7月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。

令和2年10月15日

【概要】

(内政)

●8日、ビスカラ大統領は記者会見を通じて、2021年総選挙を4月11日に招集すると発表した。

●15日、ビスカラ大統領が内閣改造を発表し、同日、セバーヨス首相以下内閣が総辞職し、カテリアノ新首相率いる新内閣が発足した。

●31日、政府が国家緊急事態宣言を8月1日から8月31日までの期間において延長する最高令を公布した。

 

(外交)

●3日、ペルー政府が、ニウエと外交関係を樹立した。

●7日、ビスカラ大統領が、フランシスコ・ローマ法王と電話会談を行った。

 

【本文】

1 内政

(1)政治改革法案を巡る立法府と行政府の対立

 4日、国会は昨年政府が提出した憲法改正を必要とする一連の政治改革法案を扱ったものの、どれも憲法改正に向けた票等が集まらなかった。これを受け、翌日、ビスカラ大統領は国会の対応を強く非難した。

 

(2)2021年総選挙の公示

 8日、ビスカラ大統領は記者会見を通じて、2021年総選挙を4月11日に招集すると発表し、9日、同選挙公示に係る最高令を公布した。同最高令によれば、大統領・副大統領、共和国国会議員、アンデス議会議員の選出のため2021年4月11日(日)に総選挙を公示し、共和国大統領・副大統領のいずれの候補者も有効投票の過半数を獲得できない場合、最も高い得票数を得た上位2名の候補者の間で、2021年6月6日(日)に決選投票が行われる。

 

(3)内閣改造

 15日、ビスカラ大統領は内閣改造を発表し、同日、セバーヨス首相以下内閣が総辞職し、カテリアノ新首相率いる新内閣が発足した。同内閣改造の結果、内閣全19ポストのうち、首相、外務大臣、通商観光大臣、運輸通信大臣、生産大臣、エネルギー鉱山大臣、保健大臣等を含む13ポストで閣僚が交代し、計11名の閣僚が新たに就任した。

 

(4)ビスカラ大統領による教書演説

 28日、ビスカラ大統領は国会において任期最後となる年度の教書演説を行い、(1)制度機構改革、(2)新型コロナウイルス及び皆保健制度の実現、(3)新型コロナウイルスによる国民への経済的支援、(4)2021年の政権移行に向けた政党間の基本的合意(Pacto Peru)の形成に係る提案の4テーマを中心にこれまでの成果及び今後の取組について述べた。

 

(5)ビスカラ大統領の支持率

ア イプソス社:9日~10日実施、全国(対象1,019名)、誤差±3%、信頼度95

   支持:65%(70%) 不支持:31%(27%)

イ ダトゥム社:29日~31日実施、全国(対象1,239名)

   支持:59%(65%) 不支持:33%(27%)

 

(6)新型コロナウイルスを巡る状況

ア 緊急事態宣言の延長他

(ア)26日、政府は7月1日以降も日中の社会的隔離措置が継続されている7州(アレキパ州、イカ州、フニン州、ワヌコ州、サン・マルティン州、マドレ・デ・ディオス州、アンカシュ州)に加えて、カハマルカ州のハエン郡及びサン・イグナシオ郡及びクスコ州のラ・コンベンシオン郡についても7月26日から同措置の対象地域とすることを定めた最高令を公布した。

(イ)22日、ビスカラ大統領はアレキパ州における急速な感染拡大と医療逼迫に対し、保健省を中心とした中央政府の介入を認める例外措置適用のための緊急令を承認した。

(ウ)31日、政府は国家緊急事態宣言を8月1日から8月31日までの期間において延長する最高令を公布し、アレキパ州、イカ州、フニン州、ワヌコ州及びサン・マルティン州については州全体で、その他10州の一部の郡において社会的隔離措置が維持されることとなった。

イ 経済活動の再開他

 15日、国内の陸路及び空路による州間の移動が開始された(※日中の社会的隔離措置が継続されている地域を除く)。

ウ 保健省による新型コロナウイルス関する実態調査の結果の公表

 26日、保健省は、新型コロナウイルスによる感染の実態について明らかにするために、6月28日~7月4日に首都リマの43地区及びカヤオ市の7地区において3,811名を対象に行った迅速・PCR検査の結果を公表した。同調査によれば、首都リマ及びカヤオ市において両地域の人口の内、25.3%が感染している可能性があることが明らかとなった。

 

2 外交

(1)新型コロナウイルスを巡る他国との連携・協力

ア 各国大統領他との会談

(ア)フランシスコ・ローマ法王とビスカラ大統領との会談

 7日、ビスカラ大統領はフランシスコ・ローマ法王と電話で会談を行った。ビスカラ大統領が新型コロナウイルスに係るペルーの取組について述べる一方、フランシスコ法王は新型コロナウイルスの流行の最中にあるペルー国民全てに対し愛情を注ぐ旨表明した。

(イ)ビスカラ大統領のアンデス共同体(CAN)首脳会合会合への出席

 8日、ビスカラ大統領は、ドゥケ・コロンビア大統領、モレノ・エクアドル大統領、アニェス・ボリビア暫定大統領及びグアイド・ベネズエラ暫定大統領と共にビデオ会議形式のアンデス共同体(CAN)首脳会合に出席し、確実な手段で経済の再活性化及び回復に向けて共に取り組んでいくことを呼び掛けた。

(ウ)メサ=クアドラ外務大臣のEU・ラ米外相会合出席

 10日、メサ=クアドラ外務大臣は、ビデオ会議形式で行われたEU・ラ米外相会合に出席し、新型コロナウイルスに立ち向かうためにワクチンへのアクセスや経済活動の再開で協力する旨の共同宣言に署名を行った。

イ 国際協力:スイス政府による協力

 7日、ペルー政府は外務省プレスリリースを通じて、スイス政府によるペルー国家防災庁(INDECI)へのマスク1万個、手袋1万個、防護スーツ2,000着及びフェイスシールド1,000個他の供与に対し謝意を表した。

 

(2)ニウエとの外交関係の樹立

 3日、ペルー政府は、南太平洋諸国との関係の促進及び拡大を目的に、ニウエとの間で外交関係を樹立する共同コミュニケに署名した。

 

(3)我が国によるペルー政府に対する無償資金協力に係るE/N署名式

 21日、テレビ会議方式により我が国による令和2年度対ペルー無償資金協力「経済社会開発計画」(保健・医療関連機材供与)に係るE/N署名式が行われ、ロペス外務大臣及び本使他が出席した。

 

(4)その他

ア アビナデル・ドミニカ共和国大統領当選への祝意表明

 8日、ペルー政府は外務省コミュニケを通じて、ドミニカ共和国大統領に選出されたルイス・アビナデル氏に対し祝意と次期任期における成功への祈念を表した。

イ アルマグロ米州機構(OAS)事務総長によるカテリアノ新首相に対する祝意表明

 17日、アルマグロOAS事務総長は、カテリアノ新首相の任命に対し祝意を表するとともに、同内閣の取組において多くの成功を期待する旨述べた。

ウ PROSURによるガイアナ総選挙の結果の遅れに対する懸念の表明

22日、PROSURの構成国であるブラジル、コロンビア、チリ、エクアドル、パラグアイ及びペルー政府は、今年3月2日にガイアナで実施された総選挙の結果発表が遅れていることに関し、懸念を表明する共同コミュニケを発出した。