ペルーの経済情勢(2016年6月)

平成28年7月15日
ペルーの経済情勢(2016年6月)
 
 
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.47%(4月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.34%(6月までの一年間),対米ドル為替相場3.316(6月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.6%(5月),財政収支1295百万ソルの赤字(5月),貿易収支65百万米ドルの黒字(5月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,4月の2.47%(前年同月比)であった(5月分は未公表)。



   



イ インフレ率
 6月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.14%となり,最近12か月(昨年7月~本年6月)の上昇率は,3.34%となった。





ウ 為替相場
6月の対米ドル為替相場の平均は3.316ソルであった。



   

エ 失業率
 5月のリマ首都圏の完全失業率は7.6%であった。






オ 財政収支
 5月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で1.8%減となった。歳出は,対前年同月比で2.3%増となった。全体では,プライマリーバランスは,652百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,1295百万ソルの赤字となった。








カ 貿易収支
 5月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比11.0%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.1%減となり,全体では2,826百万米ドル(対前年同月比6.2%増)となった。主要輸出品目は銅,鉱油,金,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が0.3%減,中間財は10.3%減,資本財が7.9%減となり,全体で2,760百万米ドル(対前年同月比8.6%減)となった。
この結果,貿易収支は,65百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は自動車,テレビ,ゲーム類であった。







キ 外貨準備高
6月末の外貨準備高は,59,564百万米ドルとなった。 



  


ク 対外累積債務
2016年3月末の対外債務累計総額は,70,153百万米ドルであった。





  


                                                                                                                        (注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)最近の主な出来事
・ペルー中央準備銀行(BCR)が当地マクロ経済の現況や2018年までの経済見通し等に関する見解を公表(6月17日)
BCRは,ペルーの2016年第1四半期のGDP成長率は3.9%であり,これは主に第一次産業が7%の成長を遂げていることが主な要因として挙げられると述べた。また,2016年全体のGDP成長見通しは4.0%を維持すると予測しており,これは,公共消費の上昇及び第1四半期の民間投資の減少との相殺によるものとしている。
また,BCRは,2017年,2018年に関しては,それぞれGDP成長率4.6%(2017年),4.2%(2018年)と予測しており,これは主に第一次産業の成長によるものと述べ,2018年に向けては,建設部門のインフラ事業や製造業(民間投資の増大によるニーズ拡張)の高い成長が見込まれていることから第一次産業以外の分野の成長と予測している。
・APEC「女性と経済フォーラム」開催(6月29日)
当地リマにおいて,ワイタ女性社会的弱者相の主宰により,アジア太平洋経済協力(APEC)「女性と経済フォーラム」が開催された。本会合では,家事による経済的貢献の認識を基礎として, 当該経済的損失の回避のため女性に対する暴力の根絶を強化し,女性の権限を強化し,グローバル市場において,女性主導の中小企業に対して与える影響を重視することを示した声明を採択した。本会合に日本からは,高木内閣府大臣政務官や林横浜市長らが出席した。
 (了)