ペルーの政治情勢 2月

2018/3/9
【概要】
(内政)
●野党の左派2会派が新たなクチンスキー大統領弾劾決議請求を行う方針を示した。
●米州人権裁判所(CIDH)がペルー国会に対し,憲法裁判所裁判官の罷免決議請求を取り下げるよう命じた。
●人民勢力党(FP)会派所属議員1名が同会派を離脱した。
●オデブレヒト社の元リマ支店長が,2011年ペルー大統領選挙の主要候補陣営に裏金から資金提供していた旨証言した。
(外交)
●ティラソン米国務長官が来訪した。
●リマにおいてベネズエラ情勢に関する第5回「リマ・グループ」会合が開催された。
●ペルー政府が第8回米州サミットへのマドゥーロ・ベネズエラ大統領の招待を取り下げる旨決定した。
 
【本文】
1 内政
(1)新たな大統領弾劾決議請求提出に向けた動き
1日,ペルー国会の左派会派である「拡大戦線」(FA)及び「新しいペルー」(NP)が,クチンスキー大統領が関わる汚職疑惑に関し新たな証拠が発見されたとして,新たな大統領弾劾決議請求をそれぞれ国会に提出する方針を表明した。
(2)司法の動向
9日,米州人権裁判所(CIDH)は,ペルー国会に提出された4名のペルー憲法裁判所裁判官に対する罷免決議請求につき,同請求を取り下げるよう命じる判決を下した。同請求は,エル・フロントン島事件(1986年に同島の刑務所で囚人が軍により超法規的に処刑されたとされる事件。)の関係者の元軍人らが野党国会議員を通じて行ったもの。
(3)国会の動向
19日,野党人民勢力党(FP)会派に所属するアビラ(Lucio Avila Rojas)議員(プーノ州選出)がFP会派離脱を表明した。1月にFP会派を離脱したケンジ・フジモリ議員ほかと合わせ,同会派を離脱した議員は11名となった。
(4)汚職問題
27~28日,バラタ(Jorge Barata)元オデブレヒト社リマ支店長がペルー検察庁の事情聴取に応じ,同社が2011年ペルー大統領選挙において主要候補の陣営に資金提供を行っていた旨証言したことが報じられた。報道によればオデブレヒト社は当時,クチンスキー陣営にはスサナ・デ・ラ・プエンテ氏(現駐英ペルー大使),ケイコ・フジモリ陣営にはハイメ・ヨシヤマ氏(当時の党幹事長)らを通じてそれぞれ会社の裏金から資金を提供していた。
(5)クチンスキー大統領支持率(特記ない限り括弧内は前月数値)
ア ダトゥム社:1月26~30日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:22%(20%) 不支持:73%(75%)
イ イプソス社:7~9日実施,全国(対象1263名),誤差±2.7%,信頼度95%
支持:19%(23%) 不支持:75%(70%)
ウ GfK社:17~20日実施,全国(対象1293名)誤差±2.7%,信頼度95%
支持:15%(19%) 不支持:82%(79%)
 
2 外交
(1)5~6日,ティラソン長官米国務長官が当国を訪問しクチンスキー大統領及びアルホビン外相との間で二国間関係,米州サミット,ベネズエラ問題等に関する協議が行われた。
(2)13日,リマにおいてベネズエラ情勢に関する第5回「リマ・グループ」会合が開催され,ベネズエラにおける大統領選挙前倒し実施に対する拒否等が表明された。
(3)15日,アラオス首相が,ペルー政府がマドゥーロ・ベネズエラ大統領に対する米州サミット(4月にリマで開催)出席招待を公式に取り下げる旨決定したと明らかにした。ペルー国内では,ベネズエラ政府がマドゥーロ大統領のサミット出席を確認したことで同大統領に対する反発が広がっていた。他方,ボリビア,キューバ,ウルグアイ,エクアドル,ニカラグアがベネズエラのサミットからの排除に反対する旨表明した。