COPANI歓迎式典挨拶【2017年11月2日(木)17:00,於:APJ】

平成29年11月10日
 第19回パンアメリカン日系人大会の開催おめでとうございます。また,各国からご参加の皆様におかれては,ペルーにお越しいただき歓迎いたします。

 今年5月に公表された中南米日系社会との連携に関する有識者懇談会報告書について申し上げたいと存じます。本報告書は大使館のHPでご覧いただけます。
 
 これは中南米以外における日系社会との連携についても,当てはまることが多いと考えます。
過去のこのような累次の報告書の最後の意見から17年後の日系社会の現状,日本との交流の状況を調査の上,今回の報告書が出されたこと自体が意義深いと考えます。あえて一言でその趣旨を纏めていえば,「連携」です。
 懇談会自体は,専門家だけではなく地方公共団体,経済界,そして日本の開発協力機構の各代表者及び日系の方も入っています。そのため,単に日本政府の施策に限らず,日本の各界各層をあげて取り組むべき施策の提言となりました。私は,これまでに至るCOPANIの活動を高く評価しておりますが,この報告書はこれまでのCOPANIの活動に対する日本側からの回答であると言っても良いのではないかと思っています。
 
 もちろん,私はペルーにおりまして,報告に至る詳細を知っている訳ではありませんが,報告書にはいくつかの特徴があると考えます。
 
 その一つは,懇談会が発足して報告書が完成するまでの期間は短かったが,日系社会の現状を可能な限り詳細にかつ多面的に捉える努力が払われたことです。そうした現状認識のもとに提言が行われました。その間,在外公館は,それぞれの地での日系社会と意見交換を行い,積極的にその意見を懇談会へ届けるようにしました。報告書提出に至る間の我々外務省員への「学習効果」は今回大きかっただけではなく,次の動きにも必ず繋がっていくと確信しています。
 
 政策を形成するには,政策の影響を受ける側の意見を十分に聴取するのは重要です。しかし,日系社会との関係では,以前は必ずしもそうではなかったのではないかと思います。
日本の国内の状況,日系の皆様の状況,意見を踏まえた報告になったと考えています。
 
 もう一つの特徴は,提言された具体的対応策に,広範囲でかつ多様なものが包含されていることです。もちろん,書き込まれている対応策が直ちに政府の施策集になっている訳ではありません。予算編成過程の中で,また,法改正など制度をあらためなければ実現するのが難しいものも含まれています。
 しかしながら,日本全体で取り組むべきとして,他のセクターに対しても施策を提言しています。さらに,日本語・日本文化発信事業のための施策,在日日系社会に関する施策ときちんとタイトルがついて纏められていることに,大きな期待を持っています。
 
 問題提起にとどまっている部分もあるでしょう。しかし,問題が所在することを文章に明記することは重要です。
 
 連携に関する関係者の覚悟を感じたところです。
 COPANIをはじめとする日系社会のリーダーの皆様には常に施策実現に向けての関心を持ち続けていただければと思います。
 
 お集まりの皆様とともに,日系社会との連携の動きを進めていきたいと思います。長く喋って恐縮でしたが,どうぞよろしくお願いします。