ペルーの経済情勢(2017年11月)

平成29年12月20日
1 総論
 最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.99%(10月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率1.54%(11月までの一年間),対米ドル為替相場3.241ソル(11月平均値),リマ首都圏の完全失業率5.9%(10月),財政収支1,676百万ソルの赤字(11月),貿易収支346百万米ドルの黒字(10月)となった。
 
2 各論
(1)主要経済指標
 ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
 最新の経済成長率(GDP成長率)について,10月は建設及び通信・情報分野の伸びもあり,2.99%(前年同月比)となり,過去数か月見られた漁業を中心としたGDP成長率低下傾向からの改善が見られている(11月分は未公表)。
 


 


イ インフレ率
 11月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,▲0.20%となり,最近12か月(昨年12月~本年11月)の上昇率は,1.54%となった。




 
ウ 為替相場
 11月の対米ドル為替相場の平均は3.241ソルであった。



 

エ 失業率
 10月のリマ首都圏の完全失業率は5.9%であった。




オ 財政収支
 11月の中央政府の財政収支は,歳入が対前年同月比で8.0%増となった。歳出は,対前年同月比で12.3%増となった。全体では,プライマリーバランスは,1,1104百万ソルの赤字となった。債務の利払いを含めると,1,676百万ソルの赤字となった。



カ 貿易収支
 10月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比9.7%増,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.2%増となり,全体では3,843百万米ドル(対前年同月比8.2%増)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
 輸入額は,対前年同月比で消費財が15.5%増,中間財は12.2%増,資本財が1.9%増となり,全体で3,497百万米ドル(対前年同月比9.6%増)となった。この結果,貿易収支は,346百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。





キ 外貨準備高
 11月末の外貨準備高は,62,983百万米ドルとなった。 



 

ク 対外累積債務
 2017年9月末の対外債務累積総額は,80,200百万米ドルとなった。



 
 
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。

(2)最近の主な出来事
・経営者幹部年次総会(CADE)2017の開催(11月29日)
  11月29日から12日1日の3日間,イカ州パラカスにおいて第55回経営者幹部年次総会(CADE)2017が開催され,クチンスキー大統領,アラオス第二副大統領兼首相,クーパー経済財政相ら政権幹部や各分野経営者等1000名が参加。クチンスキー大統領は同総会にて,2021年のペルー独立200周年へ向け一致団結することの重要性を強調した。
 
・2018年予算の承認(11月30日)
 11月30日,2018年予算が国会で承認され12月7日付官報に掲載された。予算総額は1,571億5,875万ソル(約491億米ドル(1米ドル≒3.2ソル))で,2017年予算に比して10.0%増加。
 
・ラ米・カリブ経済委員会が2018年の経済成長予測発表(12月15日)
 同委員会は,2018年のラ米・カリブ地域の経済成長予測を発表。ペルーの2018年の経済成長予測は3.5%(南米諸国の中でボリビアに次ぎ第二位)。2017年のラ米・カリブ域内諸国全体の同成長率は1.3%,2018年は2.2%に改善する予測。 
 
(了)