ペルー政治情勢 2011年
9月の内政と外交
1.概要
(1)内政面では,「先住民に対する事前協議権利法」が公布された他,2007年8月15日地震の被災地の復興作業が開始された。
(2)国会は,初の試みとして地方(イカ州)において国会本会議を開催した。また,国会内に前ガルシア政権期の不正を調査する委員会を設置することが決定された。
(3)ウマラ大統領は,国連総会に出席し,一般演説を行った他,ルセーフ・ブラジル大統領,イ・ミョンバク韓国大統領,コロン・グアテマラ大統領等と会談した。
2.内政
(1)「先住民に対する事前協議権利法」の公布
6日,ウマラ大統領は,アマソナス州バグアにて「先住民に対する事前協議権利法」の公布を行った。同事前協議権利法は、8月23日に現国会にて全会一致で承認された初めての法律であり、ペルーが1994年に批准した国際労働機関(ILO)の先住民及び種族民条約に定められた義務と合致する。
(2)地方における国会本会議の開催
7日,イカ州における国会本会議開催に先立ち,州内の43の区を議員が訪問し,公聴会を行い,住民の要望等を聴取した。アプラ党議員等の「協調」所属の議員6名は,公聴会には参加しなかった。
8日,地方における国会本会議が初めて開催され,4つの法案が承認された。
(3)ウカヤリ州における抗議運動
8日より,ウカヤリ州アグアイティアのコカ葉栽培農民は,政府のコカ葉撲滅計画に抗議して道路封鎖を伴う抗議運動を行った。コカ葉農民代表者は,ソベロン麻薬なき開発と生活(DEVIDA)代表及びオタロラ内務副大臣と対話した。15日,農民は一時休戦を明らかにした。
(4)国会における前ガルシア政権調査委員会の設置決定
15日,国会にて,前ガルシア政権下で行われた不正を調査するための超党派委員会が設置されることが承認された。ガルシア大統領は,やましいことはないため,同調査委員会の設置を恐れていない旨述べた。
(5)カハマルカ州における食糧支援プログラム(PRONAA)による死者の発生
20日,カハマルカ州で,PRONAAにより提供された食事により,3名の幼児が死亡した。また,複数の人物が激しい腹痛を訴えた。女性社会開発省は,同州の責任者を解任したが,ガルシア女性社会開発相の責任を問う批判が出た。
(6)陸軍による2007年8月15日地震被災地復興作業
28日,ピスコ郡及びチンチャ郡にて,陸軍工兵部隊により,2007年の地震で被災した市街の復興作業が開始された。同部隊は,60日間に亘り27万立方メートル以上の瓦礫の撤去に従事する予定。
(7)大統領支持率(括弧内前回(8月)結果)
ア ダトゥム社:4〜7日実施,全国(対象:1,222名)
支持 70%(62%) 不支持 17%(19%) 未回答 13%(19%)
イ アポヨ社:14〜16日実施,全国都市部(対象:1,200名)
支持 65%(55%) 不支持 18%(20%) 未回答 17%(25%)
3.外交
(1)ロンカリオロ外相のチリ訪問
2日,ロンカリオロ外相はチリを訪問し,モレノ・チリ外相と会談した。両外相は,領事協力協定の交渉の進捗状況,国境地域の開発計画等について協議した。また,モレノ外相は2012年前半にペルーで開催予定の麻薬対策サミットへの出席を確約した。
(2)バーンズ米国務副長官のペルー訪問
2日,バーンズ米国国務副長官がペルーを訪問し,大統領府にてウマラ大統領と会談した。
会談後,同国務副長官は,米国はペルーと麻薬対策の責任及び問題解決のための協力を確認した他,貿易,経済,社会的包摂,治安,麻薬対策,教育及び保健といった分野において,ペルー政府及び国民との関係を強化する約束を再確認した旨述べた。
(3)米州民主憲章の10周年記念イベントの開催
12日,外務省にて2001年9月にリマで開催におけるOAS総会で承認された米州民主憲章の10周年を記念し「米州における民主主義の保護と促進に関する対話」イベントが開催され,インスルサOAS事務局長,コントレラスCAN臨時事務局長,ウマラ大統領等が出席した。
(4)スウェーデン通商副大臣のペルー訪問
14〜15日,オーム・スウェーデン通商副大臣がペルーを訪問し,メイエル外務副大臣と会談した。両副大臣は,ペルー・EU間FTAを評価した他,共通の関心事項である貿易量の拡大,スウェーデンからの投資の増加,中小企業支援,ペルーへの技術移転及び再生可能エネルギー計画等について協議した。
オーム副大臣は,テハダ保健大臣,通商副大臣,輸送副大臣,国防省及び女性社会開発省幹部等とも会談した。
(5)ウマラ大統領の国連総会出席
20〜23日,ウマラ大統領は国連総会に出席した他,ルセーフ・ブラジル大統領,イ・ミョンバク韓国大統領,コロン・グアテマラ大統領,モレノIDB総裁等と会談した。また,同行したロンカリオロ外相は,クリントン米国務長官と会談した。
同大統領は,国連総会にて,ペルー政府の社会的包摂政策,資源の国の発展への活用,麻薬密輸対策について触れた演説を行った。
(6)第3回南米アラブ諸国(ASPA)外相会合の開催
23日,国連総会の機会に,第3回ASPA外相会合が開催され,ロンカリオロ外相が率い,エル・アラビ・アラブ連盟事務局長,メヒア南米諸国連合(UNASUR)事務局長等が出席した。外相等は,2012年9月26〜27日にペルーにて第3回ASPA首脳会議を開催することで合意した。
(7)中国副首相のペルー訪問
23日,回良玉(Hui Liangyu)中国副首相がペルーを公式訪問し,レルネル首相及びメイエル外務副大臣と会談した。
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