ペルーの経済情勢(2016年7月)

平成28年8月31日
ペルーの経済情勢(2016年7月)

 
 
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率4.88%(5月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.96%(7月までの一年間),対米ドル為替相場3.299(7月平均値),リマ首都圏の完全失業率6.7%(6月),財政収支642百万ソルの赤字(6月),貿易収支278百万米ドルの赤字(6月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,5月の4.88%(前年同月比)であった(6月分は未公表)。


  

                                      

イ インフレ率
 7月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.08%となり,最近12か月(昨年8月~本年7月)の上昇率は,2.96%となった。





ウ 為替相場
7月の対米ドル為替相場の平均は3.299ソルであった。





エ 失業率
 6月のリマ首都圏の完全失業率は6.7%であった。





オ 財政収支
 6月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で0.5%増となった。歳出は,対前年同月比で5.9%減となった。全体では,プライマリーバランスは,503百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,642百万ソルの赤字となった。








カ 貿易収支
 6月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比20.5%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が14.2%減となり,全体では2,599百万米ドル(対前年同月比18.7%減)となった。主要輸出品目は銅,鉱油,金,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が5.1%減,中間財は10.1%減,資本財が13.5%減となり,全体で2,877百万米ドル(対前年同月比12.6%減)となった。
この結果,貿易収支は,278百万米ドルの赤字となった。主要輸入品目は自動車,テレビ,ゲーム類であった。







キ 外貨準備高
7月末の外貨準備高は,61,086百万米ドルとなった。 






 

ク 対外累積債務
2016年3月末の対外債務累計総額は,70,153百万米ドルであった。




 

 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

 
(2)最近の主な出来事
・ラテンアメリカ・カリブ経済委員会(ECLAC)が域内経済成長予測を公表(7月27日)
ECLACは,今年のラテンアメリカ・カリブ諸国全体の経済成長予測は,ブラジルの不景気やアルゼンチンやベネズエラの予測を上回る経済の低迷により,▲0.8%と低迷の見込みであると発表した。その中でもペルーに関しては,3.9%と域内で高い数値となっており,南米ではボリビア(4.5%),ガイアナ(4.4%)に次ぐ高い経済成長率であると述べた。
 
・ペルー大統領就任式(7月28日)
7月28日,国会においてペルー大統領就任式が執り行われ,クチンスキー新大統領が就任した。我が国からは二階俊博特派大使が出席した。二階特派大使は当地滞在中,クチンスキー大統領との会談,「世界津波の日」制定記念講演会において特別講演を行った他,日系人との懇談,本使主催「世界津波の日」カクテルに出席し,さらに日ペルー地震防災センター視察や日本企業と当地経済事情等に関する意見交換を行った。

 
 (了)