ペルー政治情勢 2010年

12月の内政と外交

 

 

1.概要

●2011年大統領選挙が告示された。また,国内10州で,州知事選挙の決選投票が行われた。

●ガルシア大統領が第20回イベロアメリカサミットに参加するため,アルゼンチンを訪問した。

●ガルシア・ベラウンデ外相は,アラブ諸国との関係強化及び第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)への働きかけのため,モロッコ及びチュニジアを訪問した。

 

2.内政

(1)最高裁長官の選出

 2日,最高裁にて長官選出選挙が行われ,サン・マルティン最高裁判事が2011―12年の最高裁長官に選出された。サン・マルティン判事は,フジモリ元大統領に対する裁判の一審を担当した最高裁特別刑事法廷の裁判長を務めた。

 

(2)大統領選挙

 3日,クチンスキー元首相が,大統領候補に出馬する旨発表した。また,20日に大統領・副大統領候補を選出するための党内選挙が締切られ,2011年1月の登録締切を前に,各党・連合で人選が行われた。

 

(3)2011年総選挙告示

 5日,総選挙を公示する大統領令が公布され,4月10日に,大統領,副大統領,議会議員及びアンデス評議会ペルー代表を選出する旨定められた。また,大統領・副大統領選挙に関しては,どの候補者も過半数の得票を得られなかった場合は,6月5日に上位2名による決選投票を行うことも定められた。

 

(4)州知事選挙決選投票の実施

 5日,全国10州(アマソナス,トゥンベス,ランバイェケ,パスコ,リマ,イカ,マドレ・デ・ディオス,プノ,ワヌコ,アヤクチョ)で,10月3日の投票で,どの候補も30%以上の有効票を得なかったため,得票上位2名による州知事・副州知事を選出するための決選投票が実施された。

 

(5)チリに対するスパイの有罪判決

 5日,軍事法廷は,アリサ元海軍技師に対し,チリに対して軍事情報を売却したとするスパイ罪で,禁錮25年及び70万ソルの賠償金支払いの有罪判決を言い渡した。

 

(6)宗教自由法の公布

 20日,ガルシア大統領は,憲法で定められた全ての人々の宗教の自由を保障し,宗教団体登録制度等を定めた宗教自由法を公布した。

 

(7)地下鉄基本路線の承認

 23日,リマ市及びカヤオ市内を走る地下鉄の基本路線を承認する大統領令が公布された。2月に地下鉄建設を担う業者の入札が行われる予定。

 

(8)ガルシア大統領の支持率(アポヨ社:括弧内前回11月)

支持 32%(34%)   不支持  63%(62%)

 

3.外交

(1)ウィキリークスによる米国外交文書公開の影響

 11月よりウィキリークスが,米国外交文書を公開し,その中に在ペルー米国大使館発の電報が含まれていた。ペルー政府は,米国政府の問題とし,2日,リキンス駐ペルー米大使は,二国間関係に影響を及ぼさない旨述べた。

 12日以降,ペルー陸軍幹部が麻薬密輸に関与しているとする文書が公開されたが,ダ・シルバ陸軍司令官は,右を否定した。

 

(2)第1回経済貿易・科学技術・漁業協力のためのペルー・ロシア政府間協議会合

 2~3日,第1回経済貿易・科学技術・漁業協力のためのペルー・ロシア政府間協議会合が開催された。同会合では,両国の大学間の科学研究協力協定及び投資促進のための当局間協力協定に署名が行われた他,漁業協定について協議し,養殖技術の発展やバイオ水産資源の生成技術で協力することで合意した。

 

(3)ガルシア大統領の第20回イベロアメリカサミット出席

 3日,ガルシア大統領は,「社会的包摂のための教育」を主な議題とする第20回イベロアメリカサミットに参加するため,ガルシア・ベラウンデ外相と共にマル・デ・プラタ(アルゼンチン)を訪問した。同大統領は,軍事費拡大及び高性能武器の購入を避け,教育は国家間の平和のために根本的に重要であり,社会的包摂の手段であると述べた。

 4日,同大統領は,モレノ米州開発銀行(IDB)総裁及び,チンチーリャ・コスタリカ大統領,カルデロン・メキシコ大統領,サントス・コロンビア大統領,ピニェラ・チリ大統領及びフアン・カルロス・スペイン国王と会談した。

 

(4)サウジアラビアにおけるペルー大使館開設議定書への署名

 3日,ペルー及びサウジアラビアの国連代表部は,リヤドにおけるペルー大使館開設議定書に署名した。

 

(5)外相のモロッコ及びチュニジア訪問

 6~10日,ガルシア・ベラウンデ外相は,アラブ諸国との関係緊密化及び2011年2月13~16日にリマで開催される第3回南米アラブ諸国首脳会議(ASPA)及び第3回企業家会合への働きかけのためモロッコ及びチュニジアを訪問した。

 8~9日のチュニジア訪問では,ガンヌーシ首相及びモルジャネ・チュニジア外相と会談した。10日のモロッコ訪問では,フィフリ外務・協力大臣及びエル・ファシ首相と会談し,共同コミュニケを発表した。

 

(6)第4回アルゼンチン・ペルー安全保障調整会合(COPERSE)の開催

 10日,第9回COPERSEが開催され,地域・国際状況が検討された他,南米諸国連合(UNASUR)の南米防衛理事会の進捗状況が強調された。

 

(7)ジャンピエトリ第一副大統領の第1回副大統領会合出席

 10~11日,ジャンピエトリ第一副大統領は,キトで開催された,第1回民主主義と連帯「障壁のないアメリカ」のための副大統領会合に出席した。7名の副大統領,閣僚他が参加した同会合では,身体障害者に対する対応について協議した。

 

(8)韓国からの軍事技術協力の可能性

 13日,トルネ国防相は,大統領府で行われたガルシア大統領,駐ペルー韓国大使及び韓国航空企業社長との協議の結果,両国間で軍事面における技術協力協定への署名の可能性を検討することとなった旨発表した。

 

(9)第2回武器密輸に係るアンデス地域諸国会合の開催

 13~14日,第2回武器密輸に係るアンデス地域諸国会合が開催され,アンデス共同体の議長を務めるボリビアからバスケス公共安全副大臣が出席した他,エクアドル,コロンビア及びペルーから代表者が参加した。同会合では,麻薬の密輸,武器貿易条約,軍事費等について協議された。同会合は,アリアス元コスタリカ大統領率いるアリアス財団及び各関係省庁からなる武器製造密輸に対する委員会(CONAFIAF)が開催した。



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