ペルーの経済情勢(2016年10月)

平成28年11月26日
1 総論
  最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率4.13%(9月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.41%(10月までの一年間),対米ドル為替相場3.386(10月平均値),リマ首都圏の完全失業率5.7%(9月),財政収支1137百万ソルの赤字(10月),貿易収支20百万米ドルの黒字(9月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
  ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
  最新の経済成長率(GDP成長率)は,9月の4.13%(前年同月比)であった(10月分は未公表)。漁業分野と鉱業分野の成長率の高さが目立った。



 

       

イ インフレ率
  10月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.41%となり,最近12か月(昨年11月~本年10月)の上昇率は,3.41%となった。





ウ 為替相場
  10月の対米ドル為替相場の平均は3.386ソルであった。



 

エ 失業率
  9月のリマ首都圏の完全失業率は5.7%であった。





オ 財政収支
  10月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で4.4%減となった。歳出は,対前年同月比で10.8%減となった。全体では,プライマリーバランスは,1137百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,1319百万ソルの赤字となった。







カ 貿易収支
  9月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比23.7%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が5.8%増となり,全体では3,195百万米ドル(対前年同月比18.0%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉛,鉱油であった。
  輸入額は,対前年同月比で消費財が4.5%増,中間財は1.8%増,資本財が2.3%減となり,全体で3,174百万米ドル(対前年同月比1.9%増)となった。
  この結果,貿易収支は,20百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。







キ 外貨準備高
  10月末の外貨準備高は,62,009百万米ドルとなった。 





ク 対外累積債務
  2016年6月末の対外債務累計総額は,69,354百万米ドルであった。



 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
 
(2)最近の主な出来事
・APEC閣僚会議・首脳会議が開催(11月17日~20日)
  11月19日及び20日,当地リマにおいてAPEC首脳会議が開催され,我が国からは,安倍晋三内閣総理大臣が出席した。クチンスキー・ペルー大統領が議長を務め,「質の高い成長と人間開発」という全体テーマの下,地域経済の統合の推進,地域フードマーケットの促進,零細・中小企業の近代化,人材育成推進などについて幅広い議論が行われた。
  安倍総理は,APECに先立って18日にリマに到着し,ペルーへの二国間公式訪問を行った。同訪問においてはクチンスキー大統領との首脳会談を行い,租税条約の協議開始を含む共同声明を発表し,鉱山分野及び情報通信技術分野での協力に関するそれぞれの協力覚書の署名に立ち会った。19日には日系人等との会合に出席し,日秘百周年記念病院を訪問した。ほかTPP首脳会合に出席した。
  なお,同首脳会議に先駆けて,同月17日及び18日には,APEC閣僚会議が開催され,我が国からは,岸田文雄外務大臣及び世耕弘成経済産業大臣が出席した。
 
 (了)