ペルーの経済情勢(2017年4月)

平成29年5月25日
1 総論
  最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率0.71%(3月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率3.69%(4月までの一年間),対米ドル為替相場3.248(4月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.2%(3月),財政収支254百万ソルの黒字(4月),貿易収支76百万米ドルの黒字(3月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
  ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
  最新の経済成長率(GDP成長率)について,3月は0.71%(前年同月比)であった(4月分は未公表)。特に,農牧,鉱業,建設等分野はマイナス成長である。
 
 


 


イ インフレ率
  4月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,▲0.26%となり,最近12か月(昨年5月~本年4月)の上昇率は,3.69%となった。
 



 
ウ 為替相場
  4月の対米ドル為替相場の平均は3.248ソルであった。
 


 

エ 失業率
  3月のリマ首都圏の完全失業率は7.0%であった。
 



オ 財政収支
  4月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で1.3%増となった。歳出は,対前年同月比で21.2%増となった。全体では,プライマリーバランスは,375百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,254百万ソルの黒字となった。
 





カ 貿易収支
  3月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比18.6%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が7.4%増となり,全体では3,260百万米ドル(対前年同月比15.5%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
  輸入額は,対前年同月比で消費財が5.8%増,中間財は31.2%増,資本財が2.9%減となり,全体で3,184百万米ドル(対前年同月比13.0%増)となった。
  この結果,貿易収支は,76百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。
 





キ 外貨準備高
  4月末の外貨準備高は,62,998百万米ドルとなった。
 


 

ク 対外累積債務
  2016年12月末の対外債務累積総額は,74,651百万米ドルと なった。
 


 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
 
(2)最近の主な出来事
・豪雨災害被災地復興法の成立(4月29日)
  4月29日,ペルー国会において,政府が提出した豪雨災害被災地復興法案(「変化に伴う復興」法案)が賛成多数により可決成立した。同法により,首相府の下に復興計画の実行を主管する機関(復興事務局)が設置され,同事務局が被災地域に対するインフラ整備や優先的かつ持続的な活動を包含した計画案を作成することになる。
 
・ペルー中銀による政策金利を0.25%引き下げ4.00%に(5月11日)
  5月11日,ペルー中銀は,政策金利を0.25%引き下げ,4.00%とする旨発表した。今般の引き下げは,ここ数か月経済成長が低迷する中,第2四半期以降の公共支出の増加や輸出価格の増加が期待され,インフレ率も目標値に収めること等を考慮し決定された。
 
・ペルー議会での「復興と防災」に関する国際セミナー開催(5月11日)
   5月11日,ペルー議会にて「復興と防災」と題した国際セミナーが開催された。ペルー沿岸部の豪雨被害を踏まえ日本に対し講演者として出席依頼があったもので,株丹大使挨拶の後,日本が有する知見として,日本側関係者からこれまでの防災協力,洪水対策,避難警報等につき一連の講演を実施した。同セミナーには国会議員,市長,市議会議員,省庁職員,学生等約300名が参加。
 (了)