ペルーの政治情勢 4月
平成29年5月23日
ペルー政治情勢 2017年
【概要】
内政
●ロドリゲス司法長官がウマラ前大統領夫妻の収賄疑惑につき発言し,2011年の大統領選挙キャンペーン中に私人として企業から資金を受け取っていたとしても汚職罪には当たらないと発言した。
●「エコテバ(Ecoteva)事件」に係る資金洗浄疑惑によりトレド元大統領夫妻及び関係者に対する勾留命令が下った。
●「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年に係る行事が開催された。また同作戦実行部隊に対する栄典授与法が公布された。
外交
●ルナ外相がアルゼンチンを訪問し,太平洋同盟とメルコスールの閣僚級会合及び世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)に出席した。
●ルナ外相がベネズエラ情勢につき発言し,米州機構(OAS)緊急外相会合を招集し,ベネズエラにおける立憲民主主義の再建に道筋をつけ,また人道危機に対応するべきであると述べた。
●ペルー外務省がベネズエラ情勢に関し,カプリレス・ミランダ州知事の公職就任資格の15年間停止に遺憾の意を表し,また同知事が党首を務める正義第一党の事務所への攻撃を非難した。
●ロイタード・スイス連邦大統領が当国を公式訪問した。
【本文】
1 内政
(1)汚職問題
ア ウマラ前大統領夫妻の収賄疑惑に関するロドリゲス司法長官の発言
ロドリゲス(Duberli Rodriguez)司法長官は,17日付「ペルー21」紙に掲載されたインタビューで,ブラジルの建設大手オデブレヒト(Odebrecht)社によるウマラ前大統領夫妻への贈賄疑惑につき発言した。ロドリゲス長官は,12日にブラジル最高裁が発表した,オデブレヒト社がブラジル労働者党(PT)からの要請を受け,2011年に,ウマラ前大統領の政党である国民主義党の選挙キャンペーンに300万米ドルを寄付したとのマルセロ・オデブレヒト(Marcelo Odebrecht)・オデブレヒト社前社長の証言を受けて,「11年当時,同前大統領夫妻は公職に就いておらず,公人でない者がオデブレヒト社から資金を受け取っていたとしてもそれは汚職罪を構成しない。」と発言した。
イ トレド元大統領夫妻及び関係者に対する勾留命令
17日,リマ地方裁判所は,トレド元大統領,カルプ(Eliane Karp)・トレド元大統領夫人,企業家でトレド元大統領の友人であるマイマン(Joseph Maiman)氏及びトレド政権期の大統領警護主任ダン・オン(Avi Dan On)氏に対し18か月の勾留を命じた。4名に対する勾留命令は,いわゆる「エコテバ(Ecoteva)事件」(トレド元大統領及び関係者が資金洗浄を通じ,ペルー国内の高額物件を購入したとされる疑惑)に係るもので,2015年7月に検察庁が起訴状を提出していた。トレド元大統領に対する勾留命令は,オデブレヒト社からの収賄疑惑で2月9日にリマ第一準備法廷が下したもの以来2度目。
(2)「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年
ア 国会における人質救出作戦20周年式典
17日,国会において日本大使公邸占拠事件における「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年を記念した式典が開催された。サルガド議長及びバルトラ第一副議長は式典挨拶で作戦実行部隊を讃える演説を行った。また来賓として出席したトゥデラ元外相,ジャンピエトリ元副大統領,ミヤシロ議員が挨拶し,人質生活について語った。その他,ウイリアムズ元指揮官による作戦の詳細の説明,チャビン・デ・ワンタル部隊賛歌斉唱,作戦の様子を記録した写真の展示が行われた。
イ 「チャビン・デ・ワンタル」特殊部隊旗に対するアヤクチョ陸軍勲章大十字章授与式
19日,大統領府において「チャビン・デ・ワンタル」特殊部隊旗に対するアヤクチョ陸軍勲章大十字章授与式が行われた。式典には,閣僚,国会議員,ペルー人の元人質,「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」参加者等が出席した。クチンスキー大統領は演説で,同作戦を「ペルーを一つにした歴史的出来事」とし,作戦参加者を前に,「あなた方は勇敢さと度胸をもって日本大使公邸に126日の間誘拐されていた72名の人質を解放しただけでなく,テロの人質となっていた当時の2,400万人のペルー国民をも救出したのである。この救出作戦でテロに終止符を打った。」と評価した。
ウ チャビン・デ・ワンタル博物館における式典
20日,チャビン・デ・ワンタル博物館において「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」記念式典が行われた。式典には,クチンスキー大統領,ロドリゲス司法長官,閣僚,元人質代表のジャンピエトリ元副大統領,ケイコ・フジモリ人民勢力党党首等が出席した。同式典では,クチンスキー大統領から作戦で殉職したバレール大佐の子息及びヒメネス中尉夫人に,またニエト国防大臣ほかから作戦参加者に対し勲章の授与が行われたほか,ニエト国防大臣から人質を代表してジャンピエトリ元副大統領に感謝状が贈られた。クチンスキー大統領は演説の中で,チャビン・デ・ワンタル特殊部隊は国家のために多大なる犠牲を払ったことを述べつつ,また「当時のフジモリ政権が,この作戦の計画を傑出した形で見事に成功させた。」と強調した。また,「気を取り直して新たな一歩を踏み出す(voltear la pagina)べきである。常に課題というものは存在するが,「規律と組織力」をもってすれば,皆で必ずや打ち勝つと確信している。」と明言した。
エ 「チャビン・デ・ワンタル作戦」実行部隊に対する栄典授与法の成立
22日,「チャビン・デ・ワンタル作戦」実行部隊に対する栄典授与法(法律第30554号)が公布された。同法は,作戦決行日である4月22日及びセンデロ・ルミノソのリーダーであったアビマエル・グスマンの逮捕日である9月12日をそれぞれ「民主主義の擁護者の日」と定めるとともに,作戦実行部隊メンバーを「民主主義の英雄」として讃え,「民主主義の擁護者」のメダルを授与すること,また作戦実行部隊メンバーとその子,配偶者または内縁の妻に対し,学業継続のための奨学金乃至経済的支援を与えることを目的として,国防省が公立・私立教育機関と協定を結ぶことを許可すると定めたもの。
(3)クチンスキー大統領支持率(特記ない限り括弧内は前月数値)
ア ダトゥム社:3月31~4日実施,全国(対象1201名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:45%(35%) 不支持:49%(57%)
イ イプソス社:11日実施,全国(対象1267名)誤差±2.7%,信頼度95%
支持:43%(32%) 不支持:47%(58%)
ウ GfK社:22~25日実施,全国(対象1235名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:42%(31%) 不支持:47%(60%)
2 外交
(1)ルナ外相のアルゼンチン訪問
6~7日,ルナ外相がアルゼンチンで開催された太平洋同盟とメルコスールの閣僚級会合及び世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)に出席した。
ア 太平洋同盟とメルコスールの外相・通商・生産大臣会合
通商の簡素化及び促進,税関協力,中小企業支援,地域レベルでのバリュー・チェーンの発掘のための取り組みを継続し,両地域統合システムの関係を緊密化することが合意された。また太平洋同盟のハイレベルグループ(GAN)とメルコスールの共同市場グループ(GMC)の会合を定期的に行うことが合意された。また,開放性,予測可能性,透明性,包摂性,国際ルールに則った多国間貿易機構の重要性を再確認しつつ,本年12月にアルゼンチンで開催される第11回WTO閣僚会議において,交渉の進展及び21世紀の課題に取り組むためのWTOの強化に資する具体的成果を上げるために取り組んでいくことが約束された。
イ 世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)
ルナ外相はWEF-LAの全体会合「中南米と世界」で,グローバリゼーションの達成及び現代世界における技術の役割につきスピーチした。また,太平洋同盟につき,通商,金融及び人の移動の面で統合のプラットフォームとしての役割を果たしていることを強調した。
(2)ベネズエラ情勢に関するルナ外相の発言
7日,アルゼンチンを訪問中のルナ外相は,ベネズエラ情勢につき発言した。
ア 米州機構(OAS)外相会合を緊急に招集し,現下のベネズエラにおける民主主義の危機の解決へ向けた具体的な道筋を確立する必要がある。ベネズエラの現状はこれ以上続くべきではない。
イ ベネズエラにおける立憲秩序は既に破壊されている。ベネズエラ最高裁は,国会権能を直接行使する判決を下したのち,立法権を放棄したが,これをもって立憲秩序の侵害が正されたとは言えない。議会は未だに活動を認められないままだからである。かかる二転三転は,ベネズエラ司法府の決定がマドゥーロ大統領の意思に依存していることを改めて確認させるものである。ベネズエラにおける暴力と政治的緊張は日ごとに高まっている。
ウ OASが追求しているのは,ベネズエラにおける政治犯の釈放,選挙日程の確定,憲法が定める権力分立原則の遵守と三権の相互尊重を伴う民主主義の再建である。また国民に影響を与える人道危機への対応が解決策の中心とならなければならない。これは危機解決のための最低限の基盤である。
(3)ベネズエラ情勢に関するペルー外務省の反応
9日付でペルー外務省は声明を発出し,ベネズエラ会計検査院が,カプリレス・ミランダ州知事の公職就任資格を15年間停止したことに対し遺憾の意を表明した。また,カプリレス知事が党首を務める正義第一党の事務所への攻撃が行われたことについて,「かかる行動は,市民的・政治的自由の行使に対する攻撃であり,ベネズエラにおける危機の平和的解決の新たな障害となるものである。」と非難した。
(4)ロイタード・スイス連邦大統領の来訪
20~21日,ロイタード(Doris Leuthard)スイス連邦大統領がクチンスキー大統領の招待により当国を公式訪問した。首脳会談後,民主主義,人権の擁護及び法治国家の尊重,ペルーのOECD加盟希望,太平洋同盟における統合及び協力の深化,気候変動に関するパリ協定の実施,国連持続可能な開発目標,ペルーの自然災害に対するスイスからの支援,経済・通商・投資の多角化と推進,インフラ,エネルギー,運輸,「責任ある金採掘」(Oro Responsable)等のスイスの対ペルー協力, 鉱業における人権及び基本的自由の尊重による社会紛争の減少,本年下半期における社会保障協定の交渉開始,スイスにおける凍結資産の返還に係る刑事司法共助,文化交流及び文化協力等のテーマを含む共同宣言が発出された。今般のペルー・スイス首脳会談において,「小規模鉱業のための「責任ある金採掘」フェイズ2」,「ペルーの財政改善のための技術支援プログラム」及び「気候変動対策への支援プロジェクトに係る附属文書」の3つの成果文書が署名された。
【概要】
内政
●ロドリゲス司法長官がウマラ前大統領夫妻の収賄疑惑につき発言し,2011年の大統領選挙キャンペーン中に私人として企業から資金を受け取っていたとしても汚職罪には当たらないと発言した。
●「エコテバ(Ecoteva)事件」に係る資金洗浄疑惑によりトレド元大統領夫妻及び関係者に対する勾留命令が下った。
●「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年に係る行事が開催された。また同作戦実行部隊に対する栄典授与法が公布された。
外交
●ルナ外相がアルゼンチンを訪問し,太平洋同盟とメルコスールの閣僚級会合及び世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)に出席した。
●ルナ外相がベネズエラ情勢につき発言し,米州機構(OAS)緊急外相会合を招集し,ベネズエラにおける立憲民主主義の再建に道筋をつけ,また人道危機に対応するべきであると述べた。
●ペルー外務省がベネズエラ情勢に関し,カプリレス・ミランダ州知事の公職就任資格の15年間停止に遺憾の意を表し,また同知事が党首を務める正義第一党の事務所への攻撃を非難した。
●ロイタード・スイス連邦大統領が当国を公式訪問した。
【本文】
1 内政
(1)汚職問題
ア ウマラ前大統領夫妻の収賄疑惑に関するロドリゲス司法長官の発言
ロドリゲス(Duberli Rodriguez)司法長官は,17日付「ペルー21」紙に掲載されたインタビューで,ブラジルの建設大手オデブレヒト(Odebrecht)社によるウマラ前大統領夫妻への贈賄疑惑につき発言した。ロドリゲス長官は,12日にブラジル最高裁が発表した,オデブレヒト社がブラジル労働者党(PT)からの要請を受け,2011年に,ウマラ前大統領の政党である国民主義党の選挙キャンペーンに300万米ドルを寄付したとのマルセロ・オデブレヒト(Marcelo Odebrecht)・オデブレヒト社前社長の証言を受けて,「11年当時,同前大統領夫妻は公職に就いておらず,公人でない者がオデブレヒト社から資金を受け取っていたとしてもそれは汚職罪を構成しない。」と発言した。
イ トレド元大統領夫妻及び関係者に対する勾留命令
17日,リマ地方裁判所は,トレド元大統領,カルプ(Eliane Karp)・トレド元大統領夫人,企業家でトレド元大統領の友人であるマイマン(Joseph Maiman)氏及びトレド政権期の大統領警護主任ダン・オン(Avi Dan On)氏に対し18か月の勾留を命じた。4名に対する勾留命令は,いわゆる「エコテバ(Ecoteva)事件」(トレド元大統領及び関係者が資金洗浄を通じ,ペルー国内の高額物件を購入したとされる疑惑)に係るもので,2015年7月に検察庁が起訴状を提出していた。トレド元大統領に対する勾留命令は,オデブレヒト社からの収賄疑惑で2月9日にリマ第一準備法廷が下したもの以来2度目。
(2)「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年
ア 国会における人質救出作戦20周年式典
17日,国会において日本大使公邸占拠事件における「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」決行20周年を記念した式典が開催された。サルガド議長及びバルトラ第一副議長は式典挨拶で作戦実行部隊を讃える演説を行った。また来賓として出席したトゥデラ元外相,ジャンピエトリ元副大統領,ミヤシロ議員が挨拶し,人質生活について語った。その他,ウイリアムズ元指揮官による作戦の詳細の説明,チャビン・デ・ワンタル部隊賛歌斉唱,作戦の様子を記録した写真の展示が行われた。
イ 「チャビン・デ・ワンタル」特殊部隊旗に対するアヤクチョ陸軍勲章大十字章授与式
19日,大統領府において「チャビン・デ・ワンタル」特殊部隊旗に対するアヤクチョ陸軍勲章大十字章授与式が行われた。式典には,閣僚,国会議員,ペルー人の元人質,「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」参加者等が出席した。クチンスキー大統領は演説で,同作戦を「ペルーを一つにした歴史的出来事」とし,作戦参加者を前に,「あなた方は勇敢さと度胸をもって日本大使公邸に126日の間誘拐されていた72名の人質を解放しただけでなく,テロの人質となっていた当時の2,400万人のペルー国民をも救出したのである。この救出作戦でテロに終止符を打った。」と評価した。
ウ チャビン・デ・ワンタル博物館における式典
20日,チャビン・デ・ワンタル博物館において「チャビン・デ・ワンタル救出作戦」記念式典が行われた。式典には,クチンスキー大統領,ロドリゲス司法長官,閣僚,元人質代表のジャンピエトリ元副大統領,ケイコ・フジモリ人民勢力党党首等が出席した。同式典では,クチンスキー大統領から作戦で殉職したバレール大佐の子息及びヒメネス中尉夫人に,またニエト国防大臣ほかから作戦参加者に対し勲章の授与が行われたほか,ニエト国防大臣から人質を代表してジャンピエトリ元副大統領に感謝状が贈られた。クチンスキー大統領は演説の中で,チャビン・デ・ワンタル特殊部隊は国家のために多大なる犠牲を払ったことを述べつつ,また「当時のフジモリ政権が,この作戦の計画を傑出した形で見事に成功させた。」と強調した。また,「気を取り直して新たな一歩を踏み出す(voltear la pagina)べきである。常に課題というものは存在するが,「規律と組織力」をもってすれば,皆で必ずや打ち勝つと確信している。」と明言した。
エ 「チャビン・デ・ワンタル作戦」実行部隊に対する栄典授与法の成立
22日,「チャビン・デ・ワンタル作戦」実行部隊に対する栄典授与法(法律第30554号)が公布された。同法は,作戦決行日である4月22日及びセンデロ・ルミノソのリーダーであったアビマエル・グスマンの逮捕日である9月12日をそれぞれ「民主主義の擁護者の日」と定めるとともに,作戦実行部隊メンバーを「民主主義の英雄」として讃え,「民主主義の擁護者」のメダルを授与すること,また作戦実行部隊メンバーとその子,配偶者または内縁の妻に対し,学業継続のための奨学金乃至経済的支援を与えることを目的として,国防省が公立・私立教育機関と協定を結ぶことを許可すると定めたもの。
(3)クチンスキー大統領支持率(特記ない限り括弧内は前月数値)
ア ダトゥム社:3月31~4日実施,全国(対象1201名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:45%(35%) 不支持:49%(57%)
イ イプソス社:11日実施,全国(対象1267名)誤差±2.7%,信頼度95%
支持:43%(32%) 不支持:47%(58%)
ウ GfK社:22~25日実施,全国(対象1235名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:42%(31%) 不支持:47%(60%)
2 外交
(1)ルナ外相のアルゼンチン訪問
6~7日,ルナ外相がアルゼンチンで開催された太平洋同盟とメルコスールの閣僚級会合及び世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)に出席した。
ア 太平洋同盟とメルコスールの外相・通商・生産大臣会合
通商の簡素化及び促進,税関協力,中小企業支援,地域レベルでのバリュー・チェーンの発掘のための取り組みを継続し,両地域統合システムの関係を緊密化することが合意された。また太平洋同盟のハイレベルグループ(GAN)とメルコスールの共同市場グループ(GMC)の会合を定期的に行うことが合意された。また,開放性,予測可能性,透明性,包摂性,国際ルールに則った多国間貿易機構の重要性を再確認しつつ,本年12月にアルゼンチンで開催される第11回WTO閣僚会議において,交渉の進展及び21世紀の課題に取り組むためのWTOの強化に資する具体的成果を上げるために取り組んでいくことが約束された。
イ 世界経済フォーラム・中南米会合(WEF-LA)
ルナ外相はWEF-LAの全体会合「中南米と世界」で,グローバリゼーションの達成及び現代世界における技術の役割につきスピーチした。また,太平洋同盟につき,通商,金融及び人の移動の面で統合のプラットフォームとしての役割を果たしていることを強調した。
(2)ベネズエラ情勢に関するルナ外相の発言
7日,アルゼンチンを訪問中のルナ外相は,ベネズエラ情勢につき発言した。
ア 米州機構(OAS)外相会合を緊急に招集し,現下のベネズエラにおける民主主義の危機の解決へ向けた具体的な道筋を確立する必要がある。ベネズエラの現状はこれ以上続くべきではない。
イ ベネズエラにおける立憲秩序は既に破壊されている。ベネズエラ最高裁は,国会権能を直接行使する判決を下したのち,立法権を放棄したが,これをもって立憲秩序の侵害が正されたとは言えない。議会は未だに活動を認められないままだからである。かかる二転三転は,ベネズエラ司法府の決定がマドゥーロ大統領の意思に依存していることを改めて確認させるものである。ベネズエラにおける暴力と政治的緊張は日ごとに高まっている。
ウ OASが追求しているのは,ベネズエラにおける政治犯の釈放,選挙日程の確定,憲法が定める権力分立原則の遵守と三権の相互尊重を伴う民主主義の再建である。また国民に影響を与える人道危機への対応が解決策の中心とならなければならない。これは危機解決のための最低限の基盤である。
(3)ベネズエラ情勢に関するペルー外務省の反応
9日付でペルー外務省は声明を発出し,ベネズエラ会計検査院が,カプリレス・ミランダ州知事の公職就任資格を15年間停止したことに対し遺憾の意を表明した。また,カプリレス知事が党首を務める正義第一党の事務所への攻撃が行われたことについて,「かかる行動は,市民的・政治的自由の行使に対する攻撃であり,ベネズエラにおける危機の平和的解決の新たな障害となるものである。」と非難した。
(4)ロイタード・スイス連邦大統領の来訪
20~21日,ロイタード(Doris Leuthard)スイス連邦大統領がクチンスキー大統領の招待により当国を公式訪問した。首脳会談後,民主主義,人権の擁護及び法治国家の尊重,ペルーのOECD加盟希望,太平洋同盟における統合及び協力の深化,気候変動に関するパリ協定の実施,国連持続可能な開発目標,ペルーの自然災害に対するスイスからの支援,経済・通商・投資の多角化と推進,インフラ,エネルギー,運輸,「責任ある金採掘」(Oro Responsable)等のスイスの対ペルー協力, 鉱業における人権及び基本的自由の尊重による社会紛争の減少,本年下半期における社会保障協定の交渉開始,スイスにおける凍結資産の返還に係る刑事司法共助,文化交流及び文化協力等のテーマを含む共同宣言が発出された。今般のペルー・スイス首脳会談において,「小規模鉱業のための「責任ある金採掘」フェイズ2」,「ペルーの財政改善のための技術支援プログラム」及び「気候変動対策への支援プロジェクトに係る附属文書」の3つの成果文書が署名された。