2月のペルー内政と外交の主な動きは以下のとおり。
【概要】
●10日、当地メディアは、ビスカラ元大統領が大統領期間中に新型コロナウイルスのワクチン接種を不当な形で受けていた旨報じた。
●15日、サガスティ大統領は、マセッティ前保健大臣等の政府関係者を含む487名が臨床治験外で不当にワクチン接種を受けていた旨明らかにした。
●22日、国会は、ビスカラ元大統領他に対する弾劾プロセスを開始した。
【本文】
1 内政
(1)新型コロナウイルスを巡る状況
ア ワクチン確保の状況
4日、サガスティ大統領は、米ファイザーと計2,000万回分のワクチンをペルーに対し提供することで合意した旨、内、少なくとも550万回分については6月末までにペルーに到着する見込みであると発表した。
イ ペルーで初めてとなる新型コロナウイルスのワクチンの到着
(ア)7日、ペルーで初めてとなる新型コロナウイルス用の中国シノファーム社製ワクチン30万回分が到着し、サガスティ大統領が中国政府等に対する謝意を表明した。また、2月10日にサガスティ大統領が最初に接種を受けた。
(イ)13日、新たに中国シノファーム社製のワクチン70万回分がペルーに接到した。
ウ 中国シノファーム社製ワクチンの不当接種を巡るスキャンダル
(ア)10日、当地メディアは、ビスカラ元大統領が大統領期間中に中国シノファーム社製の新型コロナウイルスのワクチン接種を不当な形で受けていた旨報じた。
(イ)13日、マセッティ保健大臣が辞任し、15日、オスカル・ウガルテ新保健大臣が就任した。
(ウ)14日、アステテ外務大臣がビスカラ元大統領同様に不透明な形でワクチン接種を受けていたことを自ら公表すると同時に辞任し、15日、アラン・バグネル新外務大臣が就任した。
(エ)15日、サガスティ大統領はマセッティ前保健大臣等の政府関係者を含む487名が臨床治験外で不当にワクチン接種を受けていたと述べた。
(オ)22日、国会は政府高官に対する弾劾について定めた憲法99条及び100条に基づき、ビスカラ元大統領、アステテ前外務大臣及びマセッティ前保健大臣に対する弾劾プロセスを開始した。
エ 各種措置他
(ア)10日、ベルムデス首相は、2月15日から2月28日までリマ市及びカヤオ憲法特別市を含む32の地域を「感染警戒レベルが極度に高い地域」と指定するとし、右地域において社会的隔離措置を継続する旨発表した。
(イ)18日、政府は国家衛生緊急事態宣言を3月7日から180日間延長する最高令を公布した。
(ウ)27日、ペルー政府は国家緊急事態宣言を3月1日から31日まで延長すると共に、社会的隔離措置を一部変更する(感染警戒レベルが極度に高い地域における終日外出禁止を日曜日のみとする等)最高令を公布した。また、同最高令において、3月1日から14日まで、英国、南アフリカ及びブラジルから渡航、または同地で乗り継ぎを行った非居住外国人によるペルー入国を引き続き停止とした。
(2)憲法裁判所による公的年金(ONP)引出容認法に対する違憲判決
4日、憲法裁判所は、公的年金基金加入者の事前引き出しを認める法は違憲であるとする決定を下した。
(3)国会議員不逮捕特権剥奪に関する憲法改正法案の第2会期可決
4日、国会は国会議員の不逮捕特権を剥奪する内容の憲法改正法案を可決した(賛成103票、反対14票、棄権1票)。憲法改正には2回期連続で国会の3分の2に当たる87票の可決を得るか、国会の単純過半数を得た後に国民投票において賛成多数を得る必要があるが、第1会期中の昨年12月に国会において3分の2以上で可決しているところ、今次可決をもって本憲法改正が成立した。
(4)サガスティ大統領の支持率(括弧内は前回数値)
ア ダトゥム社:9日~12日実施、全国(対象1,200名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:40%(40%) 不支持:52%(45%)
イ イプソス社:10日~11日実施、全国(対象1,219名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:38%(34%) 不支持:51%(47%)
ウ IEP:19~23日実施、全国(対象1,220名)、誤差±2.8%、信頼度95%
支持:22%(21%) 不支持:65%(67%)
2 外交
新型コロナウイルス関連の国際協力
17日、ペルー政府はプレスリリースを通じて、韓国政府から酸素発生器40台が保健省に対し供与され、右酸素発生器はラ・リベルタ州、ピウラ州、クスコ州及びワヌコ州に配置される旨発表した。