9月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

2019/11/29
ペルー政治情勢 2019年


【概要】

(内政)
●26日,国会憲法委員会が7月28日にビスカラ大統領が提案した総選挙前倒し実施に係る憲法改正法案を廃案にした。
●30日,ビスカラ大統領が国会により実質的に内閣信任決議請求が否決されたとの解釈に基づき国会を解散し国会議員選挙を招集すると発表し,同日,デル・ソラール内閣が総辞職した。
●他方,国会は賛成多数により内閣信任決議請求を可決する一方,憲法第114条に基づき賛成多数でビスカラ大統領を12カ月の職務資格一時停止(suspencion)措置を決定し,アラオス副大統領が国会本会議場においてオラエチェア国会議長に対して暫定大統領(presidente en funciones)就任を宣言した。

(外交)
●24~25日,ビスカラ大統領が第74回国連総会等に出席するため米国を訪問。
 
【本文】

1 内政

(1)内閣信任決議請求の提出と国会解散
 ア 26日,国会憲法委員会が7月28日にビスカラ大統領が提案した総選挙前倒し実施に係る憲法改正法案を廃案にした。
 イ 27日,ビスカラ大統領が国民向けメッセージを発出し,国会がこれまでペンディングにしていた任期切れの憲法裁判所判事の改選プロセスを9月に入り突然進めたことを非難し,同改選プロセスの変更をテーマとして計3度目となる内閣信任決議請求を国会に対して行うことを発表した。
 ウ 29日,テレビに出演したビスカラ大統領は,国会が30日の本会議で内閣信任決議請求の審議よりも前に憲法裁判所判事の改選に係る採決を行った場合,内閣が信任されなかったものと見なし憲法規定に基づいて国会を解散する意向を表明した。
 エ 30日,国会本会議において,デル・ソラール首相と閣僚がオラエチェア国会議長の許可なく国会本会議場に乱入し議事が一時中断するも,双方協議の上,デル・ソラール首相に10分間の発言機会が与えられ,同首相は国会に対し内閣信任決議請求を審議に付すように要請した。
 オ 30日,国会がデル・ソラール首相の要請を受け内閣信任決議請求に係る審議を開始する中,ビスカラ大統領が大統領府において国民向けメッセージを発出し,国会が継続して汚職と無処罰を庇護し続けており,国会は汚職対策を進める内閣を実際には信任しておらず,実質的に内閣信任決議請求を否決したに等しいと見なすとして,憲法第134条を適用して国会を解散し国会議員選挙を招集すると発表した。
 カ ビスカラ大統領による右宣言の直前,国会は採決を行い,賛成多数により内閣信任決議請求を可決した。また,国会は,ビスカラ大統領に対し憲法に違反して国会解散を宣言したとして,大統領として現段階において不適格(incapacidad temporal)であると宣言し,憲法第114条に基づき賛成多数で同大統領を12カ月間の職務資格一時停止(suspencion)措置を決定。アラオス副大統領が国会本会議場においてオラエチェア国会議長に対し暫定大統領(presidente en funciones)就任を宣誓した。
 キ 30日,ビスカラ大統領の国会解散宣言を受けてデル・ソラール内閣が総辞職し,ビスカラ大統領が大統領府においてビセンテ・セバーヨス新首相(前法務人権大臣)の宣誓式を行うととともに,国会を解散し2020年1月26日に国会議員選挙を招集するとする最高令(decreto supremo)が官報に掲載された。また,同日,ビスカラ大統領は,大統領府において陸・海・空三軍統合司令官,国家警察庁長官他と会談した。同会談後,国軍及び警察ともに各々ビスカラ大統領を最高司令官として認める旨の声明を発出した。

(2)ケイコ・フジモリ人民勢力党党首の勾留期間の短縮
 12日,最高裁判所は,資金洗浄の疑いで勾留中のケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首の勾留無効化(casacion)請求において,国外等への逃亡により捜査が妨害される可能性は低いとして同勾留期間を36カ月から18カ月に短縮する判決を下した。ケイコFP党首は,勾留期間が18ヶ月に短縮されたことで,2020年4月30日には釈放される見通し。

(3)ビスカラ大統領支持率
 ア ダトゥム社:8月30日~9月2日実施,全国(対象1221名),誤差±2.8%,信頼度95%
   支持:52%(60%) 不支持:41%(35%)
 イ イプソス社:11~13日実施,全国(対象1208名),誤差±2.8%,信頼度95%
   支持:48%(54%) 不支持:43%(38%)
 ウ IEP:22~24日実施,全国(対象1254名),誤差±2.8%,信頼度95%
   支持:40%(47%) 不支持:52%(45%)
 
2 外交

(1)ビスカラ大統領他の第74回国連総会出席
 ア 24日~25日,ビスカラ大統領が第74回国連総会等に出席するため米国を訪問し,汚職との闘いや気候変動に対する取組等を核とする一般討論演説(25日)を行うとともに,グテーレス国連事務総長と会談(24日)し,地域の関心,レティシア議定書等のアマゾン地域の事案及び持続可能な開発のための2030アジェンダ等について協議した。また,今次国連総会のマージンで「第四次産業革命の課題に対する太平洋同盟の取り組みの将来」(25日)やスペインの代表的メディアグループGrupo Prisa主催「グローバル経済におけるラテンアメリカ,米国及びスペインフォーラム」(25日)にも出席した。
 イ ビスカラ大統領に同行し,今次国連総会に出席したポポリシオ外務大臣は,モゲリーニEU外務・安全保障政策上級代表兼副委員長と会談した他,リマ・グループ及び国際コンタクト・グループ閣僚会合(23日),PROSUR(el Foro para el Progreso de America Latina,ラテンアメリカの進歩のためのフォーラム)外相会合(23日)及び太平洋同盟とEUとの会合(25日)に出席した。