ペルーの経済情勢(2019年第1四半期)
令和元年8月14日
1 総論
最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.09%(2月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.25%(3月までの一年間),対米ドル為替相場3.304ソル(3月平均値),リマ首都圏の完全失業率9.0%(2月),財政収支1,530百万ソルの黒字(3月),貿易収支326百万米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について,2月は主に農牧及び通信・情報分野の成長率の伸びが見られ,全体としてGDP成長率は2.09%(前年同月比)となった。


イ インフレ率
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.73%となり,最近12か月(昨年4月~3月)の上昇率は,2.25%となった。

ウ 為替相場
3月の対米ドル為替相場の平均は3.304ソルであった。

エ 失業率
2月のリマ首都圏の完全失業率は9.0%であった。

オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は,歳入が対前年同月比で1.9%増となった。歳出は,対前年同月比で3.1%減となった。全体では,プライマリーバランスは,1,530百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,1,105百万ソルの黒字となった。

カ 貿易収支
2月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比3.8%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.1%減となり,全体では3,521百万米ドル(対前年同月比3.8%減)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が0.5%増,中間財は2.9%増,資本財が4.9%増となり,全体で3,195百万米ドル(対前年同月比2.8%増)となった。この結果,貿易収支は,326百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。


最新のペルーの月例主要経済指標は,経済成長率2.09%(2月:前年同月比),リマ首都圏のインフレ率2.25%(3月までの一年間),対米ドル為替相場3.304ソル(3月平均値),リマ首都圏の完全失業率9.0%(2月),財政収支1,530百万ソルの黒字(3月),貿易収支326百万米ドルの黒字(2月)となった。
2 各論
(1) 主要経済指標
ペルー中央準備銀行及び国家統計情報庁によれば,ペルーの主要経済指標は次のとおり。
ア 経済成長率
最新の経済成長率(GDP成長率)について,2月は主に農牧及び通信・情報分野の成長率の伸びが見られ,全体としてGDP成長率は2.09%(前年同月比)となった。
イ インフレ率
3月のリマ首都圏のインフレ率(消費者物価指数(前月比))は,0.73%となり,最近12か月(昨年4月~3月)の上昇率は,2.25%となった。
ウ 為替相場
3月の対米ドル為替相場の平均は3.304ソルであった。
エ 失業率
2月のリマ首都圏の完全失業率は9.0%であった。
オ 財政収支
3月の政府全体の財政収支は,歳入が対前年同月比で1.9%増となった。歳出は,対前年同月比で3.1%減となった。全体では,プライマリーバランスは,1,530百万ソルの黒字となった。債務の利払いを含めると,1,105百万ソルの黒字となった。
カ 貿易収支
2月の輸出額は,伝統産品(鉱物資源,魚粉,コーヒー等)が対前年同月比3.8%減,非伝統産品(アスパラガスなどの近代的農業産品,繊維製品,工業製品等)が4.1%減となり,全体では3,521百万米ドル(対前年同月比3.8%減)となった。主要輸出品目は銅,金,鉱油,鉛であった。
輸入額は,対前年同月比で消費財が0.5%増,中間財は2.9%増,資本財が4.9%増となり,全体で3,195百万米ドル(対前年同月比2.8%増)となった。この結果,貿易収支は,326百万米ドルの黒字となった。主要輸入品目は原油,ディーゼル,自動車(消費財では,自動車,テレビ,バイク)であった。
キ 外貨準備高
3月末の外貨準備高は,63,091百万米ドルとなった。

ク 対外累積債務
2018年12月末の対外債務累積総額は,78,263百万米ドルとなった。


(2) 最近の主な出来事
・ペルー自動車協会(AAP) 2018年新車販売実績 前年比8%減少(1月9日)
2015月新車に課税される選択消費税(ISC)税率が引き上げで価格上昇し,消費者の買い控えで販売実績は16万5,802台,8%減少となった。昨年12月販売はトヨタ(▼3.20%)以外の各社はほぼ20%台~60%台の減少となった。メーカー別昨年販売実績;1.TOYOTA 28,451(▼4.20%) 2.HYUNDAI 22,256(▼18.80%) 3.KIA 17,061(▼16.90%) 4.CHEVROLET 8,555(▼17.50%) 5.SUZUKI 8,210(▼19.10%) 6.MITSUBISHI 6,579(+6.60%) 7.NISSAN 5,808(▼40.10%) 8.VOLKSWAGEN 5,665(+13.40%)。
・SCOTIABANK 今年の公共投資 リマメトロ電鉄2号線に3億7,000万ドル(1月15日)
公共交通設備投資監査庁(OSITRAN) 今年運輸部門の公共投資総額は前年の70億ドルを上回る80億ドル(+14.28%),進捗中のリマメトロ電鉄2号線に3億7,000万ドル投資で2021年に一部の線,2024年に全線完成予定。リマメトロ電鉄1号線の第4段階延長にも1億ドル投資。ホルヘチャベス国際空港拡張工事,サンマルティン港(イカ州),サラベリ港(ラリベルタ州)設備近代化工事なども予定されている。
・DOMINIO CONSULTORES 2018年スマートフォン市場 販売台数減売上高増(1月23日)
スマホ保有率は95%に達し成熟期に入り,2018年販売台数は800万台で前年比100万台減少。しかし売上高は40億ドルで4.3%増えている。消費者はメモリーや容量が多く,操作特性の高いスマホを望み,安価(200ドル)なものを3年~5年使用から高品質高価のものを1年半~2年で買い替える傾向にある。スマホの台頭でダブレットの販売は低下傾向。ブランドではSAMSUNGがトップでシェア26.7%,ついでHUAWEI(25.7%)。
・鉱業開発投資 英国投資が中国投資を上回った(1月28日)
直近10年間,2009年以来,国別で中国が最も鉱業開発投資が多かった。2015年時点で中国投資は191億8,900万ドルで総投資額の33.5%を占めた。しかし2018年時点で英国投資は119億3,000万ドルで20%を占め,中国投資101億5,500万ドル(17.2%)を上回った。次いでカナダ(90億ドル),メキシコ(89億ドル),米国(75億ドル),ペルー(43億ドル)。中国は2021年までに追加投資100億ドルを予定している。
・ビスカラ大統領(国際)競争力生産性(向上)国家プラン(PNCP)発表(2月1日)
ビスカラ大統領及び閣僚陣が同席し,国家プラン(PNCP)を発表。実行化は半年以内。中・長期社会経済開発プランで優先課題は9項目:(1)社会経済インフラ整備(2)人材育成(3)技術革新・能力向上(4)内外ファイナンスのメカニズム強化(5)雇用創設・労働条件改善(6)生産的商活動環境整備(7)貿易業務簡略化(8)制度機関強化(9)経済環境持続的成長。2018年公共投資は355億ソル,直近5年間で最高値を記録した。2017年輸出実績450億ドルを2021年には600億ドルを目指す。
・リマ商工会議所(CCL)公共事業完遂まで15年経過しても終わらない(2月25日)
総額680億ソルの公共事業129件が着工5年経過しても未完成,麻痺状態にある。規定工期が遵守されず質的問題もあり,着工15年間経っても未終了事業もある。1件3,000万ドル以上の投資事業で工期は平均8年半,進捗率は51%に過ぎない。運輸省の道路工事65件(477億4,800万ソル)の25件が工期10年以上かかっており進捗率は56.4%。上下水道事業は特に低位にある(11件,平均工期8.7年,進捗率22.9%)。
・ペルー自動車協会(AAP)車両使用平均年数15年,買換え率とインフラ整備(3月11日)
車両使用平均年数は域内諸国(10年)を上回る15年,特にバス(18年),トラック(20年)と長い。2018年車両販売実績は選択消費税(ISC)税率引き上げで予想を下回る17万5000台に留まった。年間車両買換え率(6%)が10%に増えれば27万台販売は可能となる。車両販売市場の69%は乗用車等の軽量車(TOYOTA談),使用年数を15年から10年に下げる対策を講じるべき(HYUNDAI談)。車両保有12人当り1台と域内でも低位,バス・タクシーは過剰供給。
・LAS BAMBAS銅山 道路封鎖 銅輸出にも影響(3月27日)
1月期銅産出量は前年比7%増加。しかしLAS BAMBASは0.4%減産の4万1,692トンに留まった。同銅山はペルーの銅産出の27%を占めCERRO VERDE銅山に次ぎ第2位。住民による道路封鎖でトラックがマタラニ港(アレキパ州)まで銅を搬送できない状態が30日間以上続いている。オリバ経財相は道路封鎖はペルー経済に影響なしと答弁しているが,国内総生産(GDP-PBI)の1%マイナス,銅供給契約不履行のリスクが高まっている。
3月末の外貨準備高は,63,091百万米ドルとなった。
ク 対外累積債務
2018年12月末の対外債務累積総額は,78,263百万米ドルとなった。
(注)上記表中の数値は今後修正される可能性あり。
(2) 最近の主な出来事
・ペルー自動車協会(AAP) 2018年新車販売実績 前年比8%減少(1月9日)
2015月新車に課税される選択消費税(ISC)税率が引き上げで価格上昇し,消費者の買い控えで販売実績は16万5,802台,8%減少となった。昨年12月販売はトヨタ(▼3.20%)以外の各社はほぼ20%台~60%台の減少となった。メーカー別昨年販売実績;1.TOYOTA 28,451(▼4.20%) 2.HYUNDAI 22,256(▼18.80%) 3.KIA 17,061(▼16.90%) 4.CHEVROLET 8,555(▼17.50%) 5.SUZUKI 8,210(▼19.10%) 6.MITSUBISHI 6,579(+6.60%) 7.NISSAN 5,808(▼40.10%) 8.VOLKSWAGEN 5,665(+13.40%)。
・SCOTIABANK 今年の公共投資 リマメトロ電鉄2号線に3億7,000万ドル(1月15日)
公共交通設備投資監査庁(OSITRAN) 今年運輸部門の公共投資総額は前年の70億ドルを上回る80億ドル(+14.28%),進捗中のリマメトロ電鉄2号線に3億7,000万ドル投資で2021年に一部の線,2024年に全線完成予定。リマメトロ電鉄1号線の第4段階延長にも1億ドル投資。ホルヘチャベス国際空港拡張工事,サンマルティン港(イカ州),サラベリ港(ラリベルタ州)設備近代化工事なども予定されている。
・DOMINIO CONSULTORES 2018年スマートフォン市場 販売台数減売上高増(1月23日)
スマホ保有率は95%に達し成熟期に入り,2018年販売台数は800万台で前年比100万台減少。しかし売上高は40億ドルで4.3%増えている。消費者はメモリーや容量が多く,操作特性の高いスマホを望み,安価(200ドル)なものを3年~5年使用から高品質高価のものを1年半~2年で買い替える傾向にある。スマホの台頭でダブレットの販売は低下傾向。ブランドではSAMSUNGがトップでシェア26.7%,ついでHUAWEI(25.7%)。
・鉱業開発投資 英国投資が中国投資を上回った(1月28日)
直近10年間,2009年以来,国別で中国が最も鉱業開発投資が多かった。2015年時点で中国投資は191億8,900万ドルで総投資額の33.5%を占めた。しかし2018年時点で英国投資は119億3,000万ドルで20%を占め,中国投資101億5,500万ドル(17.2%)を上回った。次いでカナダ(90億ドル),メキシコ(89億ドル),米国(75億ドル),ペルー(43億ドル)。中国は2021年までに追加投資100億ドルを予定している。
・ビスカラ大統領(国際)競争力生産性(向上)国家プラン(PNCP)発表(2月1日)
ビスカラ大統領及び閣僚陣が同席し,国家プラン(PNCP)を発表。実行化は半年以内。中・長期社会経済開発プランで優先課題は9項目:(1)社会経済インフラ整備(2)人材育成(3)技術革新・能力向上(4)内外ファイナンスのメカニズム強化(5)雇用創設・労働条件改善(6)生産的商活動環境整備(7)貿易業務簡略化(8)制度機関強化(9)経済環境持続的成長。2018年公共投資は355億ソル,直近5年間で最高値を記録した。2017年輸出実績450億ドルを2021年には600億ドルを目指す。
・リマ商工会議所(CCL)公共事業完遂まで15年経過しても終わらない(2月25日)
総額680億ソルの公共事業129件が着工5年経過しても未完成,麻痺状態にある。規定工期が遵守されず質的問題もあり,着工15年間経っても未終了事業もある。1件3,000万ドル以上の投資事業で工期は平均8年半,進捗率は51%に過ぎない。運輸省の道路工事65件(477億4,800万ソル)の25件が工期10年以上かかっており進捗率は56.4%。上下水道事業は特に低位にある(11件,平均工期8.7年,進捗率22.9%)。
・ペルー自動車協会(AAP)車両使用平均年数15年,買換え率とインフラ整備(3月11日)
車両使用平均年数は域内諸国(10年)を上回る15年,特にバス(18年),トラック(20年)と長い。2018年車両販売実績は選択消費税(ISC)税率引き上げで予想を下回る17万5000台に留まった。年間車両買換え率(6%)が10%に増えれば27万台販売は可能となる。車両販売市場の69%は乗用車等の軽量車(TOYOTA談),使用年数を15年から10年に下げる対策を講じるべき(HYUNDAI談)。車両保有12人当り1台と域内でも低位,バス・タクシーは過剰供給。
・LAS BAMBAS銅山 道路封鎖 銅輸出にも影響(3月27日)
1月期銅産出量は前年比7%増加。しかしLAS BAMBASは0.4%減産の4万1,692トンに留まった。同銅山はペルーの銅産出の27%を占めCERRO VERDE銅山に次ぎ第2位。住民による道路封鎖でトラックがマタラニ港(アレキパ州)まで銅を搬送できない状態が30日間以上続いている。オリバ経財相は道路封鎖はペルー経済に影響なしと答弁しているが,国内総生産(GDP-PBI)の1%マイナス,銅供給契約不履行のリスクが高まっている。
(了)