3月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
平成30年5月1日
概要】
(内政)
●ケンジ・フジモリ議員が党の政策や運営方針を不満として人民勢力党(FP)を離党した。
●クチンスキー大統領に対する弾劾決議請求が国会に提出され受け入れられたが,弾劾決議審議の前に国会議員買収疑惑が暴露されクチンスキー大統領が辞任した。
●辞任したクチンスキー大統領に代わりビスカラ第一副大統領が大統領に就任した。
(外交)
特になし。
【本文】
1 内政
(1)ケンジ・フジモリ議員の人民勢力党(FP)離党
1日,ケンジ・フジモリ議員が党の政策や運営方針を不満としてFPを離党した。同議員は1月31日,FP会派を離脱していた。
(2)新たなクチンスキー大統領弾劾決議請求
8日,野党4会派及び無所属議員の計30名が署名したクチンスキー大統領弾劾決議請求(mocion de vacancia presidencial)が国会本会議に提出された。同請求文書の提出はビヤヌエバ議員(ペルーの進歩のための同盟(APP)所属)が代表して行った。本件弾劾決議請求は,クチンスキー大統領が関わる汚職疑惑に関し新たな証拠が発見されたとして,同大統領に対し,大統領の弾劾要件を定めた憲法第113条の第2項「恒久的な道徳的能力の欠如」(permanente incapacidad moral)を適用し同大統領を罷免しようとするもの。
15日,国会本会議においてクチンスキー大統領弾劾決議請求を受け入れるか否かについての投票が行われ,賛成票が規定を満たしたことで本件請求が受け入れられた。また本件を審議する国会本会議を22日に開催することが予定された。更に,昨年12月のクチンスキー大統領弾劾決議案否決の際と同様,FPから「ケンジ派」の造反議員が出ることで再び弾劾否決となる可能性が取り沙汰された。
(3)国会議員買収疑惑の暴露によるクチンスキー大統領の辞任
20日,「ケンジ派」議員に加え,更に4名のFP議員が造反する可能性が報じられた。また,ケンジ議員が新党結成に向け動いている旨報道された。
同日,FPが記者会見を開き,クチンスキー政権が弾劾を回避するために国会議員を買収している証拠を保有しているとして,FP所属のママニ議員が隠し撮りした動画を公開した。右動画にはママニ議員とケンジ議員ほか「ケンジ派」議員,クチンスキー政権関係者等との会合の様子が映っており,弾劾に対する反対票と引き替えにママニ議員が政権から公共事業のマネージメントを任され,更にリベートを受け取れるようになる旨の会話が行われていた。加えて記者会見では,ママニ議員がジウフラ運輸通信大臣とクチンスキー大統領私邸への訪問を調整している通話の音声記録が公開された。国会議員買収疑惑の暴露により,野党の全会派が弾劾決議案の採決を待つことなくクチンスキー大統領の即時辞任を要求,また閣僚や与党の中からも辞任を求める声が上がった。
21日,クチンスキー大統領が国民向けメッセージにより大統領辞任を発表し,またアラオス内閣が総辞職を表明した。その後,ビスカラ第一副大統領兼駐カナダ大使がツイッターで大統領職を継承する意向を示し,ペルーへの帰国の途に就いた。
(4)ビスカラ大統領の就任
22~23日,国会本会議においてクチンスキー大統領から提出された辞表が審議に付され,賛成多数により同大統領の辞任が正式に承認された。これにより大統領職が空席となり,憲法規定に基づきビスカラ第一副大統領が大統領に昇格した。
23日,ビスカラ第一副大統領は国会において宣誓し,ガラレタ国会議長から大統領綬を授受され,正式に大統領に就任した。ビスカラ大統領は就任演説で,全閣僚交代を伴う新規組閣を行う意向を示すとともに,汚職との闘い,制度機構の再建,公正な成長,持続可能なインフラ建設,保健衛生,雇用創出,治安,教育を政策の柱とすることを表明し,「ペルー・ファースト(Peru primero)」を掲げた。ビスカラ大統領の就任に至る手続は憲法に則ったものとして内外から基本的に好意的に受け止められた。
(5)ビスカラ大統領就任直後の動き
25日,ビスカラ大統領がリマ市内の病院を視察した。また,26日にはリマ市内の学校を視察した。こうした就任早々の公務が積極的な姿勢と評価された。
(6)クチンスキー大統領支持率
ア ダトゥム社:1~5日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:17%(22%) 不支持:79%(73%)
イ イプソス社:7~9日実施,全国(対象1264名),誤差±2.7%,信頼度95%
支持:19%(19%) 不支持:76%(75%)
ウ GfK社:17~20日実施,全国(対象1293名)誤差±2.7%,信頼度95%
支持:15%(15%) 不支持:81%(82%)
2 外交
特になし。
(内政)
●ケンジ・フジモリ議員が党の政策や運営方針を不満として人民勢力党(FP)を離党した。
●クチンスキー大統領に対する弾劾決議請求が国会に提出され受け入れられたが,弾劾決議審議の前に国会議員買収疑惑が暴露されクチンスキー大統領が辞任した。
●辞任したクチンスキー大統領に代わりビスカラ第一副大統領が大統領に就任した。
(外交)
特になし。
【本文】
1 内政
(1)ケンジ・フジモリ議員の人民勢力党(FP)離党
1日,ケンジ・フジモリ議員が党の政策や運営方針を不満としてFPを離党した。同議員は1月31日,FP会派を離脱していた。
(2)新たなクチンスキー大統領弾劾決議請求
8日,野党4会派及び無所属議員の計30名が署名したクチンスキー大統領弾劾決議請求(mocion de vacancia presidencial)が国会本会議に提出された。同請求文書の提出はビヤヌエバ議員(ペルーの進歩のための同盟(APP)所属)が代表して行った。本件弾劾決議請求は,クチンスキー大統領が関わる汚職疑惑に関し新たな証拠が発見されたとして,同大統領に対し,大統領の弾劾要件を定めた憲法第113条の第2項「恒久的な道徳的能力の欠如」(permanente incapacidad moral)を適用し同大統領を罷免しようとするもの。
15日,国会本会議においてクチンスキー大統領弾劾決議請求を受け入れるか否かについての投票が行われ,賛成票が規定を満たしたことで本件請求が受け入れられた。また本件を審議する国会本会議を22日に開催することが予定された。更に,昨年12月のクチンスキー大統領弾劾決議案否決の際と同様,FPから「ケンジ派」の造反議員が出ることで再び弾劾否決となる可能性が取り沙汰された。
(3)国会議員買収疑惑の暴露によるクチンスキー大統領の辞任
20日,「ケンジ派」議員に加え,更に4名のFP議員が造反する可能性が報じられた。また,ケンジ議員が新党結成に向け動いている旨報道された。
同日,FPが記者会見を開き,クチンスキー政権が弾劾を回避するために国会議員を買収している証拠を保有しているとして,FP所属のママニ議員が隠し撮りした動画を公開した。右動画にはママニ議員とケンジ議員ほか「ケンジ派」議員,クチンスキー政権関係者等との会合の様子が映っており,弾劾に対する反対票と引き替えにママニ議員が政権から公共事業のマネージメントを任され,更にリベートを受け取れるようになる旨の会話が行われていた。加えて記者会見では,ママニ議員がジウフラ運輸通信大臣とクチンスキー大統領私邸への訪問を調整している通話の音声記録が公開された。国会議員買収疑惑の暴露により,野党の全会派が弾劾決議案の採決を待つことなくクチンスキー大統領の即時辞任を要求,また閣僚や与党の中からも辞任を求める声が上がった。
21日,クチンスキー大統領が国民向けメッセージにより大統領辞任を発表し,またアラオス内閣が総辞職を表明した。その後,ビスカラ第一副大統領兼駐カナダ大使がツイッターで大統領職を継承する意向を示し,ペルーへの帰国の途に就いた。
(4)ビスカラ大統領の就任
22~23日,国会本会議においてクチンスキー大統領から提出された辞表が審議に付され,賛成多数により同大統領の辞任が正式に承認された。これにより大統領職が空席となり,憲法規定に基づきビスカラ第一副大統領が大統領に昇格した。
23日,ビスカラ第一副大統領は国会において宣誓し,ガラレタ国会議長から大統領綬を授受され,正式に大統領に就任した。ビスカラ大統領は就任演説で,全閣僚交代を伴う新規組閣を行う意向を示すとともに,汚職との闘い,制度機構の再建,公正な成長,持続可能なインフラ建設,保健衛生,雇用創出,治安,教育を政策の柱とすることを表明し,「ペルー・ファースト(Peru primero)」を掲げた。ビスカラ大統領の就任に至る手続は憲法に則ったものとして内外から基本的に好意的に受け止められた。
(5)ビスカラ大統領就任直後の動き
25日,ビスカラ大統領がリマ市内の病院を視察した。また,26日にはリマ市内の学校を視察した。こうした就任早々の公務が積極的な姿勢と評価された。
(6)クチンスキー大統領支持率
ア ダトゥム社:1~5日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:17%(22%) 不支持:79%(73%)
イ イプソス社:7~9日実施,全国(対象1264名),誤差±2.7%,信頼度95%
支持:19%(19%) 不支持:76%(75%)
ウ GfK社:17~20日実施,全国(対象1293名)誤差±2.7%,信頼度95%
支持:15%(15%) 不支持:81%(82%)
2 外交
特になし。