4月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり
【概要】
(内政)
●24日、モラン内務大臣が辞任し、ガストン・ロドリゲス氏が新大臣に就任した。
●30日、ペルー裁判所が、ケイコ・フジモリ人民勢力党党首に対し勾留措置の取り消しを命じる判決を下した。
(外交)
●5日、ビスカラ大統領は文韓国大統領と新型コロナウイルス対策について電話会談を行った。
【本文】
1 内政
(1)新型コロナウイルスを巡る状況
ア 各種措置・対策
(ア)6日、遠隔により新学期が開始され、百万人以上の生徒がメディア等の協力により,テレビやラジオを通じて授業を受け始めた。
(イ)8日、政府は4月12日までとしていた外出規制を4月26日まで延長することを決定した。
(ウ)23日、ビスカラ大統領は、5月10日まで緊急事態宣言の2週間の延長を発表し、右延長に伴い外出規制も延長された。
イ 経済的支援・経済活動再開に向けた動き
(ア)6日、35万企業(内,31.4万企業が従業員10名以下)に対する従業員への所得補填のための融資を可能とするペルー活性化のためのプログラム(Programa Reactiva Peru)に係る法が公布された。
(イ)13日、閣議において、雇用保険(CTS)及び年金基金の積立金の引き出しを可能とし、いずれにも加入していない者には(中小零細企業の労働者で所得が月額2,400ソル(約800ドル)以下の者)、今後3ヶ月間1ヶ月当たり760ソル(約253ドル)を支給し、今後3ヶ月以内に退職を迎える者は残りの公的年金(ONP)の積み立てを政府が補填するための最高令が承認された。
(ウ)23日、ビスカラ大統領は、6.8百万世帯(全世帯の75%)が支援を必要としていることから、これら世帯に対し760ソル(約253ドル)の一時金を支給する旨発表した。
(2)ケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首の勾留取り消し
30日、ペルー裁判所は、本年1月に資金洗浄等の疑いで勾留判決を受け15カ月間の期間で刑務所に収監されていたケイコ・フジモリ人民勢力党(FP)党首に対する上訴審を開き、同勾留措置の取り消しを命じる判決を下した。勾留取り消しの主な理由としては、司法妨害及び司法逃れのおそれがない点が挙げられた他、判決文においては、新型コロナウイルスの感染が拡大する状況において刑務所の過剰収容の問題について予備的拘禁措置との関係で対策を取る必要性も言及された。
(3)内務大臣の交替
24日、モラン内務大臣が辞任し、国家警察秩序・安全局長や国家警察特殊オペレーション局長等を務めたガストン・ロドリゲス氏が新内務大臣に就任した。
(4)ビスカラ大統領の支持率
ア イプソス社:15日~16日実施、全国(対象1,055名)、誤差±3.1%、信頼度95%
支持:83%(87%) 不支持:16%(11%)
イ IEP社:16~22日実施、全国(対象1,670名)、誤差±2.4%、信頼度95%
支持:80%(55%) 不支持:17%(38%)
ウ ダトゥム社:28日~30日実施、都市部(対象1,000名)
支持:82%(58%) 不支持:9%(37%)
2 外交
(1)新型コロナウイルスを巡る他国との連携・協力
ア 各国大統領との会談
(ア)5日、ビスカラ大統領は文韓国大統領と20分間ほど電話で協議し、新型コロナウイルスに立ち向かうための科学技術的視点からの協力について協議した。
(イ)6日、ビスカラ大統領は南米諸国の大統領(ブラジル及びアルゼンチンを除く)とテレビ会議を行い、(1)IDBに対し新型コロナウイルスの流行による問題に対応するためのクレジット・ラインを要請すること、(2)医薬品・医療機材の共同購入及び支援要請、(3)情報の共有を行うことで合意した。
イ 各国からの支援
(ア)18日、米国政府は、新型コロナウイルス対策としてコミュニティ参加型による検査,予防,感染コントロールに係る能力強化を目的に、ペルーに対して総額2.5百万ドルの支援を行う予定であると発表した。
(イ)27日、ペルー外務省は、中国から保健省に対してPCR検査器10,008個、マスク10,000枚、防護スーツ2,000個、医療用ゴーグル2,000個、医療用手袋2,000枚及び体温計500個が供与されたことについて感謝の意を表するプレスリリースを発出した。
(2)ベネズエラ情勢
2日、リマ・グループはコミュニケを通じて、ベネズエラにおける全ての政治及び社会セクターが参加する国家緊急政府を設置するためのグアイド・ベネズエラ暫定大統領の提案を支持する旨表明した。