ペルーの経済情勢(2016年8月)
平成28年9月21日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率3.63%(6月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.94%(8月までの一年間),対米ドル為替相場3.334(8月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.0%(7月),財政収支1643百万ソルの赤字(8月),貿易収支484百万米ドルの黒字(7月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及びペルー統計情報院によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,6月の3.63%(前年同月比)であった(7月分は未公表)。
イ インフレ率
8月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.36%となり,最近12か月(昨年9月~本年8月)の上昇率は,2.94%となった。
ウ 為替相場
8月の対米ドル為替相場の平均は3.334ソルであった。
エ 失業率
7月のリマ首都圏の完全失業率は7.0%であった。
オ 財政収支
8月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で2.8%増となった。歳出は,対前年同月比で12.9%増となった。全体では,プライマリーバランスは,1,643百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,3,319百万ソルの赤字となった。
カ 貿易収支
7月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比21.4%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が12.8%減となり,全体では3,245百万米ドル(対前年同月比13.9%増)となった。主要輸出品目は銅,鉱油,金,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が10.4%減,中間財は8.2%減,資本財が19.7%減となり,全体で2,760百万米ドル(対前年同月比12.8%減)となった。
この結果,貿易収支は,484百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。
キ 外貨準備高
8月末の外貨準備高は,61,769百万米ドルとなった。
ク 対外累積債務
2016年6月末の対外債務累計総額は,69,354百万米ドルであった。
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事 ・ペルー国会は2017年から2021年の財政目標を承認(8月27日)
ペルー国会は,経済財政省が提出した,2021年までの財政目標を承認した。今後の財政赤字のGDP比を徐々に改善し,2021年には1%とする目標が設定されている(2017年・2.2%,2018年・2.0%,2019年・1.8%,2020年・1.5%)。
・ペルー政府は2017年予算案を国会に提出(8月29日)
ペルー政府は2017年予算案を国会に提出した。予算案総額は約1,425億ソル(約425億米ドル)で前年比4.7%増。特に上下水道整備,治安・汚職対策,教育,保健,インフラを重視した予算構成。予算額が高い項目(括弧内は予算額,全体額に占める割合)は,教育(約261億ソル,18.4%),運輸(約141億ソル,9.9%),保健(約138億ソル,9.7%)。
・APEC各種会合開催(労働と経済フォーラム,中小企業大臣会合)
当地リマにおいて,8月から9月にかけて各種APEC会合が開催された。8月21日に開催された「保健と経済ハイレベル会合」には日本から古屋厚生労働副大臣らが出席し,緊急事態及び災害への準備と対応,持続可能な医療システムの構築を中心に意見交換が行われた。
また9月9日に開催された「中小企業大臣会合」には日本から井原経済産業省大臣政務官らが出席し,中小企業に関する域内の法整備や商習慣改善,グローバル・バリュー・チェーンへの参画の重要性を中心に意見交換が行われた。
(了)