8月の内政と外交
平成28年9月19日
<ペルー政治情勢 2016年
【概要】
内政
●クチンスキー大統領が「変革のためのペルー国民」の党首を退き,新たにビオレタ同党国会議員が党首に就任した。
●2016-17年会期の国会各委員長及び各会派のスポークス・パーソンが決定した。
●国会がサバラ内閣を信任した。
●政府が立法権限の委譲を国会に申請する意向であることを発表した。
外交
●ベネズエラ野党の主要人物であるカプリレス・ミランダ州知事がペルーを訪問し,クチンスキー大統領及び国会議員とそれぞれベネズエラ情勢に関する会談を行った。
●リマでAPEC保健と経済ハイレベル会合が開催され,日本からは古屋範子厚生労働副大臣が出席した。
●あかま総務副大臣がペルーを訪問し,ビスカラ第一副大統領兼運輸通信相と情報通信技術の活用等に関する会談を行った。
【本文】
1 内政
(1)与党党首の交代
7日,与党「変革のためのペルー国民」のエレシ幹事長は,同党の党首がクチンスキー大統領からこれまで副党首を務めていたビオレタ同党国会議員に交代したことを発表した。今次党首交代は,クチンスキー大統領が国政に専念するためであるとしている。ビオレタ新党首の任期は2019年まで。
(2)クチンスキー大統領と州知事の会談
8日,クチンスキー大統領は,東部のマドレ・デ・ディオス州を訪問し,同州を含む6州の州知事と会談を行った。同会談では主に,(1)鉱業のフォーマル化,(2)公共事業,(3)アグロフォレストリー,(4)コネクティビティ,(5)電気と水道へのアクセス,(6)先住民への政府サービスの提供の6点に関する意見交換が行われた。クチンスキー大統領及びサバラ首相は,政府と東部州政府による政策会合を今後2か月ごとに開催する予定であるとしている。
(3)国会委員長及び各会派スポークス・パーソンの決定
12日,2016-17年会期における国会各委員長が以下のとおり決定した。
人民勢力会派(全13委員会)
○農業:ビエンベニード・ラミレス議員
○科学・革新・技術:フアン・カルロス・ユイェス議員
○憲法・規則:ミゲル・アンヘル・トーレス議員
○文化・文化遺産:フランチェスコ・ペトロッシ議員
○消費者保護:フアン・カルロス・ゴンサレス議員
○地方分権・地方分割:アレハンドラ・アラマヨ議員
○教育・青年・スポーツ:ルシオ・アビラ議員
○監査・会計検査:ジェニー・ビルカトマ議員
○諜報:マルコ・ミヤシロ議員
○予算・一般会計:セシリア・チャコン議員
○生産・中小企業・法人:マリオ・マンティーヤ議員
○外交:フアン・カルロス・デル・アギラ議員
○運輸・通信:ギイェルモ・ボカンヘル議員
「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派
○女性・家族:インディラ・ウィルカ議員
○アンデス・アマゾン・アフリカ系ペルー人・環境・生態:マリア・フォロンダ議員
○労働・社会保障:エルマンド・セバーヨス議員
○住宅・建設:マリサ・グラーベ議員
「変革のためのペルー国民」会派
○通商・観光:クレメンテ・フローレス議員
○経済・銀行・財政:メルセデス・アラオス議員
○法務・人権:サルバドール・エレシ議員
「ペルーの進歩のための同盟」会派
○社会・障害者包摂:グロリア・モンテネグロ議員
○保健・住民:セサル・バスケス議員
「人民同盟」会派
○国防・治安:ルシアナ・レオン議員
人民行動会派
○エネルギー・鉱山:アルマンド・ビヤヌエバ議員
また,各会派のスポークス・パーソンは以下の顔ぶれとなった。
○人民勢力会派:ルイス・ガラレタ議員
○「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派:マルコ・アラナ議員
○「変革のためのペルー国民」会派:カルロス・ブルース議員
○「ペルーの進歩のための同盟」会派:マリソル・エスピノサ議員
○「人民同盟」会派:ハビエル・ベラスケス議員
○人民行動会派:ジョニー・レスカーノ議員
(4)国会によるサバラ内閣の信任
18日,国会本会議にて,サバラ首相が所信表明演説を行い,質疑応答を経た後の19日に行われた投票で国会の信任を得た(賛成121,反対2,棄権1,不在6)。所信表明演説では,(1)質の高い公共教育の提供,(2)医療の充実,(3)上下水道へのアクセス,(4)インフラの整備,(5)貧困削減,(6)治安改善,(7)汚職対策,(8)雇用と経済,(9)政府サービスの向上,に関する政府の目標等につき言及がなされた。国会で過半数を有する野党人民勢力会派の対応が注目されていたが,最終的には同会派の全員が内閣信任に賛成した。反対票を投じたのは,「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派の2名のみであった(棄権した1名も同会派所属議員。)。
(5)政府による立法権限の委譲の見通し
31日,サバラ首相は,政府が立法権限の委譲を国会に申請する意向であることを発表した。サバラ首相は,政府が立法権限の委譲を申請するのは,(1)経済の活性化と経済のフォーマル化,(2)治安,(3)汚職,(4)上下水道,(5)ペルー石油公社(Petro-Peru)の再編の5点であり,9月5日(月)の週には国会に提出するとした。
(6)クチンスキー大統領支持率
ア CPI社:7月30日~8月3日実施,全国(対象1450名),誤差±2.6%,信頼度95.5%
支持 70.4% 不支持 18.6%
イ ダトゥム社:8月5日~10日実施,全国(対象1201名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 61%(59%) 不支持 14%(24%)
ウ イプソス社:8月10~12日実施,全国(対象1245名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 61%(56%) 不支持 16%(18%)
エ GfK社:8月20日~24日実施,全国(対象1231名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 60%(50%) 不支持 14%(30%)
2 外交
(1)ベネズエラ野党関係者の来訪
11日,ベネズエラ野党の主要人物であるカプリレス・ミランダ州知事がペルーを訪問し,午前にペルーの主要政党の国会議員,午後にクチンスキー大統領とそれぞれベネズエラの国内情勢に関する会談を行った。国会ではベネズエラの危機的状況に連帯の意を表する動議が可決され,クチンスキー大統領もペルー政府として民主主義と人権を尊重し,与野党間の対話による国内情勢の改善を望むとして,この動議を支持する意向を示した。
(2)APEC保健と経済ハイレベル会合
19~22日,リマで第6回APEC保健と経済ハイレベル会合が開催され,緊急事態及び災害への準備と対応,持続可能な医療システムの構築を中心に意見交換が行われた。日本からは古屋範子厚生労働副大臣が出席した。
(3)総務副大臣の来訪
31日,あかま二郎総務副大臣が,ペルーとのICT(情報通信技術)分野における協力関係の強化を目的としてリマを訪問した。あかま副大臣とビスカラ第一副大統領兼運輸通信大臣との会談では,主にICTの活用等に関する意見交換が行われた。
【概要】
内政
●クチンスキー大統領が「変革のためのペルー国民」の党首を退き,新たにビオレタ同党国会議員が党首に就任した。
●2016-17年会期の国会各委員長及び各会派のスポークス・パーソンが決定した。
●国会がサバラ内閣を信任した。
●政府が立法権限の委譲を国会に申請する意向であることを発表した。
外交
●ベネズエラ野党の主要人物であるカプリレス・ミランダ州知事がペルーを訪問し,クチンスキー大統領及び国会議員とそれぞれベネズエラ情勢に関する会談を行った。
●リマでAPEC保健と経済ハイレベル会合が開催され,日本からは古屋範子厚生労働副大臣が出席した。
●あかま総務副大臣がペルーを訪問し,ビスカラ第一副大統領兼運輸通信相と情報通信技術の活用等に関する会談を行った。
【本文】
1 内政
(1)与党党首の交代
7日,与党「変革のためのペルー国民」のエレシ幹事長は,同党の党首がクチンスキー大統領からこれまで副党首を務めていたビオレタ同党国会議員に交代したことを発表した。今次党首交代は,クチンスキー大統領が国政に専念するためであるとしている。ビオレタ新党首の任期は2019年まで。
(2)クチンスキー大統領と州知事の会談
8日,クチンスキー大統領は,東部のマドレ・デ・ディオス州を訪問し,同州を含む6州の州知事と会談を行った。同会談では主に,(1)鉱業のフォーマル化,(2)公共事業,(3)アグロフォレストリー,(4)コネクティビティ,(5)電気と水道へのアクセス,(6)先住民への政府サービスの提供の6点に関する意見交換が行われた。クチンスキー大統領及びサバラ首相は,政府と東部州政府による政策会合を今後2か月ごとに開催する予定であるとしている。
(3)国会委員長及び各会派スポークス・パーソンの決定
12日,2016-17年会期における国会各委員長が以下のとおり決定した。
人民勢力会派(全13委員会)
○農業:ビエンベニード・ラミレス議員
○科学・革新・技術:フアン・カルロス・ユイェス議員
○憲法・規則:ミゲル・アンヘル・トーレス議員
○文化・文化遺産:フランチェスコ・ペトロッシ議員
○消費者保護:フアン・カルロス・ゴンサレス議員
○地方分権・地方分割:アレハンドラ・アラマヨ議員
○教育・青年・スポーツ:ルシオ・アビラ議員
○監査・会計検査:ジェニー・ビルカトマ議員
○諜報:マルコ・ミヤシロ議員
○予算・一般会計:セシリア・チャコン議員
○生産・中小企業・法人:マリオ・マンティーヤ議員
○外交:フアン・カルロス・デル・アギラ議員
○運輸・通信:ギイェルモ・ボカンヘル議員
「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派
○女性・家族:インディラ・ウィルカ議員
○アンデス・アマゾン・アフリカ系ペルー人・環境・生態:マリア・フォロンダ議員
○労働・社会保障:エルマンド・セバーヨス議員
○住宅・建設:マリサ・グラーベ議員
「変革のためのペルー国民」会派
○通商・観光:クレメンテ・フローレス議員
○経済・銀行・財政:メルセデス・アラオス議員
○法務・人権:サルバドール・エレシ議員
「ペルーの進歩のための同盟」会派
○社会・障害者包摂:グロリア・モンテネグロ議員
○保健・住民:セサル・バスケス議員
「人民同盟」会派
○国防・治安:ルシアナ・レオン議員
人民行動会派
○エネルギー・鉱山:アルマンド・ビヤヌエバ議員
また,各会派のスポークス・パーソンは以下の顔ぶれとなった。
○人民勢力会派:ルイス・ガラレタ議員
○「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派:マルコ・アラナ議員
○「変革のためのペルー国民」会派:カルロス・ブルース議員
○「ペルーの進歩のための同盟」会派:マリソル・エスピノサ議員
○「人民同盟」会派:ハビエル・ベラスケス議員
○人民行動会派:ジョニー・レスカーノ議員
(4)国会によるサバラ内閣の信任
18日,国会本会議にて,サバラ首相が所信表明演説を行い,質疑応答を経た後の19日に行われた投票で国会の信任を得た(賛成121,反対2,棄権1,不在6)。所信表明演説では,(1)質の高い公共教育の提供,(2)医療の充実,(3)上下水道へのアクセス,(4)インフラの整備,(5)貧困削減,(6)治安改善,(7)汚職対策,(8)雇用と経済,(9)政府サービスの向上,に関する政府の目標等につき言及がなされた。国会で過半数を有する野党人民勢力会派の対応が注目されていたが,最終的には同会派の全員が内閣信任に賛成した。反対票を投じたのは,「正義・生活・自由のための拡大戦線」会派の2名のみであった(棄権した1名も同会派所属議員。)。
(5)政府による立法権限の委譲の見通し
31日,サバラ首相は,政府が立法権限の委譲を国会に申請する意向であることを発表した。サバラ首相は,政府が立法権限の委譲を申請するのは,(1)経済の活性化と経済のフォーマル化,(2)治安,(3)汚職,(4)上下水道,(5)ペルー石油公社(Petro-Peru)の再編の5点であり,9月5日(月)の週には国会に提出するとした。
(6)クチンスキー大統領支持率
ア CPI社:7月30日~8月3日実施,全国(対象1450名),誤差±2.6%,信頼度95.5%
支持 70.4% 不支持 18.6%
イ ダトゥム社:8月5日~10日実施,全国(対象1201名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 61%(59%) 不支持 14%(24%)
ウ イプソス社:8月10~12日実施,全国(対象1245名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 61%(56%) 不支持 16%(18%)
エ GfK社:8月20日~24日実施,全国(対象1231名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持 60%(50%) 不支持 14%(30%)
2 外交
(1)ベネズエラ野党関係者の来訪
11日,ベネズエラ野党の主要人物であるカプリレス・ミランダ州知事がペルーを訪問し,午前にペルーの主要政党の国会議員,午後にクチンスキー大統領とそれぞれベネズエラの国内情勢に関する会談を行った。国会ではベネズエラの危機的状況に連帯の意を表する動議が可決され,クチンスキー大統領もペルー政府として民主主義と人権を尊重し,与野党間の対話による国内情勢の改善を望むとして,この動議を支持する意向を示した。
(2)APEC保健と経済ハイレベル会合
19~22日,リマで第6回APEC保健と経済ハイレベル会合が開催され,緊急事態及び災害への準備と対応,持続可能な医療システムの構築を中心に意見交換が行われた。日本からは古屋範子厚生労働副大臣が出席した。
(3)総務副大臣の来訪
31日,あかま二郎総務副大臣が,ペルーとのICT(情報通信技術)分野における協力関係の強化を目的としてリマを訪問した。あかま副大臣とビスカラ第一副大統領兼運輸通信大臣との会談では,主にICTの活用等に関する意見交換が行われた。