ペルー政治情勢 2010年

8月の内政と外交

 

1 概要

(1)地方選挙に向けた活動が活発になり,リマ他各地で市長候補者による公開討論会などが行われた。
(2)外交面では,ガルシア大統領が、サントス・コロンビア大統領の就任式に出席するためコロンビアを訪問した。また,マルティネリ・パナマ大統領がペルーを訪問した。

2 内政
(1)議会内委員会の分担決定
 5日,議会本会議にて,議席数に応じて,各会派が委員長を受け持つ委員会及び委員数の分担が決められた。外交委員長には,タピア議員(議員連盟:UN)が就任した。

(2)全国一斉避難訓練の実施
 18日,防災に対する意識を高めるため,政府は避難訓練を実施した。公共機関だけでなく,民間企業等でも,同日10時にマグニチュード7.9の震災が発生したことを想定した訓練が行われた。
 なお,15日,3年前の震災被害が未だに残るイカ州では,復興対策に不満をもつ住民が,橋を占拠して抗議活動を行った。

(3)14歳以下を対象とする無料身分証明書の発行開始
 18日,14歳以下を対象として,無料の身分証明書の発行が開始された。身分証により,一杯の牛乳運動など社会プログラムの裨益人口の把握を容易にし,より効率的なプログラムの実施を目指す。

(4)収容中のセンデロ・ルミノソ指導者の婚姻
 20日,センデロ・ルミノソ(SL)の指導者であるグスマン(75歳)が収容されているカヤオ市内にある海軍基地内で,無期刑判決を受けているグスマン及びイパラギレ(62歳)の結婚式が行われた。ビリャ・ステイン最高裁長官は,今般の結婚式は人道的理由から実現されてものであり,今後,両者は夫婦面会の権利が与えられるとした。

(5)リマ市長選挙関係
 20日,エル・コメルシオ紙が主催して,世論調査による支持率上位6名のリマ市長選候補者の公開討論会が行われ,各候補者は「治安」,「交通」,「都市問題」,「衛生・環境」及び「透明性・汚職」について発言した。
 23日,全国選挙管理委員会(JNE)は,リマ市長選に立候補していたコウリ・カヤオ前州知事(革新的変化党:CR)の立候補受け付けを,リマ市内に2年以上居住していたという要件を満たしていないとの理由から却下した。コウリ同前州知事は,記者会見を開き,JNEの理由付けには納得しないが,判決を受け入れるとして,市議候補のアルトゥベがCRリストを率いることとなった。

(6)ガルシア大統領の支持率(アポヨ社,全国)
         今回  前回(7月)
支持       31% 30%
不支持      63% 65%
わからない・無回答 6%  5%

3 外交
(1)ガルシア大統領のコロンビア訪問
 7日,ガルシア大統領は、サントス・コロンビア大統領の就任式へ出席するため,コロンビアを訪問した。大統領は、ペルーはサントス新コロンビア政権と,緊密で連帯した,協力及び愛情の関係強化を継続するとの意思を述べた。

(2)チリ国防相のペルー訪問
 16日,ラビネ・チリ国防相がペルーを訪問し,ガルシア大統領及びレイ国防相と会談し,両国の軍事費の透明性確保のメカニズムについて,また,二国間の信頼関係の強化等について意見交換した。

(3)第9回ペルー・エクアドル近隣委員会
 24日,エクアドルのグアヤキルにて第9回ペルー・エクアドル近隣委員会が開催された。会合では4つの二国間実務者委員会(国境管理、貿易、観光、社会・文化等)の活動について報告があり、両国の外相は二国間関係が非常に良好であることを確認した他、両国の交通規則や中小企業の交流等について合意した。また、10月26日にエクアドルでの首脳会合及び第4回合同閣議の開催を確認した。ガルシア・ベラウンデ外相は、コレア・エクアドル大統領と会談した。

(4)マルティネリ・パナマ大統領のペルー国賓訪問
 25〜27日,マルティネリ・パナマ大統領がペルーを国賓訪問し、ガルシア大統領と会談し、2010年末までにFTA交渉を開始し、早期に実現することで合意した。マルティネリ大統領は、スマエタ議会議長及びカスタニェダ・リマ市長と会談した他、最高裁判所を訪問した。

(5)韓国とのFTA交渉終了
 30日、ペルー政府は韓国とのFTA交渉が妥結したとして、大統領府にて「交渉終了宣言」への署名式典が行われた。ペルー側からはガルシア大統領他,複数の閣僚が,韓国側からはキム通商交渉本部長ほか,ハン駐ペルー韓国大使他,企業関係者が出席した。

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