委託調査セミナー「日・ペルー貿易:EPAのインパクトとTPPの機会」

平成28年6月21日
株丹大使挨拶(日本語仮訳)
 
 本日は,ご多忙の中,公邸にお越し頂き,ありがとうございます。
 
 このあと,早速,我々が委託した調査報告の概要についてペルー経済研究所(IPE)からプレゼンを行って頂きますが,この調査を委託した理由は2つあります。まず,今年2月にTPPが署名されたことです。TPPにより,高いレベルの自由化,市場へのアクセス拡大,原産地規則の統一と完全累積制度の導入,関税手続きの簡素化・迅速化などが実現し,経済成長が促進されるといわれていますが,具体的に日本とペルーの貿易にとってどのような機会がもたらされ得るのかを調査し,日・ペルーの関係者と共有し両国間の経済関係を発展させたいというのが1つ目の理由です。
 
 2つ目の理由は,日・ペルーEPAは2012年に発効していますが,にもかかわらず2012年から両国間の貿易額が減少し続けており,この理由を明らかにしたいということです。両国間の貿易額の減少は,世界経済の停滞というのが大きな原因かもしれませんが,EPAによって二国間貿易にどのようなインパクトがあったのか,EPAはどの程度活用されているのか,問題があるとすればどのような問題があるのかということを明らかにしなければ,TPPが発効したとしても,十分に活用できないのではないかというのが,私の考えです。
 
 調査の結果,例えば,日本からペルーに輸入する自動車を見てみると,EPAにより,関税が段階的に削減されてきていますが,EPAを活用している企業とそうではない企業がありました。TPPが発効すればこれらの関税が即時撤廃になり,発効する年にもよりますが,TPPを活用すれば,EPAを超える恩恵を受けることができます。EPAを活用していない理由は様々あると思いますが,報告書の中では政府による広報不足があげられており,今回のプレゼンで少しでもその広報不足が解消されればと思っています。
 
 今,私が述べたことは1例ですが,EPAやTPPのメリットはその他にもあります。調査をお願いした期間が限られていたことから,報告書に言及されているTPPの日・ペルー貿易にもたらす機会については,わずかなものにとどまっていると思います。しかし,今回の報告が,EPAによって日・ペルー貿易がどのような状況になっているのかを把握し,そしてTPPの発効を前にして,日・ペルー貿易を発展させていくために我々,日本側及びペルー側の政府及び民間の関係者が,何をしていかなければならないのかを考える一助になることを願っています。
 
 最後に,本件調査を実施したIPEの関係者,また本件調査に協力頂いた日本企業の方々,ペルーの関係機関及びJETROの関係者に感謝申し上げ,私からの挨拶とします。
(了)