12月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和2年3月8日
【概要】
(内政)
●11日,ペルー裁判所がビヤヌエバ元首相に対し18ヶ月間の勾留を命じた。
●13日,ペルー検察がペルー裁判所に対しケイコ人民勢力党党首の36ヶ月の再勾留を要請する一方,18日,同党首が政治活動の休止を発表した。
(外交)
●2日,メサ=クアドラ外務大臣がウゴ・マルティネス・デ・セラ駐米ペルー大使のOAS事務総長選挙への立候補を正式に発表した。
【本文】
1 内政
(1)ビヤヌエバ元首相の勾留
ア 3日,サン・マルティン州知事時代の2008年にサン・ホセ・デ・シサ市の道路建設を巡りオデブレヒト社に便宜を図ったことで同社から32万ソーレス(約9万5,000米ドル)を受け取った疑いにより検察の捜査を受け,11月26日に検察による捜査を妨害しようとして職権乱用他の容疑で逮捕されていたビヤヌエバ元首相(当館注:現ビスカラ政権下の2018年4月から2019年3月まで首相を務めた。)が7日間の拘留期限を迎え釈放された。
イ 3日,ペルー検察はペルー裁判所に対しビヤヌエバ元首相の18ヶ月の出国禁止と予備勾留を請求し,6日,ペルー裁判所は18ヶ月の出国禁止の請求を認めた。
ウ 11日、ペルー裁判所はビヤヌエバ元首相に対し18ヶ月間の勾留を命じた。ペルー裁判所は,ビヤヌエバ元首相が特定の検事と共に捜査への介入を画策したとしつつ,今後,逃亡や捜査妨害等の可能性が排除されないことから同元首相が18ヶ月間の勾留に値すると述べた。
(2)ビスカラ大統領支持率
ア ダトゥム社:11月30日~12月3日実施,全国(対象1221名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:64%(69%) 不支持:31%(25%)
イ IEP:7~10日実施,全国(対象1215名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:57%(58%) 不支持:36%(31%)
ウ イプソス社:11~13日実施,全国(対象1209名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:56%(60%) 不支持:33%(32%)
(3)閣僚の交替
ア 11月30日に解任されたコヤ国営放送局(IRTP)総裁がペトロッシ文化大臣から放送内容・報道姿勢について度々電話で介入を受けていたと発言したことを受け,4日,同大臣が辞任した。同大臣は11月29日に釈放されたケイコ・フジモリ人民勢力党党首の釈放を巡り,フジモリ派に国営放送番組出演の機会を与えないよう圧力をかけていた疑いがあるとして報道界から強い疑問の声が上がっていた。
イ 7日,文化省博物館局長や国立考古学・人類学・歴史博物館館長を務めたソニア・ギジェン氏(考古学者(ミイラ研究)が新文化大臣に就任した。
(4)ケイコ・フジモリ人民勢力党党首の釈放
ア 3日,ペルー検察はペルー憲法裁判所に対し11月29日に釈放されたケイコ人民勢力党党首の釈放を取り消し,票決をし直すよう要請した。
イ 4日,憲法裁判所は,上記検察の要請を不当であるとして棄却した。
ウ 13日,ペルー検察は,ペルー裁判所に対しケイコ党首の36ヶ月の再勾留を要請した。
エ 18日,ケイコ党首は,Facebookのビデオ動画を通じて自身の優先事項は常に家族であるとして,政治活動を休止すると発表するとともに,ペルー検察がケイコ党首に対し36ヶ月の再勾留を要請したことに対し家族全員で立ち向かっていくと述べた。
(5)ビスカラ大統領及びトルヒージョ運輸通信大臣に対する汚職疑惑
5日付当地エル・コメルシオ紙は,ビスカラ大統領がモケグア州知事の任期を終える直前の2014年12月にモケグア州立病院(2019年11月開所)の建設に係る資材購入を理由にICCGSA社のコンソーシアム会社に対し不正とされる前払いを行ったと報じた(当館注:ICCGSA社は,運輸通信省絡みの案件の入札に係る談合に関わった企業16社の一つとして2017年から検察の捜査対象となっている。)。同疑惑を巡っては,トルヒージョ運輸通信大臣も同様に汚職の嫌疑がかけられている。本件に関し,ビスカラ大統領は検察による捜査はすでに打ち切られており,仮に再び捜査が行われる場合は,トルヒージョ大臣とともに捜査に応じる用意があると述べた。
2 外交
(1)デ・セラ駐米ペルー大使のOAS事務総長選挙への立候補
2日,メサ=クアドラ外務大臣は,外務省においてOAS加盟国大使を招集し,来年3月のOAS事務総長選挙にウゴ・マルティネス・デ・セラ駐米ペルー大使が立候補することを正式に発表した。デ・セラ大使は,職業外交官であり,2018年~2019年に外務次官を務めた後,今年4月に駐米大使に任命された(当館注:1989年~1994年及び2011年~2015年の二度にわたりOAS事務総長官房を務めた経験を有する。)。
(2)ベネズエラ情勢関連
ア 3日,メサ=クラドラ外務大臣は,コロンビアで開催された米州相互援助条約(TIAR)外相会合に出席した。同会合では,「ベネズエラにおける危機及び西半球に与える不安定化の影響に関する決議」が採択され,メサ=クアドラ外務大臣は,ペルーはベネズエラ国民自身が導くベネズエラにおける平和的,民主的,憲法の枠組みにおけるベネズエラ情勢の解決
(内政)
●11日,ペルー裁判所がビヤヌエバ元首相に対し18ヶ月間の勾留を命じた。
●13日,ペルー検察がペルー裁判所に対しケイコ人民勢力党党首の36ヶ月の再勾留を要請する一方,18日,同党首が政治活動の休止を発表した。
(外交)
●2日,メサ=クアドラ外務大臣がウゴ・マルティネス・デ・セラ駐米ペルー大使のOAS事務総長選挙への立候補を正式に発表した。
【本文】
1 内政
(1)ビヤヌエバ元首相の勾留
ア 3日,サン・マルティン州知事時代の2008年にサン・ホセ・デ・シサ市の道路建設を巡りオデブレヒト社に便宜を図ったことで同社から32万ソーレス(約9万5,000米ドル)を受け取った疑いにより検察の捜査を受け,11月26日に検察による捜査を妨害しようとして職権乱用他の容疑で逮捕されていたビヤヌエバ元首相(当館注:現ビスカラ政権下の2018年4月から2019年3月まで首相を務めた。)が7日間の拘留期限を迎え釈放された。
イ 3日,ペルー検察はペルー裁判所に対しビヤヌエバ元首相の18ヶ月の出国禁止と予備勾留を請求し,6日,ペルー裁判所は18ヶ月の出国禁止の請求を認めた。
ウ 11日、ペルー裁判所はビヤヌエバ元首相に対し18ヶ月間の勾留を命じた。ペルー裁判所は,ビヤヌエバ元首相が特定の検事と共に捜査への介入を画策したとしつつ,今後,逃亡や捜査妨害等の可能性が排除されないことから同元首相が18ヶ月間の勾留に値すると述べた。
(2)ビスカラ大統領支持率
ア ダトゥム社:11月30日~12月3日実施,全国(対象1221名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:64%(69%) 不支持:31%(25%)
イ IEP:7~10日実施,全国(対象1215名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:57%(58%) 不支持:36%(31%)
ウ イプソス社:11~13日実施,全国(対象1209名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:56%(60%) 不支持:33%(32%)
(3)閣僚の交替
ア 11月30日に解任されたコヤ国営放送局(IRTP)総裁がペトロッシ文化大臣から放送内容・報道姿勢について度々電話で介入を受けていたと発言したことを受け,4日,同大臣が辞任した。同大臣は11月29日に釈放されたケイコ・フジモリ人民勢力党党首の釈放を巡り,フジモリ派に国営放送番組出演の機会を与えないよう圧力をかけていた疑いがあるとして報道界から強い疑問の声が上がっていた。
イ 7日,文化省博物館局長や国立考古学・人類学・歴史博物館館長を務めたソニア・ギジェン氏(考古学者(ミイラ研究)が新文化大臣に就任した。
(4)ケイコ・フジモリ人民勢力党党首の釈放
ア 3日,ペルー検察はペルー憲法裁判所に対し11月29日に釈放されたケイコ人民勢力党党首の釈放を取り消し,票決をし直すよう要請した。
イ 4日,憲法裁判所は,上記検察の要請を不当であるとして棄却した。
ウ 13日,ペルー検察は,ペルー裁判所に対しケイコ党首の36ヶ月の再勾留を要請した。
エ 18日,ケイコ党首は,Facebookのビデオ動画を通じて自身の優先事項は常に家族であるとして,政治活動を休止すると発表するとともに,ペルー検察がケイコ党首に対し36ヶ月の再勾留を要請したことに対し家族全員で立ち向かっていくと述べた。
(5)ビスカラ大統領及びトルヒージョ運輸通信大臣に対する汚職疑惑
5日付当地エル・コメルシオ紙は,ビスカラ大統領がモケグア州知事の任期を終える直前の2014年12月にモケグア州立病院(2019年11月開所)の建設に係る資材購入を理由にICCGSA社のコンソーシアム会社に対し不正とされる前払いを行ったと報じた(当館注:ICCGSA社は,運輸通信省絡みの案件の入札に係る談合に関わった企業16社の一つとして2017年から検察の捜査対象となっている。)。同疑惑を巡っては,トルヒージョ運輸通信大臣も同様に汚職の嫌疑がかけられている。本件に関し,ビスカラ大統領は検察による捜査はすでに打ち切られており,仮に再び捜査が行われる場合は,トルヒージョ大臣とともに捜査に応じる用意があると述べた。
2 外交
(1)デ・セラ駐米ペルー大使のOAS事務総長選挙への立候補
2日,メサ=クアドラ外務大臣は,外務省においてOAS加盟国大使を招集し,来年3月のOAS事務総長選挙にウゴ・マルティネス・デ・セラ駐米ペルー大使が立候補することを正式に発表した。デ・セラ大使は,職業外交官であり,2018年~2019年に外務次官を務めた後,今年4月に駐米大使に任命された(当館注:1989年~1994年及び2011年~2015年の二度にわたりOAS事務総長官房を務めた経験を有する。)。
(2)ベネズエラ情勢関連
ア 3日,メサ=クラドラ外務大臣は,コロンビアで開催された米州相互援助条約(TIAR)外相会合に出席した。同会合では,「ベネズエラにおける危機及び西半球に与える不安定化の影響に関する決議」が採択され,メサ=クアドラ外務大臣は,ペルーはベネズエラ国民自身が導くベネズエラにおける平和的,民主的,憲法の枠組みにおけるベネズエラ情勢の解決