ペルーの経済情勢(2017年10月)

平成29年11月21日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.28%(8月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.04%(10月までの一年間),対米ドル為替相場3.251ソル(10月平均値),リマ首都圏の完全失業率7.2%(9月),財政収支2,053百万ソルの赤字(9月),貿易収支961百万米ドルの黒字(9月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について,8月は2.28%(前年同月比)となり,漁業,特に,アンチョビの漁獲時期のずれにより生じる魚粉・魚油等水産加工品生産量に関する昨年同時期の比較により,GDP成長率低下に影響を及ぼしているとみられる(9月分は未公表)。
 


 


イ インフレ率
 10月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,▲0.47%となり,最近12か月(昨年11月~本年10月)の上昇率は,2.04%となった。



 
ウ 為替相場
 10月の対米ドル為替相場の平均は3.251ソルであった。



 

エ 失業率
 9月のリマ首都圏の完全失業率は7.2%であった。




オ 財政収支
 9月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で1.0%減となった。歳出は,対前年同月比で17.0%増となった。全体では,プライマリーバランスは,1,714百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,2,053百万ソルの赤字となった。




カ 貿易収支
 9月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比40.9%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が5.2%増となり,全体では4,252百万米ドル(対前年同月比30.8%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
 輸入額は,対前年同月比で消費財が1.1%減,中間財は10.1%増,資本財が0.5%増となり,全体で3,291百万米ドル(対前年同月比3.5%増)となった。この結果,貿易収支は,961百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。






キ 外貨準備高
 10月末の外貨準備高は,63,560百万米ドルとなった。 



 
ク 対外累積債務
 2017年6月末の対外債務累積総額は,78,543百万米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)最近の主な出来事
・ペルー中央準備銀行・政策金利を3.25%に引き下げ(11月9日)
 ペルー中央準備銀行は,3.50%であった政策金利を3.25%に引き下げることを発表した。中銀は本決定の理由として,主に,インフレ率が減少傾向にあり目標値(1%から3%)以内に留まっている,また,経済成長率は低迷気味であるものの上昇傾向にある点と説明している。
 
・ペルー・オーストラリア間のFTA締結(11月10日)
 ペルー通商観光省は,ペルー・オーストラリア間で自由貿易協定(FTA)を締結した旨のプレスリリースを発出した。フェレイロス通商観光大臣は,このオーストラリアとのFTA締結により,同国との間で,農林水産,サービス,中小企業,人材交流等幅広い分野での通商関係が強化されるだろうと述べた。
 
・APEC首脳会合開催(11月11日)
 ベトナム・ダナンにおいてAPEC首脳会合が開催されたことに関し,ペルー大統領府は,本APEC首脳会合の機会を通じ,市場を開く貿易のグローバル化を引き続き支持し,国際レベルでのサービス取引を強化することで合意した等のプレスリリースを発出した。また,同首脳会合に先立ち,8日には,河野外務大臣とルナ外相との間で日ペルー外相会談が,10日には,安倍総理とクチンスキー大統領との間で日ペルー首脳会談が行われた。
 (了)