8月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。
【概要】
(内政)
●4日、国会において、カテリアノ内閣に対する信任決議が否決され、6日、同内閣が総辞職し、マルトス新内閣が発足した。
●11日、国会においてマルトス内閣に対する信任決議が可決された。
●28日、新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言(9月1日~30日の期間延長)他の延長に係る最高令が公布された。
(外交)
●12日、ビスカラ大統領は、アマゾン地域の国家元首による緊急会合で署名されたアマゾン地域の保護、保全及び持続的な開発のための「レティシア協定(Pacto de Leticia)」のフォローアップ会合(テレビ会議形式)に出席した。
【本文】
1 内政
(1)内政一般の動き
ア カテリアノ内閣の総辞職とマルトス新内閣の発足
(ア)4日、国会においてカテリアノ内閣に対する信任決議が否決され、6日、同内閣が総辞職し、同日、就任宣誓式を経てワルテル・マルトス首相率いる新内閣が発足した。組閣の結果、内閣前19ポストの内、首相、国防大臣、労働雇用促進大臣、エネルギー鉱山大臣及び女性社会的弱者大臣の6ポストのみ閣僚が交代し、その他14閣僚が留任した。
(イ)11日、国会において施政方針演説を行ったマルトス首相は、冒頭、「団結(Unidad)」を呼び掛けるとともに、(1)新型コロナウイルス対策、(2)経済活性化及び発展、(3)治安及び(4)汚職との闘いについて説明した。
(ウ)マルトス首相による施政方針演説の後、12時間に及ぶ質疑応答や審議等を経て、賛成115票、反対5票、棄権4票で国会においてマルトス内閣に対する信任決議が可決された。
イ フリオ・グスマン紫の党(PM)に対する検察による仮捜査の開始
17日、ペルー検察は2016年の選挙キャンペーン時においてオデブレヒト社から受け取った40万ドルの献金に係る資金洗浄を行った疑いによりフリオ・グスマン紫の党(PM)党首に対する8ヶ月の仮捜査(Investigacion Preliminar)を開始することを明らかにした。
ウ 政党間合意(Pacto Peru)第一回会合の開催
24日、7月28日の大統領教書演説においてビスカラ大統領が提案した政党間合意(Pacto Peru)のための第一回会合が実施され、各政党のみならず様々なセクターの代表が参加し、45日以内に保健、教育、経済、政治・司法改革、貧困との闘いについて合意を形成することを約束した。
エ 2021年政府予算案の国会提出
29日、ペルー政府は、保健や教育並びに経済活性化に重点を置いた総額1,830億2,977万ソル(約529億米ドル、対前年度比3.2%増))に上る2021年政府予算案を国会に対し提出した。
オ ビスカラ大統領の支持率
(ア)ダトゥム社:7月29日~31日実施、全国(対象1,239名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:59%(65%)、不支持:33%(27%)
(イ)IEP社:8月1日~12日実施、全国(対象1,219名)、誤差±3.3%、信頼度95%
支持:56%(66%)、不支持:40%(31%)
(ウ)イプソス社:8月21日~22日実施、全国(対象1,010名)、誤差±3%、信頼度95%
支持:60%(65%) 不支持:37%(31%)
(2)新型コロナウイルス関連
ア 政府による措置・対策
28日、政府は新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言(9月1日~30日の期間延長)及び国家緊急衛生事態宣言(9月8日以降12月7日まで延長)の各々の延長に係る最高令を公布した。
イ 2020年第2四半期の当国経済状況
20日、国家統計情報庁(INEI)は、本年第2四半期の経済数値について、GDPがマイナス30.2%、公共投資がマイナス69.8%、民間投資がマイナス53.2%を記録したと発表した。
ウ 国会における新型コロナウイルス対策関連の各種法案の可決
(ア)21日、新型コロナウイルスが流行する中、医薬品や保健衛生用品の買い占め、投棄及び偽造等を取り締まることを目的として、刑法及び消費者保護法の修正に係る法案が可決された。
(イ)24日、国会は公的年金(ONP)の加入者や非加入者が積立額に応じて最大4,300ソル(約1,228ドル)を引き出すことを認める法案を可決した。また、保健セクターの従事者に対し勤務年数に応じて自動的に昇格を認める法案を可決した。
エ 国会警察によるディスコ摘発と死傷者の発生
22日、リマ市ロス・オリボス地区のディスコにおいて、警察の摘発から逃れようとした男女が将棋倒しとなり、男女計13名が死亡する事件が発生した。新型コロナウイルスの流行により社会的集まりが禁止される中、同ディスコのオーナーは120名以上を集めて違法なパーティーを開催していた。
2 外交
(1)新型コロナウイルスに関する国際協力
ア 中国製ワクチンの臨床治験
2日、ロペス外務大臣はマセッティ保健大臣とともに、新型コロナウイルスの臨床治験(第3段階)のためにホルヘ・チャベス国際空港に到着した中国国営企業シナファーム(Shinapharm)グループのBing Zeng副社長以下を迎えた。
イ 韓国からペルーに対する人道支援
18日、ロペス外務大臣は、Jo Yungioon当地韓国大使との間で新型コロナウイルスによる韓国からのペルーに対する人道支援に関する覚書に署名した。ロレト州、ピウラ州、クスコ州及びラ・リベルタ州に対し、30万米ドル相当の医療設備が供与される。
ウ ロシアによるPCR検査器の供与
19日、ロシアはペルー国家保健機構(INS)に対しPCR検査器5万個、アンデス議会に対し同2万個を供与した。
(2)ビスカラ大統領のアマゾン地域のためのレティシア協定に係るフォローアップ会合
への出席
12日、ビスカラ大統領は、昨年9月、コロンビア南東部のアマソナス州レティシア市において開催されたアマゾン地域の国家元首による緊急会合で署名されたアマゾン地域の保護、保全及び持続的な開発のための「レティシア協定(Pacto de Leticia)」のフォローアップ会合(テレビ会議形式)に出席した。右会合にはペルーの他、ボリビア、ブラジル、コロンビア及びエクアドルからは国家元首が、ガイアナ及びスリナムからはハイレベルの高官が出席し、レティシア協定のアクション・プランの実施における共同の取組に係る行動を定めた政策宣言他が承認された。
(3)セバーヨス元首相のOAS常駐代表への任命
26日、ボサOAS常駐代表の任期満了に伴い、セバーヨス元首相のOAS常駐代表への任命に係る大臣決議が官報に掲載された。
(4)その他(ベネズエラにおける民主的移行への支援に関する共同宣言の発出)
14日、ペルー政府は、ベネズエラにおいて大統領選挙へとつながる移行政府樹立に向けたプロセスを支持するよう呼び掛ける「ベネズエラにおける民主的移行への支援に関する共同宣言」を公表した。