ペルーの経済情勢(2016年12月)
平成29年1月31日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率3.22%(11月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.23%(12月までの一年間),対米ドル為替相場3.395(12月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.0%(12月),財政収支7074百万ソルの赤字(12月),貿易収支279百万米ドルの黒字(11月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,11月の3.22%(前年同月比)であった(12月分は未公表)。先月と比べ同成長率はやや回復傾向にあるものの,分野別に見ると,前年同月比で建設部門(▲8.69%)が引き続き低迷しており,特に政府による公共事業への投資の伸び悩みが建設部門の成長率低迷に影響を及ぼしている。



イ インフレ率
12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.33%となり,最近12か月(本年1月~本年12月)の上昇率は,
3.59%となった。


ウ 為替相場
12月の対米ドル為替相場の平均は3.395ソルであった。


エ 失業率
12月のリマ首都圏の完全失業率は7.0%であった。


オ 財政収支
12月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で0.3%増となった。歳出は,対前年同月比で11.1%減となった。全体では,プライマリーバランスは,6971百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,7074百万ソルの赤字となった。



カ 貿易収支
11月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比21.3%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が2.4%減となり,全体では3,287百万米ドル(対前年同月比13.4%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が6.9%減,中間財は3.3%増,資本財が4.8%減となり,全体で3,008百万米ドル(対前年同月比6.7%減)となった。
この結果,貿易収支は,279百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。



キ 外貨準備高
12月末の外貨準備高は,61,686百万米ドルとなった。


ク 対外累積債務
2016年9月末の対外債務累積総額は,69,746百万米ドルと なった。


(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事
・トランプ米国大統領による米国のTPP離脱署名を受けたペルー政府の反応(1月25日)
クチンスキー大統領は,米国のTPP離脱を受け,TPPの長所をくみ取り短所を削除する必要性やまだ通商協定を締結していないアジア大洋州国との間での二国間協定の締結を目指す考えを示した。また,フェレイロス通商観光大臣は,TPPの今後の対応を決めるため,米国を除く11か国と年内に集まり話し合いの機会を設けるべきと述べた。
・投資促進庁プレスリリース(「経済成長の起爆剤となる官民連携」戦略の発表)(1月26日)
経済財政省と投資促進庁は,官民連携枠組み改定と投資促進庁の機能強化に関する戦略を公表した。投資促進庁は,2017年及び2018年に高い可能性を有したプロジェクト概要を公表した。これによれば,同2年間で32の官民連携プロジェクト,144億ドル以上の金額となる。主要なプロジェクト内容は,運輸,エネルギー,鉱業,不動産,下水道,石油天然ガス及び保健各分野である。
・経済再活性化とフォーマル化
立法権限委譲法に基づき1月7日の期限までに112件の立法令が公布され,民間投資促進枠組法の改正,複数年投資計画・投資管理国家システムの創設,未申告所得の合法化,法人税の改正,一部納税の免除,零細小企業の法人税制創設といった,経済再活性化と非正規な経済活動のフォーマル化に関連するものが半数を占めた。
(了)
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率3.22%(11月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.23%(12月までの一年間),対米ドル為替相場3.395(12月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.0%(12月),財政収支7074百万ソルの赤字(12月),貿易収支279百万米ドルの黒字(11月)となった。
2 各論
(1)主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)は,11月の3.22%(前年同月比)であった(12月分は未公表)。先月と比べ同成長率はやや回復傾向にあるものの,分野別に見ると,前年同月比で建設部門(▲8.69%)が引き続き低迷しており,特に政府による公共事業への投資の伸び悩みが建設部門の成長率低迷に影響を及ぼしている。
イ インフレ率
12月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.33%となり,最近12か月(本年1月~本年12月)の上昇率は,
3.59%となった。
ウ 為替相場
12月の対米ドル為替相場の平均は3.395ソルであった。
エ 失業率
12月のリマ首都圏の完全失業率は7.0%であった。
オ 財政収支
12月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で0.3%増となった。歳出は,対前年同月比で11.1%減となった。全体では,プライマリーバランスは,6971百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,7074百万ソルの赤字となった。
カ 貿易収支
11月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比21.3%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が2.4%減となり,全体では3,287百万米ドル(対前年同月比13.4%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が6.9%減,中間財は3.3%増,資本財が4.8%減となり,全体で3,008百万米ドル(対前年同月比6.7%減)となった。
この結果,貿易収支は,279百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。
キ 外貨準備高
12月末の外貨準備高は,61,686百万米ドルとなった。
ク 対外累積債務
2016年9月末の対外債務累積総額は,69,746百万米ドルと なった。
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2)最近の主な出来事
・トランプ米国大統領による米国のTPP離脱署名を受けたペルー政府の反応(1月25日)
クチンスキー大統領は,米国のTPP離脱を受け,TPPの長所をくみ取り短所を削除する必要性やまだ通商協定を締結していないアジア大洋州国との間での二国間協定の締結を目指す考えを示した。また,フェレイロス通商観光大臣は,TPPの今後の対応を決めるため,米国を除く11か国と年内に集まり話し合いの機会を設けるべきと述べた。
・投資促進庁プレスリリース(「経済成長の起爆剤となる官民連携」戦略の発表)(1月26日)
経済財政省と投資促進庁は,官民連携枠組み改定と投資促進庁の機能強化に関する戦略を公表した。投資促進庁は,2017年及び2018年に高い可能性を有したプロジェクト概要を公表した。これによれば,同2年間で32の官民連携プロジェクト,144億ドル以上の金額となる。主要なプロジェクト内容は,運輸,エネルギー,鉱業,不動産,下水道,石油天然ガス及び保健各分野である。
・経済再活性化とフォーマル化
立法権限委譲法に基づき1月7日の期限までに112件の立法令が公布され,民間投資促進枠組法の改正,複数年投資計画・投資管理国家システムの創設,未申告所得の合法化,法人税の改正,一部納税の免除,零細小企業の法人税制創設といった,経済再活性化と非正規な経済活動のフォーマル化に関連するものが半数を占めた。
(了)