発生した。 ワンカベリカ州でも,タヤカハ大学設置に反対する抗議運動の際に発生した死傷者の責任追求のための抗議運動が発生するなど,山間部を中心に抗議運動が相次いだ。
3.外交
(1)ウマラ次期大統領の南米諸国訪問
ア 当選が確定したウマラ次期大統領は,選挙キャンペーン中より重視すると述べていた,メルコスール諸国及びアンデス共同体諸国を訪問し,各国首脳と会談した。
イ 訪問日程
9〜10日:ブラジル:ルセーフ大統領及びルーラ前大統領と会談
11日:パラグアイ:ルゴ大統領と会談
13日:ウルグアイ:ムヒカ大統領と会談
14日:アルゼンチン:フェルナンデス大統領と会談
15日:チリ:ピニェラ大統領と会談
21日:ボリビア:モラレス大統領と会談
28日:エクアドル:コレア大統領及びメヒア南米諸国連合(UNASUR)事務局長と会談
29日:コロンビア:サントス大統領と会談
(2)ガルシア大統領による日本からの移民に対する謝罪
14日,ガルシア大統領は,ペルー日系人百周年記念病院増設事業竣工式にて行ったスピーチの中で,1941年の日系人に対するペルー政府・国民による違法な拘束や国外追放等の行為について謝罪した。
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