ペルー政治情勢 2012年

11月の内政と外交


1 概要
(1)全国選挙審議会(JNE)の会長にタバラ最高裁判事が就任した。
(2)外交面では,ウマラ大統領が欧州(仏・西・葡)を歴訪し,イベロアメリカサミットに出席した他,南米(エクアドル・アルゼンチン)を公式訪問した。また,ロンカリオロ外相がカルタヘナで開かれた太平洋同盟外相会議に出席した。
(3)リマで,第6回南米諸国連合(UNASUR)首脳会合が開催された。

2 内政
(1)国会議員の資格停止
 16日,国会本会議は,人民行動・拡大戦線会派のディエス・カンセコ議員を,親族に有利になるような株式投資法案を提出したとして,90日間の議員資格停止を決定した。
(2)次期全国選挙審議会(JNE)会長の就任
 19日,シビーナJNE会長の後任に,最高裁において互選で選出されたタバラ最高裁判事が就任した。

(3)国内におけるデング熱の流行
 21日,ウカヤリ州では,デング熱の流行に伴い,非常事態宣言が発令された。感染者はサン・マルティン州及びリマ州でも報告されており,ウカヤリ州では10名以上が死亡した他,サン・マルティン州でも死者が出ている。感染が確認された地域では,飲み水のタンクの掃除,殺虫剤の噴霧等により対策が採られている。

(4)大統領の実弟アンタウロ・ウマラの収監先施設変更
 26日,ウマラ大統領の実弟であり,アンダワイラス州刑務所襲撃事件(05年)の責任を問われ,禁錮19年の判決を受け収監中であったアンタウロ・ウマラは,それまで収監されていたカヤオ市の海軍基地内の刑務所から一時リマ市チョリージョス区の士官学校内の一般刑務所に移送されたが,後者が受け入れを拒否したため,再び前者に戻った。

(5)大統領支持率(括弧内は前回10月)
ア ダトゥム社:1日〜6日実施,全国(対象:1,211名)
支持   44%(47%) 不支持  48%(44%)
イ CPI社:10日〜14日実施,全国(対象1,450名)
支持   46.8%    不支持 44.2%    無回答 9%
ウ アポヨ社:15,16日実施,(対象:504名)
支持   43%(40%) 不支持 50%(51%) 無回答  7%
エ Gfk社:20日及び21日実施,全国(対象1,450名)
支持   45% (39%)不支持 48%(51%)

3 外交
(1)韓国政府との軍事基礎訓練機購入及び共同生産販売協定の締結
 6日,ペルー政府は韓国との間で,軍事基礎訓練機購入及び共同生産販売協定を締結した。本協定により,ペルー空軍は20機の基礎訓練機を手に入れることになり,うち16機は両国で共同生産される。また,ペルーの技術士及び整備士が韓国の研究所において機体の整備・修復等の研修を受ける。

(2)オバマ大統領の再選に対するウマラ大統領の祝辞メッセージの発出
 7日,ウマラ大統領は,再選を果たしたオバマ大統領に対して,書簡を通じて祝意を伝え,次期オバマ政権において,ペルー・米国間でこれまで築き上げた協力関係の強化が継続されることを確信している旨述べた。

(3)ロンカリオロ外相の太平洋同盟外相会合への出席
 9日,ロンカリオロ外相はコロンビアのカルタヘナで開催された太平洋同盟閣僚級会合に出席した。右会合では,ペルー人のメキシコ入国に際して,非商業目的の訪問でかつ滞在期間が180日以内の場合、査証が免除されることが決定した。

(4)ウマラ大統領のフランス訪問
 14日〜16日,ウマラ大統領は,フランスを公式訪問し,以下の行事に参加した。
ア ペルー・チリ領海境界線画定問題に関する弁護団との会合:12月に開かれる公判の準備会合を行った。会談後ウマラ大統領は,メディアを通じて国民向けのメッセージを発表し,同裁判におけるペルー側の立場を表明するとともに,ペルー側弁護団が公判で提示する見解を信頼すべき旨伝えた。
イ オランド仏大統領との会談:フランスとの間に学術交流に関する協定を締結した他、文化,環境保全,麻薬違法取引の問題に対しても両国が協力していく方針を固めた。
ウ OECD理事会への出席:ウマラ大統領は,OECD加盟への関心を表明するとともに,教育・保健・インフラの分野においてOECDと協力したい旨述べた。
エ ユネスコ事務局長との会談:16日,ユネスコ本部でイリナ・ボコヴァ事務局長と会談し,ペルーとユネスコとが今後,教育及び文化面における協力関係を深化させることで合意した。

(5)第22回イベロアメリカサミット
 16日及び17日,ウマラ大統領は,スペインのカディスで開かれた第22回イベロアメリカサミットに出席するためスペインを訪問した。

(6)ウマラ大統領のポルトガル訪問
 18日及び19日,ウマラ大統領はポルトガルを公式訪問し,カヴァコ大統領及びコエーリョ首相と会談を行った他,企業家等との会合を開き,ペルーへの投資機会をアピールした。

(7)ペルー・エクアドル二国間合同閣議
 23日,第6回ペルー・エクアドル二国間合同閣議がクエンカで開かれ,両国の国境地帯の住民の生活改善,地雷撤去に対する取り組みについて協議した。

(8)ウマラ大統領のアルゼンチン訪問
 27日,ウマラ大統領はアルゼンチンを訪問し,フェルナンデス・アルゼンチン大統領と会談した。両国首脳は,教育,文化,麻薬並びにテロ対策において二国間の協力を強化していく旨合意した。また,アルゼンチンによるマルビナス諸島の回復に向けた取り組みについて言及し,アルゼンチンの主権の正統性への支持を表明した。

(9)UNASUR(南米諸国連合)首脳会議の開催
 30日,リマにて第6回UNASUR首脳会議が開かれ,ロドリゲス事務局長の他,ペルー,コロンビア,チリ,エクアドル,ウルグアイ,スリナム,ガイアナの大統領,及びベネズエラ,アルゼンチン,ブラジルからは副大統領,ボリビアからは外相が出席した。同会議では,南米諸国の地域統合の推進及び地域間の連携強化に向けた共同宣言が発表され,地域間交流の円滑化を目指す31のプロジェクトが採択された。

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