12月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。
令和3年2月4日
【概要】
(内政)
●3日、国会において、ベルムデス新内閣に対する信任決議が可決された。
●3日及び4日、農業促進法撤廃を要求する抗議活動において若者2名が死亡した。
●4日、国会において、農業促進法の廃止法が賛成多数で可決された。
●29日、国会において、農業セクター雇用法が賛成多数で可決された。
(外交)
●11日、サガスティ大統領が、第15回太平洋同盟会合に出席した
●6日及び7日、アステテ外務大臣が、ボリビアを訪問した。
●10日、アステテ外務大臣が、チリを訪問した。
【本文】
1 内政
(1)国会におけるベルムデス新内閣に対する信任決議の可決
ア 11月18日に発足したベルムデス新内閣は、12月3日、憲法規定に基づき施政方針演説を行い、(1)選挙、(2)新型コロナウイルス対策、(3)経済回復、(4)教育、(5)制度機構強化及び汚職対策の5つを新政権の優先事項とする旨述べた上で、国会に対する信任を求めた。
イ 同日、国会において審議票決の結果、賛成111票、反対7票、棄権1票で内閣信任決議が可決された。
(2)相次ぐ内務大臣の交代
ア 2日、サガスティ大統領によるペルー国家警察(PNP)機構改革の一環として警察幹部18名に退役措置が執られたことにより、バルガス内務大臣に対するPNP内部他における非難・反発が高まった結果、同大臣が辞任してクルベル・アリアガ新内務大臣が就任した。
イ 7日、アリアガ内務大臣が辞表を提出し、同日、ホセ・エリチェ新内務大臣が就任した。アリアガ前内務大臣の辞任理由については、警察改革や警察の抗議デモ対応を巡るサガスティ政権との立場の相違から辞任に至ったと報じられた。
(3)農業セクターを中心とする抗議活動
ア 柔軟な雇用形態を容認する農業促進法の撤廃を要求するイカ州農業セクター労働者は、11月30日から国内抗議活動を開始し、その後、抗議活動はラ・リベルタ州に拡大した。その結果、12月3日及び4日には抗議活動に参加した計2名の若者が死亡した。
イ 4日、国会本会議において農業促進法の廃止法案が審議され、賛成多数で同法が可決された(賛成114票、反対2票、棄権7票)。
ウ 5日、農業セクター労働者は農業促進法撤廃という当初の目的が達成されたとして抗議活動を停止した。
エ 国会は農業セクターにおける雇用形態及び労働者に対するインセンティブ等について規定する新たな農業セクター雇用法案に関する審議を開始した。
オ 21日、南部イカ州及び北部ラ・リベルタ州の農業セクター労働者は抗議活動を再開し、国内主要幹線道路であるパンアメリカン高速道路を封鎖した。
カ 29日、国会本会議において農業セクター雇用法が賛成多数で可決された(賛成58票、反対32票、棄権29票)。しかし、労働者側は同法で規定される賃金やボーナス、手当等の内容を不十分としてラ・リベルタ州で幹線道路封鎖を再開し、30日には警察との衝突等により計3名が死亡した。
(4)国会の動き
ア 公的年金引出容認法
2日、国会は政府の拒否権発動にも関わらず公的年金基金(ONP)加入者の事前引き出しを認める法案を再可決した(賛成87票、反対21票、棄権3票)。これに対し、政府は公的基金の持続可能性を阻害するとして憲法裁判所に対し同法に関する違憲審査申請を行った。
イ 国会議員不逮捕特権剥奪に関する憲法改正法案の第1会期可決
11日、国会は国会議員の不逮捕特権を剥奪する内容の憲法改正法案を可決した(賛成103票、反対14票、棄権3票)。なお、憲法改正には2会期連続で国会の3分の2にあたる87票以上の可決を得るか、国会の単純過半数を得た後に国民投票において賛成多数を得る必要がある。
ウ 制憲議会設置を問う国民投票法案の提出
12日、ペルー統一党(UPP)、拡大戦線(FA)、Podemos Peru等の複数国会会派は、総選挙が行われる来年4月11日に制憲議会設置の是非を問う国民投票を実施するため法案を提出した。
(5)憲法裁判所による保健セクター従事者の自動的な昇進を認める法案に対する違憲判決
17日、憲法裁判所は、国会が可決した保健セクター従事者の自動的な昇進を認める法に対し違憲判決を下した。
(6)サガスティ大統領の支持率
ア IEP社:1日~18日実施、全国(対象1,225名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:58% 不支持:35%
イ ダトゥム社:3日~6日実施、全国(対象1,244名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:46% 不支持:27%
ウ イプソス社:10日~11日実施、全国(対象1,200名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:44% 不支持:35%
(7)新型コロナウイルス関連
ア 経済活動再開計画第4段階
6日、経済活動再開計画の第4段階での再開が予定されていた劇場、映画館及びカジノ等に関し、収容人数を最大40%と制限し再開することを認める最高令が公布された。
イ 国際線の再開他
(ア)11日、運輸交通省は12月15日からスペイン、オランダ、フランスおよび英国への国際線の再開を認める同省の大臣決議を公布した。
(イ)22日、サガスティ大統領は、今後2週間、欧州からの国際線を一時停止する他、当国に居住しておらず過去2週間以内に英国に滞在した外国人の入国を禁止し、過去2週間以内に英国を訪れた当国居住の外国人及びペルー人については当国到着後に2週間の隔離措置となる旨発表した。
ウ 新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言の延長
22日、新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言を1月1日~31日の期間延長する最高令が公布された。
エ 30日、ペルー政府は国家緊急事態宣言の一部を変更する最高令を公布し、12月31日から1月17日までの間、夜間外出禁止時間帯の変更及び海岸他の利用禁止が延長された。
2 外交
(1)サガスティ大統領の各種国際会合への出席
ア 第15回太平洋同盟首脳会合
11日、サガスティ大統領は、第15回太平洋同盟会合にオンラインで出席し、エクアドルの太平洋同盟への正式加盟及びシンガポールの準加盟を支持する意向である旨表明した他、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けたデジタル市場の発展に関する宣言に署名を行った。
イ PROSUR会合への出席
14日、サガスティ大統領は、テレビ会議形式で行われたPROSUR会合に出席し、同会合において新型コロナウイルスのワクチン購入のための多国間基金の設置を提案した。
ウ 気候野心サミット2020への出席
14日、サガスティ大統領は、気候野心サミット2020にオンラインで出席し、科学技術無くして気候変動対策に立ち向かうことは出来ない旨演説した。
(2)アステテ外務大臣の各種国際会合への出席他
ア 1日、アステテ外務大臣は第25回アンデス共同体外相会合にオンラインで出席し、地域統合の進捗についてのレビューを行った。
イ 2日、アステテ外務大臣はアルゼンチンのソラー外務・宗務大臣と電話で会談し、両国の政治対話を推進し、共通の利益を進展させることで合意した。
ウ 6日及び7日、アステテ外務大臣はボリビアを訪問し、アルセ大統領及びマイタ外務大臣と各々会談し、特にコロナ禍において必要とされる両国間の協力及び歴史的友好関係を強化することを改めて確認した。
エ 10日、チリを訪問したアステテ外務大臣は、アラマン外務大臣と会談した。また、同日、第15回太平洋同盟首脳会合に先立ち開催された第22回太平洋同盟閣僚会合に出席した。
オ 15日、ビデオ会議形式で第4回古代文明国フォーラムが開催され、アステテ外務大臣及びネイラ文化大臣が議長を務めた。また、フォーラム加盟国間の若者の対話の開始等が盛り込まれたリマ宣言が発表された。なお、同会合には中国、エジプト、ギリシャ、イラン、イタリア及びメキシコの各国閣僚他が出席した。
(内政)
●3日、国会において、ベルムデス新内閣に対する信任決議が可決された。
●3日及び4日、農業促進法撤廃を要求する抗議活動において若者2名が死亡した。
●4日、国会において、農業促進法の廃止法が賛成多数で可決された。
●29日、国会において、農業セクター雇用法が賛成多数で可決された。
(外交)
●11日、サガスティ大統領が、第15回太平洋同盟会合に出席した
●6日及び7日、アステテ外務大臣が、ボリビアを訪問した。
●10日、アステテ外務大臣が、チリを訪問した。
【本文】
1 内政
(1)国会におけるベルムデス新内閣に対する信任決議の可決
ア 11月18日に発足したベルムデス新内閣は、12月3日、憲法規定に基づき施政方針演説を行い、(1)選挙、(2)新型コロナウイルス対策、(3)経済回復、(4)教育、(5)制度機構強化及び汚職対策の5つを新政権の優先事項とする旨述べた上で、国会に対する信任を求めた。
イ 同日、国会において審議票決の結果、賛成111票、反対7票、棄権1票で内閣信任決議が可決された。
(2)相次ぐ内務大臣の交代
ア 2日、サガスティ大統領によるペルー国家警察(PNP)機構改革の一環として警察幹部18名に退役措置が執られたことにより、バルガス内務大臣に対するPNP内部他における非難・反発が高まった結果、同大臣が辞任してクルベル・アリアガ新内務大臣が就任した。
イ 7日、アリアガ内務大臣が辞表を提出し、同日、ホセ・エリチェ新内務大臣が就任した。アリアガ前内務大臣の辞任理由については、警察改革や警察の抗議デモ対応を巡るサガスティ政権との立場の相違から辞任に至ったと報じられた。
(3)農業セクターを中心とする抗議活動
ア 柔軟な雇用形態を容認する農業促進法の撤廃を要求するイカ州農業セクター労働者は、11月30日から国内抗議活動を開始し、その後、抗議活動はラ・リベルタ州に拡大した。その結果、12月3日及び4日には抗議活動に参加した計2名の若者が死亡した。
イ 4日、国会本会議において農業促進法の廃止法案が審議され、賛成多数で同法が可決された(賛成114票、反対2票、棄権7票)。
ウ 5日、農業セクター労働者は農業促進法撤廃という当初の目的が達成されたとして抗議活動を停止した。
エ 国会は農業セクターにおける雇用形態及び労働者に対するインセンティブ等について規定する新たな農業セクター雇用法案に関する審議を開始した。
オ 21日、南部イカ州及び北部ラ・リベルタ州の農業セクター労働者は抗議活動を再開し、国内主要幹線道路であるパンアメリカン高速道路を封鎖した。
カ 29日、国会本会議において農業セクター雇用法が賛成多数で可決された(賛成58票、反対32票、棄権29票)。しかし、労働者側は同法で規定される賃金やボーナス、手当等の内容を不十分としてラ・リベルタ州で幹線道路封鎖を再開し、30日には警察との衝突等により計3名が死亡した。
(4)国会の動き
ア 公的年金引出容認法
2日、国会は政府の拒否権発動にも関わらず公的年金基金(ONP)加入者の事前引き出しを認める法案を再可決した(賛成87票、反対21票、棄権3票)。これに対し、政府は公的基金の持続可能性を阻害するとして憲法裁判所に対し同法に関する違憲審査申請を行った。
イ 国会議員不逮捕特権剥奪に関する憲法改正法案の第1会期可決
11日、国会は国会議員の不逮捕特権を剥奪する内容の憲法改正法案を可決した(賛成103票、反対14票、棄権3票)。なお、憲法改正には2会期連続で国会の3分の2にあたる87票以上の可決を得るか、国会の単純過半数を得た後に国民投票において賛成多数を得る必要がある。
ウ 制憲議会設置を問う国民投票法案の提出
12日、ペルー統一党(UPP)、拡大戦線(FA)、Podemos Peru等の複数国会会派は、総選挙が行われる来年4月11日に制憲議会設置の是非を問う国民投票を実施するため法案を提出した。
(5)憲法裁判所による保健セクター従事者の自動的な昇進を認める法案に対する違憲判決
17日、憲法裁判所は、国会が可決した保健セクター従事者の自動的な昇進を認める法に対し違憲判決を下した。
(6)サガスティ大統領の支持率
ア IEP社:1日~18日実施、全国(対象1,225名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:58% 不支持:35%
イ ダトゥム社:3日~6日実施、全国(対象1,244名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:46% 不支持:27%
ウ イプソス社:10日~11日実施、全国(対象1,200名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:44% 不支持:35%
(7)新型コロナウイルス関連
ア 経済活動再開計画第4段階
6日、経済活動再開計画の第4段階での再開が予定されていた劇場、映画館及びカジノ等に関し、収容人数を最大40%と制限し再開することを認める最高令が公布された。
イ 国際線の再開他
(ア)11日、運輸交通省は12月15日からスペイン、オランダ、フランスおよび英国への国際線の再開を認める同省の大臣決議を公布した。
(イ)22日、サガスティ大統領は、今後2週間、欧州からの国際線を一時停止する他、当国に居住しておらず過去2週間以内に英国に滞在した外国人の入国を禁止し、過去2週間以内に英国を訪れた当国居住の外国人及びペルー人については当国到着後に2週間の隔離措置となる旨発表した。
ウ 新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言の延長
22日、新型コロナウイルスに係る国家緊急事態宣言を1月1日~31日の期間延長する最高令が公布された。
エ 30日、ペルー政府は国家緊急事態宣言の一部を変更する最高令を公布し、12月31日から1月17日までの間、夜間外出禁止時間帯の変更及び海岸他の利用禁止が延長された。
2 外交
(1)サガスティ大統領の各種国際会合への出席
ア 第15回太平洋同盟首脳会合
11日、サガスティ大統領は、第15回太平洋同盟会合にオンラインで出席し、エクアドルの太平洋同盟への正式加盟及びシンガポールの準加盟を支持する意向である旨表明した他、デジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けたデジタル市場の発展に関する宣言に署名を行った。
イ PROSUR会合への出席
14日、サガスティ大統領は、テレビ会議形式で行われたPROSUR会合に出席し、同会合において新型コロナウイルスのワクチン購入のための多国間基金の設置を提案した。
ウ 気候野心サミット2020への出席
14日、サガスティ大統領は、気候野心サミット2020にオンラインで出席し、科学技術無くして気候変動対策に立ち向かうことは出来ない旨演説した。
(2)アステテ外務大臣の各種国際会合への出席他
ア 1日、アステテ外務大臣は第25回アンデス共同体外相会合にオンラインで出席し、地域統合の進捗についてのレビューを行った。
イ 2日、アステテ外務大臣はアルゼンチンのソラー外務・宗務大臣と電話で会談し、両国の政治対話を推進し、共通の利益を進展させることで合意した。
ウ 6日及び7日、アステテ外務大臣はボリビアを訪問し、アルセ大統領及びマイタ外務大臣と各々会談し、特にコロナ禍において必要とされる両国間の協力及び歴史的友好関係を強化することを改めて確認した。
エ 10日、チリを訪問したアステテ外務大臣は、アラマン外務大臣と会談した。また、同日、第15回太平洋同盟首脳会合に先立ち開催された第22回太平洋同盟閣僚会合に出席した。
オ 15日、ビデオ会議形式で第4回古代文明国フォーラムが開催され、アステテ外務大臣及びネイラ文化大臣が議長を務めた。また、フォーラム加盟国間の若者の対話の開始等が盛り込まれたリマ宣言が発表された。なお、同会合には中国、エジプト、ギリシャ、イラン、イタリア及びメキシコの各国閣僚他が出席した。