1月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
令和2年3月9日
【概要】
(内政)
●26日,2020年臨時国会議員選挙が実施された。
●28日,ペルー裁判所がケイコ人民勢力党党首に対して15ヶ月間の勾留(prision preventiva)措置を命じる判決を下した。
(外交)
●9日~14日,メサ=クアドラ外務大臣がメキシコ,カリブ諸国及びグアテマラを訪問し,デ・セラ駐米ペルー大使を次期OAS事務総長選挙の候補として紹介した。
【本文】
1 内政
(1)2020年臨時国会議員選挙
ア 紫の党関係者のスキャンダル
16日,紫の党のリマ地区の議員候補者であるダニエル・モラ氏(元国会議員,ウマラ政権下で国防大臣を務めた)に家庭内暴力に係るスキャンダルが流出したことから,モラ氏は,自身で立候補取り消しと同党からの離脱を表明。また,紫の党は全国特別選挙裁判所(JEE)に対しモラ氏の立候補取り消しを要請したものの,JEEは右要請に係る提出書類の不備並びに立候補取り消し期間を過ぎている(2019年12月27日まで)ことを理由に,右要請を受理しなかった。
イ 2020年臨時国会議員選挙の実施
26日,2020年臨時国会議員選挙が実施された。同日,民間調査会社であるIPSOS社は,出口調査を基に人民行動党(AP,中道),進歩のための同盟(APP,中道),ペルー統一党(UPP,左派),ペルー農業人民戦線(Frepap,宗教右派),人民勢力党(FP,フジモリ派,中道右派),拡大戦線(FA,左派),Podemos Peru(中道),紫の党(中道),Somos Peru(中道右派)及びJuntos por el Peru(左派)が議席を獲得する見通しとの発表を行った。
(2)ケイコ・フジモリ人民勢力党党首の再勾留
ア 28日,ペルー裁判所は,検察によるケイコ党首に対する再勾留請求に対し,同党首がオデブレヒト社から受け取ったとみられる資金の洗浄疑惑に関する捜査から逃避するおそれが十分にあるとして,15ヶ月間の勾留(prision preventiva)措置を命じる判決を下した。これを受け,裁判所に出廷していたケイコ党首は即時拘束された上で留置所へ移送された。
イ 拘束された後,ケイコ党首は判決直前に撮影したとみられるビデオメッセージを公表し,司法の決定を批判した。
(3)国会解散に係る憲法裁判所の決定
14日,憲法裁判所は,国会を解散したビスカラ大統領の行為は憲法が定める枠内のものであるとして,オラエチェア国会常設委員会委員長の違憲審査要請は根拠がない(infundada)とする決定を多数決で下した。本件を担当したラモス判事は,2019年9月30日にデル・ソラール首相(当時)が,憲法裁判所の判事の改選プロセスの変更を提案する法案を提出し,同日に予定されていた同改選プロセスを延期するように要請したにもかかわらず国会が同改選プロセスを継続したことは,同首相の要請を拒否したことを目に見える形で示すものであって実質的な内閣信任決議請求の否決であったとしつつ,国会解散権は共和国大統領に与えられた権限であり政府は憲法に反するような行為は行っていないと説明した。
(4)ビスカラ大統領支持率
ア ダトゥム社:11日~13日実施,全国(対象1165名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:55%(64%) 不支持:38%(32%)
イ IEP:19~23日実施,全国(対象1260名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:60%(61%) 不支持:29%(32%)
ウ イプソス社:15~17日実施,全国(対象1218名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:58%(56%) 不支持:32%(33%)
(5)ペルーの腐敗認識指数(トランスペアレンシー・インターナショナル)
22日,トランスペアレンシー・インターナショナルは,2019年汚職認識指数を発表したところ,ペルーは180ヶ国中101位で(2018年は180ヶ国中105位),南米諸国の中でベネズエラ(173位),ボリビア(123位)及びブラジル(106位)に次いで4番目に汚職認識指数が低い国との結果となった。
2 外交
(1)ベネズエラ情勢
ア 6日,リマ・グループ構成国(ボリビア,ブラジル,カナダ,チリ,コロンビア,コスタリカ,グアテマラ,ホンジュラス,パナマ,パラグアイ,ペルー及びベネズエラ)は,5日に行われたベネズエラの新国会議長団の選出・任命に係る動きについて同5日付コミュニケを発出し,ベネズエラの国会議長及び暫定大統領としてのフアン・グアイド氏の再選を歓迎する旨,刷新されかつ独立性のある全国選挙評議会(CNE)及び最高裁判所による包括的,自由,公正,かつ透明性のある総選挙を実施する必要性を再確認する旨表明した。
イ 20日,メサ=クアドラ外務大臣は,コロンビアで開催された第3回西半球テロ対策閣僚級会合に出席した。同会合で発出されたコミュニケにおいて,次回第4回会合はペルーが開催地となることが盛り込まれた。
(2)次期OAS事務総長選挙
ア 9日,メサ=クアドラ外務大臣は,デ・セラ次期OAS事務総長選挙候補(駐米ペルー大使)を伴い,CELAC首脳会合出席他のためメキシコを訪問し,エブラル・メキシコ外相他と会談した。
イ 9日~13日,メサ=クアドラ外務大臣は,バルバドス,グラナダ,ドミニカ国及びバハマを訪問し,各国外相等にOAS事務総長候補のデ・セラ駐米ペルー大使を紹介した。
ウ 14日,メサ=クアドラ外務大臣及びデ・セラ大使は大統領就任式出席のためにグアテマラを訪問し,ベラスケス・パラグアイ副大統領及びファーバー・ベリーズ副首相と各々会談し,OAS事務総長候補としてのデ・セラ大使の提案等について意見交換を行った。
(内政)
●26日,2020年臨時国会議員選挙が実施された。
●28日,ペルー裁判所がケイコ人民勢力党党首に対して15ヶ月間の勾留(prision preventiva)措置を命じる判決を下した。
(外交)
●9日~14日,メサ=クアドラ外務大臣がメキシコ,カリブ諸国及びグアテマラを訪問し,デ・セラ駐米ペルー大使を次期OAS事務総長選挙の候補として紹介した。
【本文】
1 内政
(1)2020年臨時国会議員選挙
ア 紫の党関係者のスキャンダル
16日,紫の党のリマ地区の議員候補者であるダニエル・モラ氏(元国会議員,ウマラ政権下で国防大臣を務めた)に家庭内暴力に係るスキャンダルが流出したことから,モラ氏は,自身で立候補取り消しと同党からの離脱を表明。また,紫の党は全国特別選挙裁判所(JEE)に対しモラ氏の立候補取り消しを要請したものの,JEEは右要請に係る提出書類の不備並びに立候補取り消し期間を過ぎている(2019年12月27日まで)ことを理由に,右要請を受理しなかった。
イ 2020年臨時国会議員選挙の実施
26日,2020年臨時国会議員選挙が実施された。同日,民間調査会社であるIPSOS社は,出口調査を基に人民行動党(AP,中道),進歩のための同盟(APP,中道),ペルー統一党(UPP,左派),ペルー農業人民戦線(Frepap,宗教右派),人民勢力党(FP,フジモリ派,中道右派),拡大戦線(FA,左派),Podemos Peru(中道),紫の党(中道),Somos Peru(中道右派)及びJuntos por el Peru(左派)が議席を獲得する見通しとの発表を行った。
(2)ケイコ・フジモリ人民勢力党党首の再勾留
ア 28日,ペルー裁判所は,検察によるケイコ党首に対する再勾留請求に対し,同党首がオデブレヒト社から受け取ったとみられる資金の洗浄疑惑に関する捜査から逃避するおそれが十分にあるとして,15ヶ月間の勾留(prision preventiva)措置を命じる判決を下した。これを受け,裁判所に出廷していたケイコ党首は即時拘束された上で留置所へ移送された。
イ 拘束された後,ケイコ党首は判決直前に撮影したとみられるビデオメッセージを公表し,司法の決定を批判した。
(3)国会解散に係る憲法裁判所の決定
14日,憲法裁判所は,国会を解散したビスカラ大統領の行為は憲法が定める枠内のものであるとして,オラエチェア国会常設委員会委員長の違憲審査要請は根拠がない(infundada)とする決定を多数決で下した。本件を担当したラモス判事は,2019年9月30日にデル・ソラール首相(当時)が,憲法裁判所の判事の改選プロセスの変更を提案する法案を提出し,同日に予定されていた同改選プロセスを延期するように要請したにもかかわらず国会が同改選プロセスを継続したことは,同首相の要請を拒否したことを目に見える形で示すものであって実質的な内閣信任決議請求の否決であったとしつつ,国会解散権は共和国大統領に与えられた権限であり政府は憲法に反するような行為は行っていないと説明した。
(4)ビスカラ大統領支持率
ア ダトゥム社:11日~13日実施,全国(対象1165名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:55%(64%) 不支持:38%(32%)
イ IEP:19~23日実施,全国(対象1260名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:60%(61%) 不支持:29%(32%)
ウ イプソス社:15~17日実施,全国(対象1218名),誤差±2.8%,信頼度95%
支持:58%(56%) 不支持:32%(33%)
(5)ペルーの腐敗認識指数(トランスペアレンシー・インターナショナル)
22日,トランスペアレンシー・インターナショナルは,2019年汚職認識指数を発表したところ,ペルーは180ヶ国中101位で(2018年は180ヶ国中105位),南米諸国の中でベネズエラ(173位),ボリビア(123位)及びブラジル(106位)に次いで4番目に汚職認識指数が低い国との結果となった。
2 外交
(1)ベネズエラ情勢
ア 6日,リマ・グループ構成国(ボリビア,ブラジル,カナダ,チリ,コロンビア,コスタリカ,グアテマラ,ホンジュラス,パナマ,パラグアイ,ペルー及びベネズエラ)は,5日に行われたベネズエラの新国会議長団の選出・任命に係る動きについて同5日付コミュニケを発出し,ベネズエラの国会議長及び暫定大統領としてのフアン・グアイド氏の再選を歓迎する旨,刷新されかつ独立性のある全国選挙評議会(CNE)及び最高裁判所による包括的,自由,公正,かつ透明性のある総選挙を実施する必要性を再確認する旨表明した。
イ 20日,メサ=クアドラ外務大臣は,コロンビアで開催された第3回西半球テロ対策閣僚級会合に出席した。同会合で発出されたコミュニケにおいて,次回第4回会合はペルーが開催地となることが盛り込まれた。
(2)次期OAS事務総長選挙
ア 9日,メサ=クアドラ外務大臣は,デ・セラ次期OAS事務総長選挙候補(駐米ペルー大使)を伴い,CELAC首脳会合出席他のためメキシコを訪問し,エブラル・メキシコ外相他と会談した。
イ 9日~13日,メサ=クアドラ外務大臣は,バルバドス,グラナダ,ドミニカ国及びバハマを訪問し,各国外相等にOAS事務総長候補のデ・セラ駐米ペルー大使を紹介した。
ウ 14日,メサ=クアドラ外務大臣及びデ・セラ大使は大統領就任式出席のためにグアテマラを訪問し,ベラスケス・パラグアイ副大統領及びファーバー・ベリーズ副首相と各々会談し,OAS事務総長候補としてのデ・セラ大使の提案等について意見交換を行った。