10月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。
【概要】
(内政)
●20日、国会において9月に引き続きビスカラ大統領に対する罷免決議が再提出された。
(外交)
●13日、リマ・グループ構成国及び同オブザーバー国がベネズエラ情勢に関しビデオ会議形式で会合を行い、共同宣言が発出された。
【本文】
1 内政
(1) ビスカラ大統領元側近等に対する未決拘禁措置
ア 2日、ペルー裁判所は、9月のビスカラ大統領に対する罷免決議提出の引き金となったペルー政府と当国芸能人の癒着疑惑に関する捜査に関連し、検察の要請に応じ、捜査に対する妨害や逃亡の恐れがあるとして、歌手リチャード・スイング氏、ビスカラ大統領の元側近3名(ミリアム・モラレス前大統領府官房長、オスカル・バスケス元大統領顧問、カレン・ロカ大統領室補佐官)、文化省元高官等7名の計10名に対し7日間の未決拘禁(detencion preliminar)を命じた。
イ 8日、ペルー裁判所は上記未決拘禁を命じられた全員の同拘禁取り消しを命じた。
(2) ビスカラ大統領に関する2つの新たな汚職疑惑の浮上
ア 11日、当地紙は、ビスカラ大統領がモケグア州知事だった2013年、同州における灌漑事業の入札受注を目指す当地ゼネコンObrainsa社が、当時のビスカラ州知事の求めに対し100万ソルを不正に支払っていた旨報じた。同日、ビスカラ大統領は同社から金銭を受け取ったことを否定した。
イ 16日、ペルー検察はビスカラ大統領がObrainsa社から賄賂を受け取ったとする疑惑に関し、予備捜査(investigacion preliminar)を開始した。
ウ 18日、当地紙は、ビスカラ大統領がモケグア州知事だった2013年、同州における州立病院の建設の入札受注を目指す当地ゼネコンICCGSA社が、当時のビスカラ州知事の求めに対し、2014年~2016年の間にクチンスキー政権時に農業灌漑大臣を務めたホセ・エルナンデス元大臣を通じて計130万ソルを不正に支払っていた旨報じた。同日、ビスカラ大統領は共事業に関する如何なる賄賂も受け取ったことはないと述べた。
(3) ビスカラ大統領罷免決議再提出に向けた動き
ア 20日、ペルー統一党(UPP)、拡大戦線(FA)、Podemos Peru等の計27議員の署名により、9月に引き続きビスカラ大統領に対する罷免決議が国会に再提出された。
イ 22日、国会において本決議の受諾に係る審議・採決を11月の第一週に行うことが決定された。
(4) ビスカラ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
(ア) ダトゥム社:2日~5日実施、全国(対象1,224名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:60%(60%) 不支持:28%(30%)
(イ)IEP社:13日~19日実施、全国(対象1,212名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:60%(56%) 不支持:34%(40%)
(イ)イプソス社:21日~23日実施、全国(対象1,193名)、誤差±2.84%、信頼度95%
支持:54%(57%) 不支持:41%(39%)
(5) 新型コロナウイルス関連
ア 5日、経済活動再開計画の第4フェーズの一環として、先ずはコロンビア、エクアドル、パナマ、パラグアイ、ウルグアイ、ボリビア及びチリの7ヶ国(※飛行時間が4時間以内の国々を対象。)との国際線商用便が再開された。
イ 22日、ペルー政府は、上記アの7ヶ国に加え、11月1日以降、米国、カナダ、メキシコ、キューバ、ジャマイカ、ドミニカ共和国、コスタリカ、エルサルバドル、ブラジル、アルゼンチン及びコロンビア(※飛行時間が8時間以内の国々を対象。)との国際商用便を再開する旨承認した。
ウ 28日、ビスカラ大統領は新型コロナウイルスに係る緊急事態宣言を11月1日~30日の期間延長すると発表した。
2 外交
(1) ベネズエラ情勢
13日、リマ・グループ構成国(ボリビア、ブラジル、カナダ、チリ、コロンビア、コスタリカ、グアテマラ、ハイチ、ホンジュラス、パナマ、パラグアイ、ペルー及びベネズエラ)及び同オブザーバー国(エクアドル及びエルサルバドル)はビデオ会議形式で会合を行い、ベネズエラにおける民主主義の回復に貢献し、ベネズエラ国民が苦しむ多面的な危機を緩和することにコミットする共同宣言に署名した。