11月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

2018/12/11

【概要】

(内政)

 ●国会本会議で「ラバ・ジャト」調査特別委員会の最終報告書が承認された。

 ●裁判所によりヨシヤマ元人民勢力党幹事長ほか複数の同党関係者に対し勾留,自宅軟禁,出国禁止措置が命じられた。

 ●スペイン政府に対しイノストロサ元最高裁判事の引渡請求を行うことが正式に閣議決定された。

 ●ガルシア元大統領(野党アプラ党)がウルグアイ政府に対し政治亡命を申請した。

 ●バルブエナ文化大臣が辞任した。

(外交)

 ●フェリペ6世スペイン国王及びレティシア王妃がペルーを訪問した。

 ●ビスカラ大統領が第26回イベロアメリカサミットに出席した。

 ●ポポリシオ外相がパプアニューギニアAPECに出席した。

 ●第二回ペルー・チリ合同閣議が開催された。

 

【本文】

1 内政

(1)国会の動向

 9日,国会本会議において,国会「ラバ・ジャト」調査特別委員会(バルトラ人民勢力党議員委員長)の最終報告書が審議され,野党人民勢力党ほかの賛成票多数により同報告書が承認された。左派を中心とする他の国会会派からは,同報告書がケイコ・フジモリ人民勢力党党首及びアラン・ガルシア元大統領を追及しないと結論づけるものであり受け入れられないとの反発の声が上がった。

(2)人民勢力党関係者に対する勾留

 ア 10~23日,ハイメ・ヨシヤマ元人民勢力党幹事長(元副大統領候補,元制憲議会議長)以下,ビセンテ・シルバ・チェカ,ピエル・フィガリ,アナ・ベガ,ルイス・メヒアら,ケイコ・フジモリ人民勢力党党首に近いとされる同党関係者に対し勾留や自宅軟禁,出国禁止が裁判所により命じられた。10月31日のケイコ党首に対する36か月勾留命令に続くもの。

 イ 27日,裁判所により,ケイコ党首の配偶者であるマーク・ビト氏(Mark Vito Villanera。米国籍。)に対し36か月の出国禁止措置が命じられた。ビト氏に対しては,他の人民勢力党関係者とともに検察庁から資金洗浄の疑いがかけられている。ビト氏は国家オンブズマンオフィス(Defensoria del Pueblo)に対し本件を人権侵害であると訴えた。

(3)司法府汚職問題

 15日,政府はスペイン政府に対するイノストロサ元最高裁判事の引渡請求を正式に閣議決定した。イノストロサ元最高裁判事には組織犯罪ほか複数の容疑がかけられ,裁判所により出国禁止措置が出されていたが,10月17日に陸路で国外に不法脱出し,逃亡先のスペインで逮捕・勾留された。

(4)ガルシア元大統領のウルグアイ政府への亡命申請

 ア 17日,全国刑事法廷第二準備法廷は,汚職の疑いでアラン・ガルシア元大統領(野党アプラ党)に対し18か月の出国禁止措置を命じた。今次措置は,リマ・メトロ1号線建設受注に係るブラジルの建設会社オデブレヒト社とガルシア元大統領との関係を捜査している検察庁の請求を受けてのもの。

 イ 18日,ガルシア元大統領がウルグアイ政府に対し政治亡命を申請したと広く報じられ,ペルー・ウルグアイ両政府が報道発表によりこれを確認し,また同元大統領が17日以来リマ市内の駐ペルー・ウルグアイ大使公邸に滞在していることを明らかにした。同日に明らかにされたガルシア元大統領発タバレ・バスケス・ウルグアイ大統領宛書簡によれば,同元大統領はペルーにおいて自身に対する政治的迫害が行われていることを理由として亡命を申請した。

 ウ 本件を受けビスカラ大統領はウルグアイ政府の決定を尊重するとしつつ,ペルーにおいて政治的迫害は存在しないと述べた。またニン・ノボア・ウルグアイ外相は,1954年の外交的亡命に関するカラカス条約に基づき,ウルグアイはペルーに対して状況を伝達し,ペルー政府から送付される関連情報に基づいて亡命受け入れの可否を決定すると述べた。

(5)行政府の動向

 30日,バルブエナ文化大臣が辞任した。文化省文化遺産・文化政策担当副大臣による汚職疑惑を受けてのもの。バルブエナ大臣は同副大臣以下汚職に関与した疑いのある文化省幹部を更迭したうえで国会文化委員会で本件対処につき説明を行ったが,複数の野党が同大臣の国会本会議召喚の請求を行ったことを受け,召喚の決定前に辞任した。

(6)ビスカラ大統領支持率(括弧内は特記ない限り前月のもの)

 ア ダトゥム社:102023日実施,全国(対象1200名),誤差±2.8%,信頼度95

   支持:62%(61%)  不支持:33%(32%)

 イ イプソス社:1416日実施,全国(対象1284名),誤差±2.7%,信頼度95

   支持:65%(61%)  不支持:27%(28%)

 ウ IEP※:1720日実施,全国(対象1210名)誤差±2.8%,信頼度95

   支持:57%(60%)  不支持:32%(30%)

 ※ペルー問題研究所(IEP)。エルナン・チャパロ・GfK社代表のIEPへの移籍に伴い,10月以降同社の世論調査機能がIEPへ移管された。

 

2 外交

(1)スペイン国王夫妻のペルー訪問

 12~14日,フェリペ6世スペイン国王及びレティシア王妃夫妻がペルーを訪問し,ビスカラ大統領夫妻,サラベリー国会議長,プラド司法長官(兼最高裁長官),カスタニェダ・リマ市長ほかと会談した。また今次の訪問においてペルー独立200周年記念に係る共同声明,防衛装備品などに関する両国国防省間の協力覚書等の文書に署名が行われた。

(2)ビスカラ大統領の第26回イベロアメリカサミット出席

 15~16日,ビスカラ大統領が第26回イベロアメリカサミット(於グアテマラ・アンティグア)に出席した。ビスカラ大統領は首脳演説において,汚職対策,ジェンダー平等,女性に対する暴力の撲滅,先住民の権利,気候変動との闘い,発展のための国際協力の重要性を強調した。更に,国連持続可能な開発目標達成に向けたペルー国内の取組として,小児貧血対策,質の高い保健サービス,学校生徒の読解力向上,男女平等の促進等と挙げた。その他,ビスカラ大統領はサンチェス・スペイン首相,ドゥアルテ・レベロ・デ・ソウザ・ポルトガル大統領及びカブレラ・グアテマラ副大統領と会談を行った。

(3)ポポリシオ外相のパプアニューギニアAPEC出席

 15~18日,ポポリシオ外相がパプアニューギニアを訪問し,APEC閣僚会合に出席(バレンシア通商観光大臣同席)したほか,ビジネス諮問委員会(ABAC)に出席し,多国間主義と自由貿易の擁護,中小企業の振興とグローバル・バリューチェーンへの統合等につき演説した。また,河野外相,ピーターズ・ニュージーランド外相及びRimbink Patoパプアニューギニア外相とそれぞれ二国間外相会談を実施した。

(4)チリとの合同閣議開催

 27日,チリ・サンティアゴにて第二回ペルー・チリ合同閣議が開催され,ビスカラ大統領とピニェラ・チリ大統領及び両国の閣僚が出席した。今次合同閣議では汚職との闘い,両国境地域の発展と統合,2021年ペルー独立200周年,ベネズエラ問題,社会的包摂及び貧困の克服達成へ向けた協力,犯罪対策,両国経済の発展等が議題にのぼり,首脳宣言のほか163のコミットメントを含む「サンティアゴ行動計画」及び13の二国間合意に署名が行われた。

(5)ベネズエラ人避難民問題

 当地報道によれば,11月下旬時点でペルーに入国したベネズエラ人数は累計で60万人を超えた。10月31日までに合法的にペルーに入国したベネズエラ人は12月31日を期限として一時滞在資格(PTP)を申請することができる。国家統計院(INEI)によれば,最近の2年間弱でペルー在留の外国人数は6倍に増加した。